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白髪の旅ガラス

夏休み

 梅雨が明けて早朝の陽射しも強くなれば、子供達の夏休みが始まる。町の子供達は、冬場に雪降る田舎の子供達より夏休みは長い。冬休みはその逆で、年間を通せば同じ休みになるものの、町に親戚を持つ子供は夏休みの長い従姉妹を羨ましく思ったものだ。

 ところで、家庭と学校の何れにもエアコンが普及して、暑い夏を涼しく寒い冬を暖かく過ごせる環境になり、夏休みや冬休みに長い休暇が必要であろうか。経済的に余裕のある家庭では、海外旅行に家族揃って出掛けたり、避暑に別荘へ出掛けたり、休みが足りないかも知れないが、大半の家庭はそうじゃない。

 子供に長い夏休みがあっても、サラリーマンの親が休めるのは御盆を挟んで一週間程度であろう。その間は何処も車が渋滞するから、夏休みどころか疲労週間になる。長い休みの必要が無くなった子供達が家で過ごし、休みを取り身体を休めたい親が家を離れて仕事する現実。捩れた家族の組み合わせで、日本の夏は更に暑苦しくなることだろう。

 その昔、夏休みは小麦や大麦の収穫で農家の繁忙期にあたり、学校を休みにして子供達の手を農作業に回したものである。町の子供は田畑を持たないから、親戚の農家へ手伝いに行く子供もあった。暑いから休むのではなく、繁忙期だから休ませる夏休みであり、家族揃って海外旅行へ行く休みなどではなかった筈である。

 同じく、冬休みも田舎の子供を想定したものであり、雪が庭先から学校まで埋め尽くし、通うに通えないから休む。その時は山も畑も雪に埋もれるから、家族揃って家で過ごす他にない。そこで、暇を持て余した親は子供を連れ出し、雪の積もらない小川に雪を入れて流れを瞬間的に止め、浅瀬で跳ねる鱒や岩魚を手で獲ったりしたものだ。

 かように、冬休みも寒いから休むのではなく、学校に行けないから休ませる冬休みであったが、いつしか狙いを忘れ休むこと自体が目的になったようである。他の休日も同様、その謂れを考えてみると休日の仕分けが容易になることだろう。

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首に汗 麦の穂付いて 痛痒く 
by tabigarasu-iso | 2010-07-18 11:12 | 随筆 | Comments(0)