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白髪の旅ガラス

得体の知れない審査員

 個人情報を重んじる余り不便なことが起きます。それは複数の審査員が行う審査の事前打ち合わせ時のことでした。
「初めまして。あなたは〇〇審査員でしょうか」
「はい。私は審査員の〇〇です」

 メールでの情報交換は行っているものの、会うのは初めてですから、相手の顔をしみじみ眺めます。眉間に皺が寄っていれば堅物であり、笑顔であれば親しく話ができるでしょう。

 かつて、所属する審査機関には審査員名簿と言うものがありました。名前、顔写真、住所、電話、電子メール、それに専門分野が記載された名簿は、初めてチームを組む際には大いに役立ったものです。

 個人情報保護法が施行され、審査員名簿が廃止された結果、複数の審査員が行う審査で初対面の審査員は、互いの自己紹介から始め、審査内容の打ち合わせをしなくてはなりません。

 ある時、審査員仲間に未だ会ったことのない〇〇審査員のことを聞いてみました。
「自分は嫌いです」
「はあ」
「物言いが横柄で好きになれませんから、はっきり言いました」
「はあ」
「でも、あなたなら旨く行きます。
「はあ」
 果たして、〇〇審査員はどんな方でしょう。


  審査先 審査仲間も 初顔で
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by tabigarasu-iso | 2015-11-27 18:51 | ISOマネジメント | Comments(0)

進化できない審査員

 審査は、審査員養成コースを修了し、審査機関に席を置けば誰でも出来ます。定年も70歳ですから、健康に留意しながら、サービスの精神を忘れなければ、他の組織で定年退職された方でも10年前後審査員として社会貢献することが可能になるでしょう。

 とは言え、どうしても必要な能力があります。それは、審査を受ける相手の欲するものを提供するサービス精神ですが、それを忘れて裁判官に変身してはいけません。ところが、規格要求事項だけを頼りに裁判官になったつもりの審査員の多いこと。

 その原因は何でしょう。製品を企画し、開発し、設計し、製造し、営業し、修理し、回収し、廃棄する仕事に就いていた経験を審査で活かせる場合とそうでない場合があるからです。

 活かせる場合は相手の要望に合致した審査が可能になりますが、そうでない場合は審査員が相手に合わせて進化しなければなりません。生産設備を担当していた方が営業部門の審査行う場合、営業部門の内外の課題を知り、審査の場で聞き出す能力を持つ必要があります。

 そんな進化を好まない方は、審査員になってはいけません。自分で苦しむのは当然として、審査を受ける側は更に苦しむことになります。例えば、質問の内容が分からない、質問の内容が関心事から外れている、審査の狙いが分からないまま審査が終わり、審査の効果が疑われることになるでしょう。

 かく言う自分が次に進化を目指すのは、喋りたくない相手に出来る限り喋らないで審査することです。例えば、廃棄物の分別基準が記載された個所を指で刺し、相手が頷いたところで現場に向かい、分別基準と異なる個所を指で刺して首を傾ける。すると、相手は頷く。そんな審査も、たまには良いでしょう。


  北風に 背中押されて 感謝して
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by tabigarasu-iso | 2015-11-27 18:46 | ISOマネジメント | Comments(0)

場の読めない人

 それは審査の花、トップインタビュー時のことでした。珍しく、二人のトップを前に審査リーダーは定番の質問を始めました。その横には、メンバーが大人しく座って出番を待っています。

 トップ二人に向き合う審査員二人の場面、ここまでは何も変わった点はありませんが、それを見守る部下の方が後方に十数名ほど腰掛け、別会場の関係者に向けテレビ会議のカメラも焦点を合わせていました。

 そんな状況など気にしない審査リーダーは、蚊の鳴くような小さな声でボソボソと話すではありませんか。隣に座る審査メンバーでも聞き辛い位ですから、見守る関係者の耳に話は殆ど届かないことでしょう。

 出番を待つメンバーは、そちらに視線を向けて確認しましたが、居眠りする方ばかり。或は、居眠りの振りをして、周囲の見えない審査チームに呆れているのかも知れません。

 インタビュー時間の終わりが近付き、漸くメンバーの存在に気が付いた審査リーダーは、質問を振ってきました。やおら立ち上がったメンバーは、会場とカメラ向うの関係者に挨拶してから、リーダーの回答が曖昧な点に関して、皆が聞こえる声で私見を述べます。

「課題のない係や課はありませんね。その課題と環境との関係を考えて頂ければ、必ず接点はあります。その課題を解決する目標を環境目標にすることで、質問への回答では如何でしょう。それでも、課題が何もない係や課があるとしたら、もはや組織には不要ですから、環境目標も要りません」
 
 こう言い切り、メンバーの出番は終わりました。果たして、リーダーは周囲を意識して発言したメンバーの思い遣り、理解してくれたでしょうか?


