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白髪の旅ガラス

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西日も驚く

 新幹線の小さな窓から西日が差し込む。それが自分の席であれば日除けを下ろす。ただ、前の席からだと座った人に任せるしかない。

 前の人が新幹線に乗り慣れていれば、即座に日除けを下ろしてくれるだろう。そうでなければ、差し込む西日に感激して車窓に映る風景を眺め続けるに違いない。

 結果は、どちらでもなかった。前の人は、日除けを下ろさないで眠ってしまったのである。こうなれば事は簡単、後から手を伸ばして静かに日除けを下ろせば良い。

 だが、そうはしなかった。残り数時間で消える運命の西日である。力を振り絞り精一杯照らして貰おう。どうにも眩しければ、こちらで頭の位置を変えれば済む。

 それに、新幹線の移動する速度は驚くほど早い。あっと言う間に位置が変わり、西日も当てが外れて驚く筈である。

 予約席 空いた席見て 首傾げ
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by tabigarasu-iso | 2012-10-31 08:42 | 随筆 | Comments(0)

怪しく笑う

 「のぼうの城」は、二千の軍勢で二万の敵と戦い持ち堪えた武将の映画らしい。ポスターで怪しく笑う武将は、主人公の「でくのぼう」のようである。

 詳しい内容を知りたい方は映画を観て貰うのが一番だが、「のぼう」が「でくのぼう」のこと位は知っていても損はない。

 何の役にも立たない「でくのぼう」と言われながら、人間性で農民に慕われる武将がどんな方法で大軍を迎え撃ったのか、その怪しく笑う眼が期待させてくれる。

 その城は、埼玉県の行田市にあった忍城のこと。近くを何度も通りながら、一度も訪ねたことはない。映画を観てから、ゆっくり訪ねてみよう。

 でくのぼう 言われた頃を 想い出し
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by tabigarasu-iso | 2012-10-30 07:54 | 随筆 | Comments(0)

見ぬ振り

 土曜の朝、秩父鉄道に乗り込む。疎らな車内を見渡せば、殆どが登山姿の客ばかり。たった一人で背広にネクタイ姿は、野暮に見える。

 何も、ネクタイまで締める必要などない。ただ、朝方の冷え込みから察して、寒さ対策に捲いただけである。それに、ネクタイは背広に似合う筈であった。

 何時からか、通路向かいの二人連れ登山客の視線を感じる。熊谷駅を出発してから、車窓も見ないでパソコンを睨み続ける妙な白髪人が気になるのであろうか。

 時々、こちらもディスプレイに映る登山客の様子を窺う。人形を窓際に置く。何を始めるのか。カメラを取り出した。人形越しに線路脇のコスモスを撮る。そのアイデアに思わず頷いた。

人目避け 人目窺う 暇な人
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by tabigarasu-iso | 2012-10-29 09:00 | 随筆 | Comments(0)

言い訳の下手な人

 約束の時間が過ぎても、あの人は現れません。主役を務めるあの人の身に何かあったのでしょうか。居ても立っても居られず、窓辺からあの人を見付けようと、通りを探す朝の出来事でした。
 
 遅れて来場されたあの人は、待ち侘びた人々にお詫びする余裕もありません。
「予定より電車が遅れまして」
 何と味気ない言い訳でしょう。

 それだけ言うのが精一杯のようです。息も荒いまま、あの人はルールを守る約束を含む環境ISOの審査を始めたものの、自ら約束を破ったものですから、その質問は徒に響くだけでした。

 審査も終りの時刻になり、今度ばかりは約束を守らなければなりません。すると、あの人は懲りもせず、言ってはいけない科白を口にしたのです。
「約束の時間を守らないと不適合になりますから」

 遅れても 詫びを言えない あの人は
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by tabigarasu-iso | 2012-10-28 12:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

恐ろしい毒針毛

 茶の葉、山茶花の葉、椿の葉を好んで食べる茶毒蛾と言う虫がいるらしい。卵、幼虫それに成虫の蛾に至るまで、毒針毛を撒き散らして、それに触れた人や犬の皮膚にかぶれを作る。

 これまで一度、被害に遭った身内から話には聞いた事があった。その被害は如何ほどか、想像するだけであったが、複数の被害者を目の当たりにしては黙って居られない。

 茶の葉、山茶花の葉、椿の葉を見て、それらしき毛虫を発見したら触れないように。運悪くかぶれの症状が現れたなら、市販の薬は役に立たないから医者に診て貰うしかない。

 その時に着ていた物にも毒針毛が付着しているから、そうでないものと一緒に洗濯してはならないようだ。50℃以上の湯で洗濯するか、スチームアイロンを掛けて、毒の成分を無毒化する必要がある。

 更に気を付けなくてはならないのは、二度目、三度目もかぶれることだ。その都度、症状が重くなるから、山茶花や椿の花を楽しんだことは忘れ、蜂の巣に近付く覚悟で茶の葉、山茶花の葉、椿の葉の表裏を確認してから一句詠もう。

 茶毒蛾と 漢字で書けば 誰が寄る
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by tabigarasu-iso | 2012-10-27 08:32 | 随筆 | Comments(0)

