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白髪の旅ガラス

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俺流

 環境ISO審査員は、定められた審査手順に従い審査を行わなければなりません。俺流の審査手順で審査することは許されない立場ですが、その手順は大枠だけ定めるものですから、細部はどうしても俺流になります。

 従い、審査を受ける側は審査員毎に異なる質問を受けることになるでしょう。
「経営における環境ISOの位置付けを説明してください」
「環境ISO導入の狙いを説明してください」
「狙い通りに活用されていますか」
「活用された成果を説明してください」
 こんな質問をする審査員も居ます。

 更に、環境ISOとは関係ないような質問もあるでしょう。
「業務上の課題を許される範囲で説明してください」
 いつもの審査員とは全く異なる質問に戸惑いながら、審査員の質問ですから答えない訳には行きません。
「売上が伸びないこと、それに品質不良率が下がらないことですが」
 こんな話を聞いて何になるのか、きっと首を傾げることでしょう。

 俺流の質問をする審査員には、それなりの思惑があるものです。
「売上が伸びない理由は何でしょう。これを明らかにするには、環境ISOの原因究明と是正処置の手順が有効です」
 首を傾げた相手は、その手順を必ず尋ねることでしょう。そこで俺流の審査員は、環境ISOの不適合処理手順の説明を求めます。同時に、不適合処理の記録も求め、原因究明が十分か、是正処置は有効か議論する中で、相手は売上が伸びない理由を悟ることに。

 猛暑日に 鎧兜は 重たかろう
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by tabigarasu-iso | 2014-07-31 07:31 | ISOマネジメント | Comments(0)

大逆転

 夏の高校野球は、暑い中で清々しいプレイを見せてくれます。どちらが勝っても負けても構いませんが、地元の応援者はそうでもないでしょう。その地元にも、生まれた所や育った所それに働いている所と複数ありますから、勝って欲しい試合が幾つもあります。

 中でも驚いたのは、地方予選の決勝戦の9回の裏、8点もの大差を大逆転した試合でしょう。何事も終わってみるまで分からないとは言われていますが、アレヨ、アレヨの逆転劇は映画のようです。

 決勝戦を除き、地方予選では8点差があればコールドゲームで9回裏などありません。従い、運も味方した大逆転と言えます。しかし、大逆転されたチームとしては、試合が終わっても暫くは信じられない悪夢に違いありません。

 同じような逆転劇はプロ野球にもありますが、高校野球ほどの感動は覚えないようです。それは、大逆転であれ僅差であれ、勝つことをノルマにする商売の所為でしょう。

 昼下がり 梅雨明け空の 晴れ姿
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by tabigarasu-iso | 2014-07-30 07:30 | 随筆 | Comments(0)

江戸風鈴の売り方に学ぶ

『売り声も なくて買い手の 数あるは 音に知らるる 風鈴の徳』と太字で書かれた個所に惹かれ、普段は読むことのない説明書を読んでみれば頷くばかりであった。

 江戸時代の末期、風鈴売りは天秤に沢山の風鈴をぶら下げ、江戸八百八町を売り歩いたが、売り声をあげることがなかったと言う。売り物の風鈴がそよ風を受けて、軽やかな響きを奏でたからである。

 その点、豆腐や納豆売りは、ラッパを吹いたかと思えば売り声まであげてアピールしなければ買って貰えない。テレビコマーシャルを盛んに行う物売りやサービスにも、同じようなものが沢山ある。

 環境ISO導入支援サービスに携わる一人として、風鈴売りの如く声を出さなくても、提供するサービスの質が噂を呼んで次から次へと利用して貰えるようになりたいものだ。

 猛暑日に 心鎮める 江戸風鈴
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by tabigarasu-iso | 2014-07-29 07:29 | 随筆 | Comments(0)

君の名は

 春先、江戸は霊岸橋の脇に伸ばした枝先を見て訊く人あり。
「梅の花かしら」
「そうね。梅の花と言うより、桜ではないかしら」

 何とも呑気な会話だが、誰にも迷惑掛けぬ。ただ、咲いた花にすれば異議を唱えたかったかも知れない。
「どちらでもありませんことよ」

 話せない花は、三カ月後に実を付け、呑気な二人連れに訴えた。
「あれぇ、これは桃の実よ。桜の花と良く似ていたわね」
 梅の花と桜の花、似ているものもあるから仕方ない。

