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白髪の旅ガラス

わたし遺産ですか

 心にのこる大切なことや未来に伝えたいことを400文字にして遺す「わたし遺産」の第2回募集がある。妙な日本語だが、第1回の応募は5000通近くもあったそうで驚く。

 大賞に選ばれた3作品は、小さなパンフレットに全文が掲載されている。どんな「わたし遺産」なのか読んでみた。厳しい先生がくれた卒業する時の電話代十円、両親が作ってくれた教科書、いつまでも心にのこりそうである。

 短文で心にのこる話と言えば、「呟き」から「白髪の旅ガラス」と題して、これまで3027件もの話をのこしてきた。すべてを未来に伝えるつもりだから、その中から「わたし遺産」に応募する作品を一つだけ選ぶのは難しい。

 と言うより、絞り込むのは後ろ向きの作業になる。それは面白くないから、これまで触れなかった話題を400文字で物語にしよう。何しろ、主催者は信託銀行であり、賞品が素晴らしい。

 棚の上 冬着探して 背を伸ばし
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by tabigarasu-iso | 2014-10-30 09:00 | 随筆 | Comments(0)

友よ

 どんなに暗くて先が見えなくても明けない夜などないから、さあ友よ、夜明けは近いなどと今では唄わないが、そのような雰囲気に包まれた時代もあった。

 当時のアパート仲間と新宿で会う。約束の時間より早目に改札を出た所で待っていた。それらしい男が目の前を通り抜けて立ち止まる。横顔は似ているが、間違っては失礼になるから、指先の包帯を見たら彼に間違いない。

 もう一人の男に携帯電話を掛けてみる。約束の場所に居ると答えた。それらしい方向を見れば、頭の毛が白くなった彼である。近寄って見詰める目線の先は、白髪ぼかしで染めたばかりの当方の頭髪だった。

 あれから四十数年が過ぎ、今では互いに家族を持って離れた場所で暮らしているが、会えば当時の仲間に舞い戻る。
「何処へ行こうか」
「あそこはどうだ」
「いいよ」
「皆、元気」
「ああ」
「それがいい」

 良く来たね 迎える虹に 時忘れ
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by tabigarasu-iso | 2014-10-29 09:00 | 小説 | Comments(0)

 学校を卒業したばかりの同窓会は、仕事や子育てに追われるつもりはなくても気持ちに余裕がなく、案内の葉書は読んでも不参加の時が何十年となく流れておりました。

 子育てを終え、仕事も定年迎えて自由時間が十分に出来た所為でしょうか、同窓会の案内葉書を見る目が変わったようです。
「行ってみようかな」
「行きなさいよ」
「でも、同窓会は知らない人ばかりだろうな」
「だから、知り合いになるチャンスばかり」
「そうだな」

 同じ校舎で学んだ過去だけを拠り所に、世代が様々な同窓会へ参加する返信葉書を投函しました。
「何か、一仕事を終えたような満足感があるな」
「それは、同窓会に参加した後のことでしょ」

 11月8日に有楽町で開催の同窓会は、昔を懐かしむだけではありません。同窓会のメンバーが講師になり、人を惹き付けるノウハウの話があります。同窓会の当日は鞄を肩に掛け、その中にメモ用紙と鉛筆を入れて行きましょう。

 遅い昼 麦酒にツマミ ソバ喰わず
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by tabigarasu-iso | 2014-10-27 09:00 | 小説 | Comments(0)

のど自慢の狙い

 日曜日の昼らしさを告げるものは、ラジオから流れる素人の「のど自慢」でしょうか。とは言え、出場者の中には自慢にならない喉もありますから、何が番組の出場基準なのか良く分かりません。

 音程の外れた人ばかりでは「のど自慢」になりませんから、数人は歌の上手い人を選び、聞く人が簡単に判定できるように組み合わせ、誰もが審査員の気持ちを味わえるようにしているのではないでしょうか。

 参加者の「のど自慢」番組と言いながら、聞く人の「あなたが審査員」番組も主催者の狙いのようです。
「今の歌い方は真似し過ぎだね」
「自分の歌にしていないね」
「鐘が二つだね」
「これは鐘が三つ」

