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白髪の旅ガラス

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駅員モドキ

「まもなく一番線に上り電車が入ります。白線の内側までお下がりください。到着の電車は、新宿経由小田原行き湘南電車です。赤羽根には停車しませんので御注意ください。まもなく電車が入ります」

 こんなアナウンスを、電車の入るホームではなく改札口まで上る階段下で耳にした。妙だと思い声の主を探せば、携帯電話をマイク替わりにした若い学生が線路に向かって話している。

 それが実に旨い。かつて、ホームの駅員と同じ位置に並び、同じアナウンスをしていた人である。仕事の邪魔をされた駅員が、近場での真似を禁止した結果であろう。電車の間近に見える位置を選び、駅員モドキを演じているようだ。

 この行為、趣味か病か分からない。趣味だとすれば面の皮が厚い人で心臓にも毛が生えていることだろう。病だとすれば、家族の心配は如何ほどであろうか。何れにしても、アナウンスしながら指先で安全確認する姿、幸福そうに思えてならない。

 木蓮の 花清めると 小雨降り
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by tabigarasu-iso | 2013-03-31 09:00 | 随筆 | Comments(0)

 犬と猫の性質の違いは、引越しの時に分かるようです。犬は主人と認めた人の後に付いて行き、猫は主人の後など追わずそのまま家に残るということですが。

 これが真実か否かは定かではありませんが、日頃から拘束されている犬は主人に従わなければ餌を貰えず、日頃自由に動き回る猫は周囲一帯が縄張りですから、家と言うより餌の在りかを知った縄張りから離れようとはしない。

 我が家の庭を自由に使えるようになった近所の野良猫は、その典型的な例と言えます。玄関先でニャーと鳴き声を上げれば喜んで餌を用意してくれる元愛犬家の家に懐いても、その愛犬家が出掛ける時に後を追うことはありません。

 自由に塀を乗り越えられる猫が人に懐くなら、何処までも主人の後を追うことも可能でしょう。バスに乗っても、電車に乗り込んでも、主人の足元で静かにしていれば誰も文句は言いません。

 仕事中は窓際で日向ぼっこでもして過ごし、帰りには焼き鳥り屋さんで主人が晩酌する際のツマミを分けて貰う。こうしたことも、人に付く猫に変身すれば簡単に出来ることでしょう。

 桜散り 慌て開花の コブシかな
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by tabigarasu-iso | 2013-03-30 17:40 | 随筆 | Comments(0)

そっくり

 その必要性もない場所なのにいつもの癖でマナーモードにしたままの携帯電話が震えた。二三回震えて停止したから電子メールであろう。ゆっくり手に取り二つ折りの画面を開いた。

『昨日の昼過ぎ、大宮駅新幹線のホームに居ましたか?見掛けた人が居ますが、それに間違いありません?』
 その頃は別の場所に居たから、似ている誰かを見掛けたのであろう。
『自分ではありません。相方が居ましたからアリバイを証明してくれるでしょう』

 再び携帯電話が震えた。返信への返信である。
『分かりました。でも、見た人は間違いないと言っているから不思議』
 文面から未だ納得していないようだ。

 再び返信する。
『世の中には三人似ている人が居るそうだから、その一人を見たに違いありません』
 直ぐその返信が入った。
『一人似た人が近くで発見できた訳ね』
 これに返信はしなかったが、納得してくれたようである。その後、携帯電話は静かになった。

 もう一人 私が居たら 困るかな
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by tabigarasu-iso | 2013-03-29 09:00 | 小説 | Comments(0)

夜桜

 小雨降る中、満開の桜を見に行く。じっとしていては背筋が寒く、足早に桜の通りを往復する。

 冷えた身体には熱い飲み物が良い。かつての仲間は既に店内で待っている。簡単に挨拶を済ませ、身体の芯を温めることにした。

 それから徐に近況を伺えば、怪我をしながらも海外旅行には行ったこととか、これからのビジネスは農業経営だとか、審査は本音を引き出すテクニックで勝負するとか、過去と未来の話に花が咲く。

「良い花見会でしたね」
「身体も温まった」
「そろそろ仕舞いにしましょうか」
「話を忘れないようにね」

 夜桜に 小雨降り落ち 月は待つ
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by tabigarasu-iso | 2013-03-28 09:00 | 随筆 | Comments(0)

日本のへそ

 凡そ日本の真中にあると言うだけで名付けた「へその街」に立ち寄り、上州名物の焼まんじゅう専門店で、それに加えておでん、焼そば、ラーメンとメニューのフルコースを相方と分け合った。

 どれもこれも、十八歳までの想い出深いメニューばかりであったから、全て味わうことにしたのである。注文した後で食べ切れないことを心配したが、小腹を満たす量であった。

 そこから話は妙な方向へ進む。店主が現れ親しげに話し掛けて来た。
「お客さん、時間はあるかね」
「ええ、暇を持て余していますよ」

 お愛想のつもりで言った返事に意外な誘いである。
「二階に上がり、私の歴史を見てくれませんか」
 妙な誘いだとは思ったが、案内されるまま二階に上がった。そこには、店主の賞状と似顔絵が所狭しと並んでいる。

 あれこれ自慢の経歴を聴きながら、妙な人形を発見したところで確認した。
「この人形、写真に納めても良いですか」
「・・・」
 話とは殆ど関係がない写真の許可願いには、店主が驚いていたと相方が言うから、当方の変わり方もなかなかのものらしい。

 想い出を 辿る店中 へその街
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by tabigarasu-iso | 2013-03-27 09:00 | 随筆 | Comments(0)

