ブログトップ

白髪の旅ガラス

それなり

 それなりの年齢になりましたから、それなりに散髪すれば良いと思いながら、床屋さんに言われるまま「白髪ぼかし」を続けています。

「いつもの髪型で」
「いいえ。いつもより長めでお願いします」
 このところの厳しい冷え込みは暫く続きそうですから、頭髪も気候に合わせることに。

 丁寧に髪を洗い、バリカンは使わず全て鋏で髪を長めに切り、白髪染めの薬品を塗って暫くすると白髪が黒に変色して行きます。目を開けて鏡を見れば、そこには白髪の旅ガラスではなく、白髪ぼかしの爺様が微笑んでいました。

「それなりですね」
「・・・」
 床屋さんは笑い顔で何も言いません。この科白、今年も12回は言いましたから、来年は変えようかと思います。

 髪染めて 生え際うしろ 進む知り
d0052263_1623392.jpg

[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-30 16:00 | 随筆 | Comments(0)

猫の宅配便

 猫は、好んで箱に入る。我が家のチビトラも猫だから、例外ではない。それも、選りによって小さな箱を選び、身体の一部だけでも入れば満足する。

 見た目には面白いが、安心して眠れないだろう。そう思って探した訳ではないが、たまたま中身を出して広げて置いた箱に全身が上手く入った。

 蓋を閉じ、静かに宛名を書けば何処にでも届けることが出来る。受け取った相手は、箱の中から猫が飛び出すから、目を丸くして驚くことだろう。

「あなた、良く聞いて」
 帰宅途中、妻から急な電話を受けた主人は、車を停めて電話に出た。
「どうした。何があった」
「宅急便で猫が届いたの」
「何も驚くことはないじゃないか」
「そうかしら」
「猫の宅配便は誰でも知っているだろう」
「そうね。でも、猫の入った宅配便は」
「嘘だろう」
「そう、嘘よ。でも、写真を見たら信じるかも」

 寒風に ガラス汚れも 凍り付き
d0052263_21172580.jpg

[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-27 21:00 | 小説 | Comments(0)

空飛ぶジュータン

 誰もが静かに夢見る頃、どうした訳か昼間は閉じて細くなった瞳孔が開き、世の中が良く見えるようになる。

 枕にしていた炬燵を離れ、節電で薄暗い玄関に移動した。そこで、勢いを付けて走り玄関マットに飛び乗る。自分の体重に押されて、玄関マットが奥に移動した。

 その瞬間、僕は空飛ぶジュータンに載った気分に浸る。今度は反対方向に勢いを付けて走り玄関マットに飛び乗った。空飛ぶジュータンは、元の位置に向かって舞う。

 そのつもりであったが、玄関マットは飛び過ぎて玄関に落ちた。そうなると、僕は空飛ぶジュータン遊びに飽きてしまう。と言うより、落ちた玄関マットを床まで引き上げるのが億劫なだけだった。

 クリスマス 靴下探す 猫も居て
[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-25 12:25 | 小説 | Comments(0)

お帰り

 家の中で寒風を避け炬燵から離れない猫でも、時には外出したくなるようです。塀の上を見ると、家の猫と良く似たトラ猫が座って居ました。それにしても良く似ていますから、もしやと思い炬燵を確かめてみれば、そこに猫は居ません。

 水槽の掃除で開けた出窓から庭へ飛び降り、塀の上に跳び上がったようです。外からこちらを見て何とも嬉しそうでしたが、呼び戻そうと声を掛けました。
「おいで」

 それを無視するのが猫らしいところです。仲間の猫と連れ合い、視界の外へ行ってしまいました。そこで、台所の戸を開けて塀の先に回り、手を伸ばして捕まえようとしたところが塀の向こうに。

 腹が減れば間違いなく戻る、そう思い水槽の掃除を続けていると、開けた窓に猫が舞い込んで来ます。それは尾がタヌキのようで、先程、家を出たばかりの猫とは思えません。

 落ち着いて良く見てみれば我が家の猫に違いなく、太くなった尾は強敵に遭遇した所為でしょう。
「お帰り」
 振り向いたその目は、間違いなく我が家の猫のもの。

 プレゼント いつになっても 待ち侘びて
d0052263_11435643.jpg

[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-24 09:00 | 小説 | Comments(0)

資格と力量

 自動車運転免許や調理師免許などの資格は、決して力量を保証するものではありません。資格はあっても、安心して乗れない車や美味くない料理がその証です。

 医師の国家資格でも同じことであり、外科医の資格があっても手術の下手な医者も居る。下手だけで済めば良いけれど、大切な命が次々に失われる事態ともなれば見逃すことは出来ません。

 群馬大学病院で行われた肝臓手術、腹腔鏡を使った手術で8人が亡くなり、開腹手術でも10人が亡くなっていたと言う新聞報道がありました。死亡率が12%近く、全国平均の3倍にもなる異常事態のようです。

 それも同じ医師の執刀によるものですから、手術が適切に行われたか否か検証する必要があるでしょう。検証した結果、外科手術に向かない医師であったなら、手術現場から去って貰う他ありません。

 点検し 見直す制度 欠落し
d0052263_10254182.jpg

[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-23 10:00 | 随筆 | Comments(0)

サイバー攻撃

 インターネットで悪質なハッカーがウィルスを流せば、相手国の保有する重要な設備を管理するソフトの破壊も可能です。これをサイバー攻撃と言いますが、弾頭に火薬を詰め込んだロケット攻撃などしなくても、パソコン操作で相手に大きなダメージを与えることが可能なIT戦争の時代になりました。

