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白髪の旅ガラス

ヤモリ再登場の歓喜

 いつもなら、六月の半ばには夜間になると台所の窓辺に現れる筈のヤモリ、今年はなかなか現れません。

 内心、近所の暇を持て余した猫に捕獲され、胃袋に収まって猫の一部になってしまったに違いないと思い、此の頃は諦めておりました。

 愛犬の一周忌を迎えた昨夜、線香を上げに立ち寄った娘が見付けて、大きな声で教えてくれます。それほど大きな声でなくても、未だ耳は聞こえますが、ヤモリは驚き隠れてしまいました。

 現れたのは間違いないことでしょうが、自分の目で確かめるまでは納得できません。蛍光灯を点けたまま、暇に任せてじっと待ちます。けれど、そんな時は現れません。

 ブランディーを舐めながら徒にテレビを観れば、視界の隅には窓ガラスに貼り付いたヤモリが映ります。それが何とも愛しく、遠くで眺めながら二盃目を頂きました。

            良く来たね ヤモリに語る 人もあり
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by tabigarasu-iso | 2012-06-30 12:05 | 随筆 | Comments(0)

歩くモアイ像

 南太平洋のイースター島にある巨大なモアイ像は石で出来ているが、遠く離れた石切り場からどのように運ばれたものであろうか。

 木材の上に載せて地面の上を牽いたものか、又は、丸太で作ったコロの上を丸太で作った橇に載せて牽いたものか。それも、豊富な森林資源があったから可能であったが、再生するのを待たず皆伐したことで、森林は消滅した。

 森林が消えれば、土壌が水に流され農作物は実らない。木材から繊維が取れないから、網も糸も出来ず漁が出来なくなった。その結果、イースター島は人の棲めない場所となり、巨大なモアイ像だけが残ったなどと自信たっぷり説明してきたが、異なる説があるらしい。

 モアイ像は、歩いて移動したと言う。自分で歩けば大魔神になるが、やはり人手によるものだ。左右に揺するチームと後でバランスを取るチームにより、モアイ像は左右に揺れながら前進するらしい。

 青空に 大葉広げる 無花果よ
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by tabigarasu-iso | 2012-06-29 12:11 | 随筆 | Comments(0)

真夜中の訪問者へ

 時計の針が夜中の十二時を回ったところで、必ず「白髪の旅ガラス」に立ち寄ってくださる方が複数います。その方々、女性であるか男性であるか不明ですから、真夜中の訪問者と命名させて頂きました。

 当初、真夜中の訪問者は一名でしたが、最近は三名から八名に増えて居ます。それも毎夜のことですから、その日に掲載する随筆の内容を、仕事を終えた夜中にまとめながら、前日の反応を確認する筆者も驚きを隠せません。

 真夜中の訪問者は、何を期待されていることでしょう。駄文ながら懸命に随筆をまとめる筆者としては、その期待に少しでも応えなければ申し訳ありませんから、期待される内容を幾つか想像してみました。
 1)コンサル道のヒントを得る。
 2)審査の参考にする。
 3)営業のヒントを得る。
 4)社内の問題解決の参考にする。
 5)隣近所との付き合い方の参考にする。
 6)季節の移り変わりを知る。
 7)真面目な話の中に笑いを期待する。
 8)眠り薬の替わりにする。

 それとも、何も期待されない気楽な訪問かも知れません。それを承知しながら、つい筆者も肩に力が入り、コンサル道とか経営道とか、本人以外が読んでも面白くない内容に走る傾向にあります。

 けれど、著者が望むところは、コンサルや審査を通じて見付けた旬の喜びや感動を多くの人に伝え、心の幸せに貢献することに他なりません。従い、真夜中の訪問者が、本書を読まれた直後に安眠して頂ければ、それこそ望むところです。

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鳩の声 梅雨の合間は 遠くなり
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by tabigarasu-iso | 2012-06-28 10:54 | Comments(0)

数ミリの命

 水槽に水を貯めて置けば、蚊が喜んで卵を産み落とす。それがボウフラになって、不器用に泳ぐ様子は観賞に耐えない。

 ボウフラが成長すれば、空中を舞い吸血鬼になる。メダカか金魚を飼えば、ボウフラの段階で餌になるから、吸血鬼になるのを阻止できるだろう。

 水槽が藻で汚れ、別の場所にメダカを移し始めたところ、元の水面を何かが蠢く。まさか、ボウフラではあるまいと覗き込めば、三ミリのメダカ一匹が必死に泳いでいる。

 移されたメダカには、腹の大きなものが何匹も居た。水草に産みつけた卵が、孵った直後であろう。成長したメダカと一緒であれば、ボウフラと間違われて食べられてしまうかも。