 大抵は自分の評価した通りに鐘が鳴り、すっかり審査員の気分に浸る。これが「のど自慢」のもう一つの狙いに間違いありません。

 柿に栗 手当たり次第 口に入れ
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by tabigarasu-iso | 2014-10-26 12:15 | 随筆 | Comments(0)

EU温室効果ガス40%削減

 10月24日、EUでは温室効果ガスを1990年比2030年までに40%削減することにしました。今から16年後の約束ですが、その時の自分生活を想像してみれば、容易には実現しないことが分かります。

 1990年、今から24年前の生活を想い出してみましょう。日本では、不動産バブルが崩壊し、人員整理に的を絞ったリストラが大ブームでした。温室効果ガスによる気候変動など、話題にした記憶がありません。

 値下げ幅の小さな内にマンションを売り一戸建てに引っ越した時には、エアコン4台、小型乗用車1台、家族は犬1匹を含む6人でした。当時の電気やガソリンの使用量は分かりませんが、EUに倣い今から16年後、当時比40%の温室効果ガス(電気やガソリンの使用で大気中に放出される二酸化炭素等)を減らすには、どうしたら良いものでしょう。

 エアコンは1台で十分ですから75%削減できそうです。家族は夫婦2人ですから、電気の使用量50%削減は容易であり、車は所有しない予定ですから100%削減となり、個人的には1990年比2030年まで温室効果ガス40%削減に問題はありません。果たして、地球レベルではどうなることでしょう。出来ることから、皆で取り組む必要がありそうです。

 鉢の中 落ちた鼠を 猫探し
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by tabigarasu-iso | 2014-10-25 12:00 | 随筆 | Comments(0)

課題を解決する審査

「仕事内容と課題を教えてください」
 審査員から質問された管理職の方は、専門用語を交えて説明します。
「すいません。何度も登場する略語の〇と△は何のことでしょうか」
 審査員に答える相手の目には、余裕が生まれました。
「コンピュータを使った印刷のことです」
「そうでしたか。それでは、その仕事を進める上での課題は何でしょう」
「ユーザーの要望が反映されているか検証する点ですね」
「その検証が誤れば」
「製品不良になります」
「すると、それまで投入したものが全て無駄になる訳ですね」
「ええ」
「では、そうした事態を想定した場面がある資料、環境ISOで活動に関する環境側面を見せてください」
 提示された資料には、電気の使用、騒音の発生などが細かく記載されています。
「検証の誤りに関する側面はありませんね」
「はい」
「では、検証の誤りを無くしたい貴方の課題は、この仕組みでは扱えませんね」
「ええ、その通りです」
「では、この仕組みで課題するには、どうしたら良いのでしょう」
「分かりました。検証誤りを無くす策も環境側面の一つにするのですね」
「正解です」
 その時、相手の方は部下に向かって言いました。
「これまでの審査とは全く違う」
 間を置かないで、審査員は確認します。
「良い意味ですか、それとも悪い意味ですか」
「勿論、良い意味です」
 審査中ですから、まさか悪い意味とは言えなかったことでしょうが。

 審査終え ありのままでは 語れない
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by tabigarasu-iso | 2014-10-24 00:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

潤む目

 記者会見に臨む任命されたばかりの経済相の目が澄んでいるようです。それは、お祝いの会見に感激したのではなく、事務所の関係者が利用したらしいSMバー経費が政治資金から支払われた釈明の場ですから呆れて物が言えません。

 自分は出掛けていないと言いながら潤む目は、SMバーに行った嫌疑から逃れる恥ずかしさでしょうか、それとも任命されたばかりの自分に辞任が迫る運命に泣けるのでしょうか。

 先の経済相が辞任したのは、後援会の収入と支出に大きな差があり、それを政治資金で穴埋めしたのであれば法律違反になりますから、管理責任を取っての辞任でした。それも、任命されてから二カ月も経たない辞任劇でしたが、後任の大臣は更に短命になるのでしょうか。