 けれど、決定的な違いは匂いであろう。遠くから漂う匂いで、両者の違いは直ぐ分かる。もっとも、桜だと思っていたものが、桃だと分かった時の驚きも捨てたものじゃない。

 目に頼り 鼻にも頼れ 花の名は
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by tabigarasu-iso | 2014-07-28 07:28 | 小説 | Comments(0)

個性的なホテル

 新富士駅を降り徒歩6分のホテルと承知して歩き始めたが、汗が噴き出す頃になると辺りは暗くなり、ホテルの看板を探しましたが見つからない。道を尋ねたくても歩いている人はなく、駅へ戻る途中の交差点まで引き返し、街灯の下でホテルに電話する。

「もしもし、そちらに伺いたいのですが」
「今、どちらですか?」
「新富士駅を出た交差点の近くです」
「それでしたら、駅を背にして左手に曲がり、その先の三叉路を右へ入り直ぐです」
「そば屋さんが左に見える道ですか」
「ええ」

 何のことはない、ホテルの直ぐ傍まで戻っていたようだ。薄暗がりに看板が見え始め、急ぎ足になると更に汗が吹き出す。玄関に入って靴を脱ぎ、下駄箱に入れようとして注意書きを読む。
『上等な靴は部屋へ持ち込んでください』

 チェックインを済ませてから、念の為に訊いた。
「あの、靴を部屋に持っていくのですか」
「ええ」
 鞄と靴を両手に下げてエレベータに乗る。妙な格好だが、3階の部屋番号が805とは、更に妙であった。

 吹き出した 汗の後には 力抜け
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by tabigarasu-iso | 2014-07-27 07:27 | 小説 | Comments(0)

紳士ノート

 ある組織で環境ISO審査中のことです。環境管理責任者の手にしたノートが何となく気になりました。審査中とは言え、審査内容には関係のないノートを見せて下さいとは言えません。次の部門審査が始まる前に、それとなく尋ねてみます。

「帯に書かれた文字から推測して、格式のある方が使う専門のノートですか」
「いやいや、そうではありません。妻の父からの貰い物です」
「と言うことは、義父の方は格式のある方ですね」
「と言うより、義父の関係のある会社で作られたものです」
「そうでしたか。早合点して申し訳ない。ところで、記載する内容は格式の高いものでしょうね」
「いやいや、そうありたいものですが、なかなか」

 こうした審査員の問い詰めに心中では呆れていることでしょうが、それを顔に見せないのは紳士です。とは言わないで、紳士ノートの謂れを尋ねてみました。
「何が紳士なのでしょうか」
「そうですね。紙の質が大変良くて、書き易い点です」
「どう書き易いのですか」
「ペンが無理なく走る感覚ですね」
「それは良い」
「ただ、まともに買うとなると大変高い」
「あらまあ、懐も豊かでないと買えないのが紳士ノートですか」
「残念ながら」

 何となく理解できたところで、審査を再開します。
「ところで、見せて頂いた不適合処理書の内容、原因は真の原因で是正処置は妥当でしょうか」
「そうですね。改めて見ますと、書かれている内容は原因ではなく現象ですね」
「これからは紳士ノートに不適合処理を記載され、ペンを無理なく走らせては如何ですか」
 この遣り取りを傍で聞いていた環境管理責任者の方は、審査員の顔を見て静かに頷きました。

 江戸風鈴 猫に聞かせて 顔を見る
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by tabigarasu-iso | 2014-07-26 07:26 | ISOマネジメント | Comments(0)

地下二階の駐輪場

 地下に駐輪場のあるのは珍しいことではありませんが、地下一階と二階の二段構えで駐輪場ある場所は見たことがありません。それは、都営新宿線の瑞江駅、初めて降りた駅でした。

 一つは、昇降機のある地下二階の奥にあります。昇降機を待つのは自分だけ、他には誰も乗ろうとしません。中に入れば、自転車が数台並ぶ広さですから、誰か乗り込んでも良さそうです。

