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白髪の旅ガラス

急患配慮クリニック

 ここ数年、近所で赤子の姿を見掛けることが稀になりました。隣組の寄り合いに参加しても、還暦前は若造と言われます。もう十年も経てば、この辺りは年金暮らしの爺婆部落になること、間違いありません。

 そこに、間違って子連れでも通り掛かれば、暇を持て余した隣組は、この時とばかり通りに這い出し、物珍しく眺めることでしょう。また、他に仕事がなければ、行く先は通い慣れた近場のクリニックが集合場所になります。

 年を重ねれば、誰でもどこかは具合が悪いもの。クリニックに診察を申し込めば、毎日の通院が必要な病でなくても、順番を待てば診てくれることでしょう。それまでは、冷暖房の効いた待合室で、誰に遠慮することなく顔馴染みと話ができます。

 こんな快適な寄り合い場所はありませんが、急を要する患者にとっては困りもの。高い熱が出て意識も遠く、腹が差し込む痛さで座っても居られず、さりとて先に並んだ人の前に診察を申し出る勇気もなく、じっと診察の順番を待つ。そんな方を優先する急患配慮クリニックは、これから繁盛することでしょう。

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雨を受け 色鮮やかな アヤメあり
by tabigarasu-iso | 2010-05-12 18:00 | コンサルサービス | Comments(0)