2010年 03月 24日
それを言っちゃぁおしまいよ
「〇×さん。一生懸命なのは判りますが、相手の置かれた状況を無視しては、まとまる話も旨く行かないものですよ」
かように、相手を尊重した上で具体的な指示を出して上げれば、言われた人は納得して軌道修正も出来るでしょう。また、その結果も良い方向に向かうものです。
しかしながら、社内営業の重要性を知らない方が上司の場合は、そうはなりません。
「駄目じゃないか。何年無駄飯を喰っている。首を洗っておけ」
何年も放任して置いた自分の責任を棚に上げて相手を窮地に追い込む。これでは、胃の壁のどんなに厚い人でも胃酸が多量に噴出し、胃壁に穴を開けてしまうことでしょう。
そんな光景を見たり、聞いたり、時には自ら作り出す際、ふと脳裏を横切るのがフーテンの寅さんの科白です。
「そこのお兄さん。こちとら詳しい事情は知らないが、それを言っちゃぁおしまいよ」
人の道を外れた言動を正す、何と暖かい言葉でしょう。理屈で強引に説き伏せるよりも、人の情を揺さぶる一言が効果的なことを、寅さんは承知していたようです。
寅さんを演じた俳優が亡くなり、その映画は終わりました。どなたか跡を継ぐ役者は現れないものでしょうか。余りにも個性的でインパクトが強く、演じる役者も演じ切るのが辛かったようですから、映画の再開は無理かも知れません。せめて、私達に遺してくれた名科白を、仕事や日常生活で使ってみようではありませんか。
物言わぬ 犬は愛しく 妻淋し