 不思議に思いながら上昇すれば、地下一階にも駐輪場がありました。そこでも昇降機に乗り込む人は誰もなく、地上に出たのは自分だけです。はて、自転車は何処から出て来るのでしょうか。

 地元の駐輪場にも、公園の下を利用した場所はあります。朝に押して下り、夕方に押して上がった覚えはありますが、昇降機を利用した施設ではありません。

 そこで、地元の人に誰も乗らない訳を尋ねてみました。
「昇降機のボタンを押しても、来るのが遅い所為でしょう」
「確かに、暫く待ちました。で、何処から出入りするのですか」
「昇降機から見えない奥にあるのです」
 なるほど、次は何としてもその現場を確かめてみたいものです。

 好奇心 いつになっても 終わりなく
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by tabigarasu-iso | 2014-07-25 00:00 | 随筆 | Comments(0)

流れに逆らう淋しさ

 夜目の効かないカラスは、明かりのある間に目的地へと移動する。一方、環境ISOの旅ガラスは、老眼に乱視に近眼に加えて夜目も効かないものの、電車や飛行機の力を借りて夜間移動することは厭わない。

 ただ、帰宅する人の流れに逆らって舞う淋しさは、いつもながらのことである。人気の少ないホームのベンチに座り、五分置きの下り電車から吐き出される乗客に同情しつつ、三十分も待たなければ来ない上り電車を待つ自分も同情しない訳には行かない。

 明るい内に移動すれば避けることも可能だが、旅先で一人の夕食も淋しいものである。家族と夕食を済ませてから移動することに決め、敢えて流れに逆らう淋しさを味わうことにした。

 一人で夕食、流れに逆らう移動、どちらも淋しい事に変わりないが、家族と夕食を済ませた後の流れに逆らう移動の淋しさは、倍増するように思えてならない。
 
 都内では 帰路も混み合う 夜の九時
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by tabigarasu-iso | 2014-07-24 07:24 | 小説 | Comments(0)

静か過ぎて

 周囲で人の話し声が入り乱れ、深く考え事に集中することが出来ない場合がある。その時は、どこか静かな場所を探しに出掛ければ良い。
「問題解決に出掛けます」
「???」
 不思議な場所へ出掛けるものだと思っても、誰も止めることはないだろう。

 だからと言って、静かであれば考えが良くまとまるものでもない。あれこれと浮かび過ぎて、何をまとめて良いのか迷ってしまう。その時は、机を離れて横になり、部屋を暗くして暫く脳を休ませると良い。

 そのまま眠るのも、茫然と天井を眺めるのも良いだろう。それで何か浮かべば良いとし、何も浮かばなければそれも良い。
「脳も夏休みに入ったな」
「あら、梅雨休みは明けたの」

 静かな部屋で休み過ぎても、考えはまとまらないようである。ラジオを点け、人の話し声に少しだけ注意しながら、浮かんだ思いを一つ選ぶ。ラジオの声が邪魔になれば、ボリュームを絞る。こうして、自分で選べる静かさが丁度良い。

 梅雨明けの ベランダで干す 猫の腹
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by tabigarasu-iso | 2014-07-23 07:23 | 小説 | Comments(0)

シャボン玉を飛ばそう

 二十数年前、犬を飼いたい家族の願いに応えて越して来た頃のことである。自宅前の路は、朝になると通学の子供が長い列を作り行進して行ったものだ。

 その路も休日になると遊び場に替わり、一週間振りの朝寝坊も出来なかったものだが、今では子供の姿を見掛けることは殆どない。成長した子供の大半は、家を出て働いているから、当然の現象であろう。

 その路で帰郷した孫とシャボン玉を飛ばす。それこそ、屋根まで飛んで壊れて消えた。歌詞を裏切り、屋根を飛び越すシャボン玉は一つもない。高くは上がらないが、数軒先まで移動するものはある。

 それを庭先で見付けた顔見知りの夫婦は、草むしりの手を休めて眺め、何処から飛んで来たのか振り向いた。その時、互いに目が合い無言で会釈したが、大きなシャボン玉に驚く孫の声は遠慮なく響く。

 シャボン玉 飛ばした先に 遠慮して
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by tabigarasu-iso | 2014-07-22 07:22 | 随筆 | Comments(0)