 それにしても、政治資金の使い方に大義がないようです。政治資金のもとは、納税者が懸命に働いて納めたものですから、納税者の生活向上のために政治家に託された経費ではないでしょうか。

 それを事務所の関係者がSMバーで使うなど、管理責任が問われて当然のことであり、支出分を返済させて報告書を修正しても修正処置でしかなく、責任を全うするものではありません。真の原因を明らかにしたうえで、是正処置の最後には潔く辞任するのが宜しいようです。

 SMバー 政治資金で いけません
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by tabigarasu-iso | 2014-10-23 18:00 | 随筆 | Comments(0)

土手を歩く

 これまで、暑過ぎるから、雨が降ったから、台風が来たから、野暮用があったから、あれこれと散歩の出来ない理由ばかりあげていましたが、一日話した夕方の足裏の疲れに体力の衰えを痛感し、思い切って真昼の散歩に出掛けてみました。

 いつもなら十五分歩いたところで折り返し、復路まで含めて三十分の散歩コースから外れ、用水路の土手を歩く一時間半のコースには、足裏を優しく癒してくれる土があります。アスファルトやコンクリートの路では味わえない感触を、三十分ほど浸ることとなりました。

 その間視界に飛び込んだのは、色付いた柿の実の輝く姿です。傍に近寄り写真に納めようかと思いましたが、盗ると勘違いされてはいけません。それは目に焼き付けるだけにして、道端で伸び放題の猫ジャラシを写真に撮りました。

 一束家に持ち帰り、チビトラの土産にしようかと思いましたが、のびのびと咲く姿に見惚れ、触れることもなく立ち上がり帰路に着きます。ゆっくり歩いたつもりでしたが、全身は心地良い疲れに包まれておりました。

 真っ黒な 土の匂いに 触れる足
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by tabigarasu-iso | 2014-10-22 18:00 | 随筆 | Comments(0)

管理責任を問う

 後援会の収支管理も政治家の大切な役割である。実務管理は秘書に任せるにしても、秘書から収支報告を受ける際には、その細部まで政治家は確認しなくてはいけない。

 収支報告すら受けていなければ、それは無責任と言われるだろう。そればかりか、結果によっては政治生命を失うことになるから、収支管理を疎かにしてはいけない。これは、政治家に限らず個人でも会社でも当り前のことである。

 当り前のことができない人には、当り前のことができるようになるまで教育訓練を受けて貰い、管理能力が備わるまで重要な仕事は控えて貰う。こうしたことは、何処の組織でも当り前のことである。

 責任ある地位を辞めれば、それで管理責任を問われなくなるものではない。収入と支出の差額を明確にするまで、説明責任は残る。場合によっては、政治家も辞めなければならないかも知れない。

算数の 出来ない秘書も 紅葉狩り
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by tabigarasu-iso | 2014-10-21 00:00 | 随筆 | Comments(0)

奥のソバ屋

 赤坂見附駅を出た所には寒桜が咲き誇り、どの季節か迷う真昼のことです。昼食のリーダー役を任せた方が案内してくれたのは、賑やかな通りから狭い路地を数メートルほど入った奥にあるソバ屋でした。

 赤坂にある店とは思えない素朴な店内は狭く、四人掛けの卓が三個と八人で囲む大きな卓が一つだけです。その一つを四人で占めて、大モリ、鰊ソバの大と夫々異なる品を頼みました。

 途中、自分は大モリから鰊ソバに変更したのですが、告げ方が悪かったようです。直ぐに大モリが運ばれ、鰊ソバの並が用意されました。
「変更したつもりでしたが」
「はあ」
「結構です。初心貫徹しますから」
「はあ」

 鰊ソバの大を注文した方は食欲旺盛な若い人でしたから、鰊ソバの並では満腹にならなかったことでしょう。
「次の機会には、自分も鰊ソバの大にします」
「そうですか。では、次は満足できそうです」

 秋のソバ 夏のソバより 味深く
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by tabigarasu-iso | 2014-10-20 09:00 | 小説 | Comments(0)