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白髪の旅ガラス

コンサル戦士Ⅲ

 コンサル初心者の次郎が、コンサル戦士から魂を吸収する取材中に判ったことがある。その森は、いつでも相手の目を見て話す。資料を見たまま、相手の顔を一度も見ないコンサルや講師が登場するのは、指導する内容や説明する内容を自分のものにしていない証拠であり、伝えたい内容が明確であれば、資料の細部と説明が異なることなど問題にならない。

 特にレベルの高くないコンサルは、ISOマネジメント規格の要求を繰り返し説明するオームに似たコンサルであり、相手の判る事例を提示できない粗末さは目に余る。それと比べたら森に失礼かも知れないが、若手であれベテランであれ、コンサル先が望む内容は問題解決の具体策だから、それが出来ないことを自覚したコンサルは、森のコンサルを身銭で学ぶが良かろう。

 そんな次郎のメモを覗き見て、取材される森が注文を付けた。
「私が相手の目を見て話す理由を飛ばしてはいけません」
 確かに先を急ぐ余り、肝心な点を飛ばした次郎だが、注意した当人に直接尋ねるところが若さである。
「目を見て何が判るのですか」

 森は、若い仲間を指導することも仕事の一部と考えている一人であった。特に、素直に迫る若手には手を抜かない。
「相手の目は、本人の気持を素直に表わしてくれます。目が泳いでいれば、こちらの言うことを信じていませんから、もう一度別の視点から説明しなくてはなりません。元より、視線がコンサルに向いていなければ、コンサルを受ける目的を理解していない証拠ですから、それを確認するところまで戻ります。目を閉じていれば、疲れているのですから、そっとして置いて上げましょう」
 
 コンサル戦士とて、相手に応じて冗談も洒落も飛ばす。次郎の真面目過ぎる取材態度に悪戯を思い付いた森は、説明の最後に冗談を入れた。だが、相手の目を見ないでメモに夢中の次郎は、そうだと判らない。
「私の目を見ていませんね。それでは、言っていることが真実かどうか判らないでしょう」
さすがの森も、ここに及んでは大きく溜息をついた。《続く》

 
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【コンサル川柳コーナー】

№67 批評家は 己のことを 批評せず

by tabigarasu-iso | 2010-06-21 08:47 | 小説 | Comments(0)