  メンバーが リーダー補う 時もある
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by tabigarasu-iso | 2015-11-27 10:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

影響を及ぼせる環境面

 環境マネジメントシステム(EMS)で管理するものは、環境に影響を与える源として命名された「環境側面」です。この環境側面には、自ら管理できるものと、他者に影響力を及ぼして管理して貰うものがあり、どの範囲まで後者を特定するのか、どのようにして後者を特定するのか、理解されないままの組織が残念ながら未だ多い。

 本来ならば、EMSを導入して審査を受けている組織では、初期の段階で影響を及ぼせる環境側面に関して十分か否か、指摘を受けて良い類のものです。例えば、何かを製造する組織でも間接部門はありますから、製造現場や委託先に対して影響を及ぼせる環境側面(省エネ提案、省資源指導等)はあり、商社ではオフィス活動で管理する環境側面(文具の使用)や営業活動で管理する環境側面(営業車の燃料使用等)の他、その大半が影響を及ぼせる環境側面(管理された森林の木材から製造された用紙の提案等)ですから、影響を及ぼせる環境側面が特定されていなければ、規格要求事項を満たさず不適合となり、是正しなければなりません。

 ところが、EMS導入してから何年も経た組織で影響を及ぼせる環境側面が皆無にも拘わらず、一度も審査で指摘されたことがない場合があります。これは審査側の責任ですから、規格要求事項の説明から、影響を及ぼせる環境側面の特定について、改めて審査の場で議論しなければなりません。

 とは言え、審査員から影響を及ぼせる環境側面が特定されていない説明に驚きます。
「これまで一度も説明されたことがありません。審査員の説明は多数派ですか?」
「間違いありません。本人が多数派と言うのですから」
 疑われても仕方のないことながら、審査員は笑顔で冷静に説明するしかありません。


 氷雨落ち 山の頂き 雪と聞く
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by tabigarasu-iso | 2015-11-26 06:47 | ISOマネジメント | Comments(0)

 後天的な脳の器質障害により、正常に発達した知能が不可逆的に低下する状態のことを認知症と言います。もともと知らないことを言えないのは正常ですから、誤解しないようにしなくてはいけません。

 先日、若くして認知症となり、知っていた筈の納品先、帰り道など思い出せなくなって、仕方なしに会社を辞め、一人暮らしは無理と医師から勧告されながらもそれを始めた人の特集番組を観ました。

 その方は認知症を隠そうとせず、それを知らせた上で社会と繋がる重要性に気が付いたのです。各地を回り認知症の患者として人前で話す姿は、認知症に対する世間の誤解を解くに違いありません。

 とかく、昔から、どこでも、人の精神に関わる病は正しく理解されないことが大半です。間違った対応に患者とその家族が苦しみ、氾濫する認知症の報道に煽られ更に悩む中、認知症患者からの情報発信は、認知症に関する正しい認識を与えてくれることでしょう。


  おらがそば 何処で食べても 一番さ
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by tabigarasu-iso | 2015-11-25 06:56 | 随筆 | Comments(0)

映画に泣かされ

 過去、何度となく観ていながら、その度に泣かされる映画が何本かあります。その一つは渡辺謙さん主演の壬生義士伝でしたが、中井貴一さん主演のビルマの竪琴それに壬生義士伝にも泣かされました。

 溢れ出た涙を拭こうともしないで置くと、その上に新しい涙が流れ落ち、拭く必要のないことが分かります。丁度その時、門扉の呼び鈴が押され、仕方なく涙を拭いてから、玄関のドアを開けて門扉まで。

 門扉の外には、室内装飾で世話になった業者の方が立ち、何となく妙な顔つきで見積書を届けに来たと言い終え、そそくさと車に乗り込みます。いつもなら、お愛想の一つや二つを言い終わらないと帰らない人ですから、どうしたことでしょう。