ブラスバンド部の同窓会

 昨年、卒業した中学校が閉校になったことは知っていた。その中学校を卒業したブラスバンド仲間から同窓会の案内が届き、閉校にはなったが皆で集まり当時の想い出を蘇らせようと言う。

 幹事には懐かしい同級生の名がある。それを認めた瞬間に五十年前が蘇った。確か、渾名をデブさんと言う。それほど太ってはいなかったが、どういう訳かそう呼ばれていた。

 デブさんの担当する菅楽器はバリトン、トランペットやクラリネットと異なり地味なパートを受け持ち、主人公にはならず脇役で皆を笑わすことが好きなデブさんの人柄に合わせていたかのようである。

 私は、派手な管楽器に憧れてブラスバンドに入ったものの、残っていた楽器は小太鼓と大太鼓くらい。仕方なく、小太鼓を担当することになったが、直ぐに野球の応援やら県大会出場の練習となり、皆で作り上げる音楽の楽しさを知ったものである。

 さて、還暦前後まで年輪を増やしたブラスバンド仲間、当時の恩師を迎え、どんな法螺を吹き、派手に太鼓腹を打ち鳴らすことであろう。

  同窓会 温泉ならば 私行く
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by tabigarasu-iso | 2013-03-26 09:00 | 随筆 | Comments(0)

トラ、トラ、クロ

 雄猫だと思って名を付けた野良の虎之助は、近所の情報屋が雌猫だと言うから信じ、直ぐに虎子と勝手ながら改名した。それも、名が無ければ呼ぶのに困るから付けたものの、虎之助でも虎子でも構わなかったが。

 玄関先に小さな皿を置き、虎、虎と名を呼べば数分後に虎子は現れ、何時でも逃げる用意で餌を喰う。その後で、何時でも飲めるように用意した器の水を飲み、虎子は何処かへ消える。

 その虎子、もう一匹居るらしい。相方が言うには、濃い縞の黒と淡い縞の黄色の虎子が、交替に現れているようだ。二匹が同時に現れることは一度もなかったから、同じ虎子と信じて疑うことはなく、未だに信じられない。

 ある晩、そろそろ腹の空く頃だと餌を用意して、閉まる直前の戸の隙間から様子を窺えば、そこに現れたのは黒猫である。余程腹が空いていたのであろう、ガツガツ音を立てて虎子の餌を喰い終えた。

 黒猫が退散した頃を見計らい、もう一度玄関先に出ると虎子が座って餌を待っている。どうやら、虎、虎、黒の三匹の野良猫が、こちらの用意した餌で命を繋いでいるようだ。

 水温み メダカも群れて 泳ぐ頃
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by tabigarasu-iso | 2013-03-25 09:00 | 随筆 | Comments(0)

止まぬ風

戸袋に入り込み
  雨戸を揺する風
   昔は木戸でガタ
    今は金戸でカシ
     気紛れな風吹き

いつまで荒れる
 夜通し眠れぬ人
  どうして荒れる
   聞いても同じで
    唯ビュービュー

在庫切れたのか
 風は止んで静寂
   寝不足の重い瞼
    知らずに下がり
     遠くに小鳥の声

五行詩に 題は不要と 言われても
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by tabigarasu-iso | 2013-03-23 12:45 | 随筆 | Comments(0)

何か訳が

 急に25℃を越す夏日を迎え、春分の日には桜が満開になりました。未だ、週半ばですから、週末に多くの人が予定する花見の宴まで咲き続けていてくれるでしょうか。

 例年より10日も早い桜の開花だそうですが、早く開花しても花は長持ちするとのことです。しかし、それを誰かに聞いたのでしょうか、その日の夜から強風が吹き荒れ、満開の桜を苛めて止みません。
 
 日本人の花見の楽しみを奪う強風が吹くには、何か訳がありそうです。彼岸を迎え、あの世に行った肉親が風の力を借り、忘れては困ると家を揺するのでしょうか。

 仏壇に線香を一本あげ、そっと合掌します。その煙が天井に届くと、あれほど強く吹き荒れた風は止みました。不思議なものですが、低気圧の影響の他に何か訳がありそうです。

 花よりも 俺を見ろよと 風も言い
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by tabigarasu-iso | 2013-03-22 09:00 | 随筆 | Comments(0)

脳卒中発症確率?

 脳卒中は、脳の血管がつまる「脳梗塞」と脳の血管が破れて出血する「脳出血」や「くも膜下出血」の種類があります。脳卒中の発症は命を落とす場合が多く、命を取り留めても言語障害や半身不随などの重い後遺症が残る。

 脳の血管がつまらないよう、また破れないようにするには、流れやすい血液と破れない柔軟な血管を保てば宜しい。こうした総論は分かっても、自分で脳卒中の発症確率が分からなければ真剣に取り組こうとする人は希です。

 今回、ある大学の先生が脳卒中の発症確率の算出方法を発表しました。それがテレビや新聞で大きく取り上げられたものですから、自分の脳卒中の発症確率を疑いつつ計算してみれば、10年間で4%の発症確立と分かります。血管年齢は、実年齢より幾らか高い64歳であることが分かりました。

 脳卒中の確立が数パーセントあり、血管も実年齢以上ですから、血液をサラサラにして、柔軟な血管になるよう気を配りたいと思います。が、算出方法を良く見れば、年齢が60歳以上で男性であれば血管年齢が64歳で、それより年齢を下げることは出来ません。何だか、仰々しく発表された脳卒中の発症確率の算出方法ながら、殆ど役に立つものではなさそうです。

 お彼岸の 太陽受けて 草むしり
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by tabigarasu-iso | 2013-03-21 09:00 | 随筆 | Comments(0)