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白髪の旅ガラス

コンサル戦士Ⅳ

 組織の抱える課題は、その大半が人にある。知識が無く課題が見えなければ、課題を解決することはできない。知識が有り課題が見えても、解決の智恵が無ければ行動に移れないだろう。その智恵があっても、行動した結果を評価する制度が無ければ、敢えて難問に取り組む仏様のような人は居ない。

 何れに課題があるのか、コンサル戦士は相手の発言や行動から、その種類を見抜くことが必要になる。森のコンサル先は、幾層もの人的な課題があった。経営者、管理職、社員が抱える課題を整理した上で、どこから取り組むのが効果的か、優先順位を決めなければならない。

 これを、森は課題解決支援と呼んだ。経営者の考え方に課題を発見した場合、すぐに膝を詰めた話合いが必要になる。
「社長、建て前と本音の使い分け、相手を見る必要があります。事情を知らない社員の方は、社長を信用しなくなりますから具合が悪い。自分が決めた方針ですから、それ以外の本音は禁句です。それが不満でしたら、本音を方針にしましょう」

 残念ながら、こうした席に社長と面識の浅い次郎を置く訳にはいかない。管理職の考え方に課題を見出した場合も同じである。その内容は、社長と部下の両者に挟まれているから、両者を満足させる解決策でなければ満足しては貰えない。社員の方に遠慮して貰い、管理職の言い分を聞き、別の場で社員の言い分を聞いてから、両者向けに解決策を提案することにした。

 まずは、管理職からである。
「部長、現在の策で目標達成は可能でしょうか。社長の命令を聞く場合、人、資金、設備を無視した合意はいけません。何が不足するのか、社長に提案して資源を確保するのが部長の役目ですね。また、施策にも無理があるようです。部長の過去の経験から策を決めたのでは」
「森さん、言いたい放題ですね。だが、その通りです。で、部下には何と」
「部下の課題を確認しますから、その後で」

 次に、森は社員から意見を聞いた。
「素晴らしい策ばかりですが、成果は如何ですか」
「・・・」
「この策、どなたが提案されたのですか」
「・・・」
「部長さんですか」
「はい」
「旨く行く筈でしたね」
「・・・」
「納得していなかったようですね」
「はい」
「それなら、結果は双方の責任でしょう」
「でも、部長は部下の意見を聞くタイプではありません」

 時を改め、森は部長と社員を前に思い切ったパフォーマンスを見せる。
「部長は、人員補充を社長に提案されています。社員の皆さんは、自分で責任を持てる策を提案なさってください。成果に関しては、社長が本音で評価されると約束されていますから、安心してくださいとのことです」
 
 さて、森の説明に多少の飾りはあっても、目標実現に向かい互いの壁を取り除くためには許される範囲かも知れない。だが、会場の隅でメモを取る次郎には、どう映ったことであろう。 

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【コンサル川柳コーナー】

№68 政治家は 約束破り 大物に

by tabigarasu-iso | 2010-06-22 08:47 | 小説 | Comments(0)