2011年 03月 27日
一味工夫
「どうした」
「・・・・」
腹は減っているが食欲が湧かない。
「鼻の先も湿っている。目付きも宜しい。とすると・・・」
主人は立ち上がり、冷凍庫から挽肉を取り出し、フライパンで炒め始めた。その上に、仕上げとして醤油を数滴垂らす。
香ばしい匂いが部屋を満たしたところで、一味工夫したそれを食事の皿に載せた。
「フー、フー、フー」
息をするのも惜しんで平らげる。殆ど食事の内容は変わらないが、臭覚の鋭い僕には、大きな変化になった。
風も止み オナガ鳥鳴く 枇杷の木に