2010年 10月 14日
完全養殖の哀れ
この完全養殖は、天然魚から得た卵を人工ふ化させて稚魚を飼育し、成長した魚が産卵した2代目の卵をふ化させて成魚まで育てるものですから、漁業資源の枯渇抑制に貢献する有力な漁業に成り得ることでしょう。
既に、近畿大学の水産研究所がクロマグロ、水産総合研究センターがウナギの完全養殖に成功しています。未だ歩留まりに課題があるとのことですが、いずれ課題も解決され量産化が可能になることでしょう。
ただ、イケスの中で生まれ、自然界で泳ぐ経験もなく、人工的な餌を食べ、薬剤で健康管理され、成魚になった時点で逃げることもできず、捕獲されて食卓に上がる完全養殖のウナギやマグロの身の上を考えれば、いささか哀れと思わざるを得ません。
ところで、養殖魚の餌になるのも魚です。1キログラムのマグロを成長させるのに1000キログラムの小魚が消費されている事実を忘れてはいけません。マグロを食べたがる習慣を見直し小魚に目を向けなければ、完全養殖が普及したところで漁業資源の枯渇は止まらない状況を肝に銘じたいものです。
哀れ言い 好んで食す ウナギかな