審査の生中継

 環境ISOを導入して十年が経つ組織で、定期維持審査が行われています。審査員は六十代と七十代ですから、人生経験を活かした巧みな審査テクニックを見せてくれることでしょう。

 実況中継は、審査中には発言を許されないコンサルが担当します。さて、初回会議の会場では、六十代の審査による落ち着いた説明、なかなかの好スタートですね。

 続いて、トップインタビューに入ります。工場長と雑談を交わしながら、環境ISOの導入効果や資源投入を確認するくだり、まずまずの審査テクニックと言えるでしょう。

 ただし、インタビューを終える直前、七十代の審査員に質問を振ったのが間違い。
「内部監査は有効でしたか」
 おっと、一言では答えられない難問を投げ掛けました。

 それでも、工場長は何とか回答しましたが、自分でも満足が行かない様子です。相手の立場や回答のし易さを考慮しない質問、これはもういけません。

 次は、部門審査の会場から生中継します。
「環境教育の記録を見せてください」
 おや、質問はオーソドックスになりました。

 推進担当者は素早く記録を提示しましたが、七十代の審査員は不満そうです。
「教育の効果を確認したものはありませんか」
 これまた難問、さて推進担当者はどう答えたものでしょう。

 根拠なく 尋ねる審査 人増えて
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by tabigarasu-iso | 2012-10-26 09:00 | ISOマネジメント | Comments(0)

日本一の雪化粧

 下ばかり見ている人には分からない
 上ばかり見ている人には興味がない
 遥か遠く見る人だけに映る富士の山
 冬の到来告げる早くも妖艶な雪化粧

 早朝に彩の国から眺めても泰然とし
 真昼の都心から探しても変わらぬ姿
 夕の新幹線に揺られて認める雄大さ
 果ては夜も更け夢にまで見る雪化粧

 雪化粧 匂い飛ばさぬ 富士は良い
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by tabigarasu-iso | 2012-10-25 06:49 | | Comments(0)

蚊を許す

 家の北側は、人が歩ける幅しかなく光も当たらないから何も植えない。従い、自然に増殖したドクダミに占有されている。

 そのままにして置いても毒にはならないが、暇に任せてむしり取ることにした。それも、西日の落ちる間際になって、根元からゆっくり引き抜く。横に伸びた根は、至るところで根を下ろし、引いても容易に抜けない。

 燃えるゴミ袋がドクダミで膨れ始めると、額に汗が滲んだ。すると、その匂いを嗅ぎつけた薮蚊は、羽音を立てて近付きこめかみの辺りに狙いを定める。そうはさせまいと、軍手の甲を打ち当てた。

 再び、ブンブンブンと蚊の羽音が聞こえる。人を馬鹿にしているようだ。素手であれば間違いなく打ち落とせたが、慣れぬ草むしりの最中であったから許す。

 夕暮れに 薮に入れば 蚊に会って
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by tabigarasu-iso | 2012-10-24 07:39 | 随筆 | Comments(0)

今を大切に

 今のある人には、それ以前の過去とそれ以降の未来がある。中でも、今が最も大切なことは、大多数の人が共通の思いであろう。

 過去の栄華にすがり付き、想い出の中で生きる人も居る。それは、誰に迷惑を掛ける訳でもないから構わない。未だ実現しない夢の中で生きる人も、同じことが言える。

 八十歳を過ぎて現役の俳優を続けた大滝秀治さん、私には過去も未来もなく、あるのは今だけですと宣言され、今の仕事に脇目も振らず没入する姿に感動した。

 その大滝秀治さんが他界され、お別れの会で読まれた弔辞に涙する。出来る事なら、それは当人の意識が失せた今ではなく、生きている時に聞きたかったとおっしゃったに違いない。

 葉も落ちて 炬燵の欲しい 朝夕に
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by tabigarasu-iso | 2012-10-23 09:00 | 随筆 | Comments(0)

空気を読めない審査員

 休み時間ではありません。審査会場には、静寂の波音だけが聞こえます。徒に時が流れ、審査時間も残り少なくなりました。

 四十代の審査員は、相手の弱点を見付けて勇ましく懐に飛び込んだものの、何の反応も示さない相手に対して、次の手を知らないようです。

 審査を受ける相手にしても、若い審査員を無視した訳ではありません。答えたくても、審査員の質問の意味が分からないのです。

 そう素直に言えば、若い審査員も質問の内容を替えてかも知れません。その勇気と知識がなければ、ただ押し黙っているしかないようです。

 ところが、審査員は何を勘違いしているのか、同じ質問を何度も繰り返すばかりでした。その挙句、自らも静かな審査会場に首まで浸り、そこから抜け出す言葉を探しているようです。

 ウサギを見付けて穴に入り込んだ猟犬、深く入り過ぎて戻れないと知り、知らない振りする猟師はないでしょう。後足に手を掛け、引き戻してあげることに。

「回答を頂戴するのは、次の機会にしましょう」
 次の機会など、いつになるのか約束できませんから、事実上の打ち切り宣言です。かように話題を切り替え、残り僅かな時間だけでも質問上手な審査員になりましょう。

 規格読み 空気読めない 審査員
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by tabigarasu-iso | 2012-10-22 09:00 | ISOマネジメント | Comments(0)