 もしかしたら、映画の壬生義士伝に泣かされて暗い顔の相手とは知らないで、何か悲しい出来事があったと勘違いして、早々に引き上げたようで。それを帰宅した妻に話せば、今度は笑い話に涙がこぼれました。


  守銭奴も 最後は義士で 腹を切り
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by tabigarasu-iso | 2015-11-24 10:00 | 随筆 | Comments(0)

勤労感謝の日の夢

 家の外で働こうが、家の中で働こうが、家の中で何もしていないつもりでも、生きているなら休みなく働く五臓に感謝しなくてはいけません。

 昼間は取り敢えずまともに働いてくれる脳も、夜には休息して貰わないと疲れてしまい、肝心な昼間に正しい判断ができなくなるようです。

 その夜にしても脳は完全に休むことが心配なようで、かつて覚えた映像を自分勝手に繋ぎ合わせて再現するものですから、その荒唐無稽な物語に主人公は楽しむより不安に陥ることの方が多くていけません。

 勤労感謝の日の早朝に起きたその現象は、仕事帰りに一杯飲んだ帰路の電車で偶然に会った客人と盛り上がって話しが弾み、やがて目が覚めたところで客人は既に居ないものです。怖い夢よりましですが、不安を誘う夢は脳の休息にはいけませんね。


 良く眠る そのコツ猫に 訊いてみる
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by tabigarasu-iso | 2015-11-23 12:31 | 随筆 | Comments(0)

良い夫婦

 11月22日は、その読み方から「良い夫婦」。
 11月11日は、数字の並び方から「ポッキーの日」。
 数字の読み方、並び方から、無意味な数字にも意味を持たせる。
 想像力に富んだ人と言う動物は、何と面白い生物でしょう。


  良い夫婦 暦にないが 見て読んで
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by tabigarasu-iso | 2015-11-22 12:34 | 随筆 | Comments(0)

西部劇と時代劇の共通点

 アメリカ西部の開拓時代を映画化した西部劇は、テレビ放映される度に夢中になります。原住民の生活の場を奪う残酷な物語とは知らなかった頃から、今ではそれと知った上でガンマンの活躍に飽きません。

 銃や爆弾を用いた異常な集団による無差別殺人がシリアやフランスなどで発生している中、西部劇に登場するガンマンの素早い手捌きに魅かれるのも妙な話ですが、娯楽としての西部劇は悪を正義が倒す心地良さがあります。

 同じように髷を結った剣豪が刀を見事に扱う時代劇がテレビ放映されると、日本酒を話し相手に捕まえソファーから簡単には離れません。正義が悪を倒す作り話の心地良さは、西部劇と同じようです。
 
 アメリカの西部劇であっても、日本の時代劇であっても、楽しませるだけの劇は別として、時代の真実を捻じ曲げたものか否か、楽しみながらも評価することを忘れないようにしたいものです。


  高崎の ホテル受付け ダルマ待ち
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by tabigarasu-iso | 2015-11-21 11:52 | 随筆 | Comments(0)

待ちくたびれた猫

 野良猫から家猫になって間もなく、僕は二年が経とうとしています。主人は流行りの在宅勤務やらと奥さんに宣言しながら、家の中で働いているのか遊んでいるのか猫の僕には理解できません。

 それでも、誰も居ないよりましですから、在宅勤務中の主人に遊んで貰おうと閉めたドアに爪を立ててから待ちます。すると、その音に気付いてくれた主人はドアを開け、僕が部屋に入りたいものと勘違いして言いました。
「どうぞ」

 そう言われて尻込みするような虎猫ではありません。
「ニャー」
 そう言いながら、象、牛、パンダの縫い包みの横に置かれた僕の巣に入り、主人の手が空くのをじつと待ちます。

 ところが、何を懸命にするのでしょうか、いつになっても僕の方に振り向いてくれません。待ちくたびれた僕の瞼は下がり、知らぬ間に眠ってしまったようです。
「良く寝るね」
 主人の声に起こされた僕は、思わず大きな口を開けました。


  昼は寝る 夜勤忘れた 家の猫
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by tabigarasu-iso | 2015-11-20 07:20 | 小説 | Comments(0)