2010年 04月 26日
柔らかい光
桟だけになった障子を、全て運び出した八畳間の真中に横たえ、昨日の買い物袋からチューブに入った糊を取り出し使い方を確認する。そこには、桟の両脇を挟むプラスティク製の備品があり、チューブの先に被せた網目状の帽子から糊を出せば、その備品が案内役になり桟の上に糊が着く。
と言うことは、刷毛が無いから昨日は障子張りを止め、それを改めて今日買い足したものの、糊を着ける刷毛は要らないようである。思い起こせば、普段から机の上に置く封筒用の糊も似たようなもので、障子を貼るのに刷毛が要るとは、昔の想い出から抜け出せない思い込みであったようだ。
チューブ入りの糊は使い勝って良く、面白いように糊が桟に着き、紙を貼っては糊が乾く前に余分な紙を切り落とし、休む間も無く全ての障子を張り終える。最初の障子は出来栄えが良くなかったが、最後の一枚は玄人に近付いたようだ。それを元の位置に嵌め込めば、柔らかな光は障子貼りの職人に成り切った男を包み、疲れた足腰を癒してくれる。
新しき 紙を通して 春の陽が