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白髪の旅ガラス

夢追い人

 十八歳の時に貰った鋳物製のペン置きは、四十年を経た今でも錆びることもなく、机の片隅で役目を果たしています。その底には、「初心を忘れない」の文字が刻まれて、空になる度に当時の夢を呼び起こしてなりません。

 どこをどう歩いて来たのか、忘れる程の盛り沢山の人生経験はありませんが、その夢を胸に秘めたまま、それとは異なる道を今では歩んでいます。けれど、その夢を実現しようとする気持は、還暦を間近に控えた歳になっても変わりません。

 むしろ、子供達が社会人になり、親の役目を果たしたところで、初めて一人前の人間になることができるとすれば、これからが青年の頃に見付けた夢を実現する本格的な季節と言えましょう。

 そんな生き方を実現している先輩が居ます。その方は電源開発の技術者でしたが、早目の定年を皮切りにオペラ歌手になりました。今や七十歳ながら、精力的に唄う姿は青年より若いものがあります。その訳は、夢を仕事にしていないことにあるのかも知れません。


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幹蹴って クワガタ落ちる 音を追う
by tabigarasu-iso | 2010-07-21 00:04 | 随筆 | Comments(0)