 その攻撃先が火力発電所であれば、制御回路が乱れて発電停止になるかも知れません。また、それが原子力発電所であれば発電停止だけでなく、燃料棒の冷却も出来なくなり、恐ろしい結果に多くの人が巻き込まれてしまいます。

 先日のこと、某国のリーダー暗殺映画の放映を中止しないならサイバー攻撃するとの脅しに対し、混乱を避けようとした米国の映画会社はそれに従いました。防御が完全に出来ない現状では、止むを得ない判断でしょう。

 それに対し、米国の大統領はサイバー攻撃の相手を某国と明言し、サイバーによる反撃を宣言しました。インターネットを自由に使わせては、相手の攻撃をまともに受けますから、網管理の協力を周辺国に依頼しているようです。ただ、何処の網にも繋がるインターネットを遮断するのは難しい。

 通信網 便利の裏に 危険あり
[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-22 09:00 | 随筆 | Comments(0)

ニンニク激臭

 ニンニクを生で食べれば、口の中が燃えるように辛い。そればかりではありません。暫くは、人前で話の出来ないほど悪臭が漂います。油で揚げるか焼いてしまえば、悪臭が消える説もありますが、それを信じてはいけません。

 或る日の夕方、半年振りに再会した方と入った東十条駅近くの居酒屋のこと、熱燗のツマミに頼んだのは、カキフライ、焼き鳥、それに油で揚げたニンニク玉二つでした。

 二合の徳利は忽ち空になるのに、ニンニク玉は手付かずのままです。
「どうぞ、遠慮なさらずに」
「明日がありますから」
「明日は、私にもあります」
「ごもっとも。ですが、匂いが残りますから」
「大丈夫、油で揚げてありますから匂いは残りません」

 そう信じて、ニンニク玉を遠慮なく食べたのは自分だけでした。たまたま同席した妻は止めることも出来ず、呆れて言ったものです。
「お腹、大丈夫」
「何ともない」
 
 翌日、室内には猛烈なニンニク臭が漂ったようで、鼻を曲げた妻は言いました。
「凄い匂いよ」
「そうか」
「人前には出ない方が良いわ」
「分かった」
 そう約束しながら、夕方には予約した歯医者に出掛けて大きく口を開けたものです。

 年賀状 一言添える 手書き文字
[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-21 21:00 | 随筆 | Comments(0)

STAP細胞物語

 画期的な発見に驚かされて大いに称賛したものの、幾日も経たないうちに化けの皮が剥けたのは、簡単に万能細胞が出来る可能性を秘めたSTAP細胞の話題でした。

 その論文の検証者の一人は自ら命を断ちましたから、STAP細胞など鼻から存在しない大嘘の話では終わりません。日本を代表する研究所において、研究の成果である論文を検証する仕組みが機能していないのです。

 その研究所は、直ぐに検証体制の見直しを発表しましたが、長年放置して来た責任を誰が取ったのでしょう。自ら命を断った方がそうだとするなら、その方を監督する方の責任までは問わないと言うのでしょうか。

 再現性のない論文は、論文ではなく小説になります。小説であれば、そもそも嘘で固める作り話ですから、誰も検証しなさいなどとは言いません。最初から、STAP細胞物語にすれば良かったのです。

 あるあると 騙され続け まだあると
d0052263_948556.jpg

[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-20 09:00 | 小説 | Comments(0)

カラマツの葉は落ちて

 気温の低くなる冬に備え、楓や蔦は葉を落とします。落ちる前に葉色が艶やかに変色することから、紅葉狩りに出掛けた方も大勢いたことでしょう。けれど、同じ落葉樹でもカラマツの黄葉を観に行く人は少ない。

 カラマツは針葉樹でありながら唯一葉を落とす異端児ですから、黄葉の時期があることなど知られていないのかも知れません。僅かながら承知している人に黄葉の姿を観られ、恥じるようなカラマツ林も良いものです。

 たまたま生まれ育った山村にはカラマツ林が沢山あり、葉を落とす針葉樹であることは承知していました。ただ、どうして他の針葉樹とは別の行動を取るのか、その訳は承知していません。

 水分や温度の変化に敏感な葉で冬を越すより、さっぱりと冬には葉を落とし、春先に新芽を開く方が楽である。そう、先祖から教えられたのでしょうか。斜面に落ちたカラマツの針葉を踏みながら、考えてみるのも良いものです。

 カラマツは 針葉樹だが 落葉樹
d0052263_1029364.jpg

[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-19 09:00 | 随筆 | Comments(0)

 世界中に張り巡らされた通信網を使い、悪質なハッカーに攻撃されたら堪りません。ウイルスからIT機器の情報を守るソフトなど簡単に破壊され、システムの暴走や秘密情報の抜き取り、更には公表と言った曝し首に近い結末もあり得ます。

 ある国では、悪質な攻撃を目的にするハッカー集団を組織的に育て、自国に都合の悪い情報を流す組織に対して攻撃をためらいません。その攻撃を受けた組織では、盗み出されて公表された情報の追加を恐れ、悪質なハッカーに対し白旗を上げたようです。

 同じように、自分のパソコンを狙って悪質なハッカーが攻撃して来たなら、自分には対抗する術がありません。パソコン内の情報は、個人的な写真を始め随筆や川柳まで全て公表されてしまう。

 それでも、自分は白旗を上げません。悪質なハッカーによって意図しない場所で公表されることも想定し、日頃から面白い話をパソコン内に沢山まとめて置きましょう。

 益のある 仕事に使う 頭あり
d0052263_14271632.jpg

[PR]
by tabigarasu-iso | 2014-12-18 12:18 | 随筆 | Comments(0)