2010年 09月 30日
真昼の白月
「本物ですよ」
何も言わない相手の心中を見抜いている。
「そうですか」
それでも信じられない。
青い空に一筋の雲が流れ、その上に白い月が浮かぶ。
「本当に月ですか」
懲りずに聞いた。
「ええ」
そう答えて相手は押し黙る。
話し相手を失い、視点を天から真横に移した。そこには、トンボがのんびり横へ流れている。漸く、風の強さが判った。陽射しは強いが、背広を着て丁度良い。人に見られないよう、指先をトンボに向けて『この指停まれ♪』と呟いた。
晴天に 浮かぶ月見て 何思う