 他にも居るのか、眼鏡を外して探す。見えるのは、先の一匹だけである。もう少し時間が経てば、その仲間が増えるに違いない。藻で汚れた水だが、入れ替えは先に延ばすことにした。

 三ミリに なればメダカと 見分け付き
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by tabigarasu-iso | 2012-06-28 08:45 | 随筆 | Comments(0)

造反

 新聞の一面に躍り出た「造反」の大文字、その体制の中にあって、体制のあり方を批判することであるから、ただ事ではない。

 それも、政権与党のルールを無視した造反だから、厳しく処分するのが一般的な判断である。だが、そうすれば離党を加速させるから、軽い処分とする政治的な判断もあるようだ。

 ただ、党で定めたルールを無視して造反した者が、国民に約束したマニフェストに違反するからと言って、党の決定に反対するのは、どのルールを基準にした判断なのか、複雑で分からない。

 分かるのは、党の決定に従わない者は、その党に席を置けないことである。必要なのは、被災された方への救済優先であり、納税する国民の幸福度を上げることであり、造反組に頭を下げてまで、多数党を維持することではなかろう。

 暖かな 陽気も夜に 炬燵点け
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by tabigarasu-iso | 2012-06-27 08:58 | 随筆 | Comments(0)

孤独から解放され

 とうとう、最後の一頭になったガラパゴスのゾウガメが亡くなった。北から南へ細長い日本列島の真中で生まれ、以来、人生の大半を多くの仲間と島国で過ごしているから、仲間もなく暮らすゾウガメの記事を見て哀れを感じた記憶がある。

 呆れるほどゆっくり歩くゾウガメは、天敵のいないガラパゴスでゆっくり生き延びて来たが、人に喰われて絶滅危惧種になり、とうとう全滅してしまった。一頭になった時点で、子孫を残す可能性はなくなり、絶滅と言う最悪の事態は予測されていたことである。

「長生きするのも楽じゃない」
「一匹で生きて何の楽しみがある」
「昔、仲間を喰っておいて、今更、俺だけ保護か」

 かつて、ロンサム・ジョージと呼ばれるゾウガメの写真を見て、そんな思いがしたものだ。推定年齢は百歳以上と言うから、高齢化の進む人間に置き換えてみれば、先の思いは自分達のことだと気付くだろう。

 絶滅の 種にしないでと メダカ言い
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by tabigarasu-iso | 2012-06-26 08:30 | 随筆 | Comments(0)

カッコウ鳴く

 遠くで
 鳴いた
 カッコウと
 鳴いた

 空耳かも
 念の為に
 ガラス戸を開け
 耳を立てる

 少し待つ
 やがて
 カッコウと
 確かに鳴いた

 何故か
 安心する
 残るは
 夜の狩人

 ヤモリ三匹
 ガラス窓に
 いつ現れる
 今宵も灯り点け

 カッコウの 鳴き声遠く なりにけり
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by tabigarasu-iso | 2012-06-25 08:50 | | Comments(2)

あずる

 中国地方へコンサルの旅をした時のことでした。
「あずるなぁ」
「・・・」
「こう急かされてはかなわん」

 相手が何を言いたかったのか、少し分かってきましたので。
「もしかしたら、あせるなぁ」
「そうじゃ」
「そうでしたか、初めて聞いた言葉でしたから」

 地元の人が仲間同士で遠慮なく話していると、時々、分からなくなることがあります。その時は、遠慮なく確認することにしました。

 コンサル時には、何処でも通じる東京弁を話すようにしていますが、地元に帰れば地元の言葉が知らずに出てきますから、逆のことがあるのかも知れません。
「きんな、言ったんべぇ」(昨日、言ったでしょう)
「・・・」

 郷に入り 郷に従う 訛りかな
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by tabigarasu-iso | 2012-06-24 10:00 | 随筆 | Comments(0)

西日だけの部屋

 どうして、西日しか当らない部屋を仕事部屋に選んだものか。思い付くまま、消去方式で考えてみたら直ぐに分かった。

 朝日の当たる部屋は、子供が喜ぶだろう。真昼の太陽を受ける部屋は、家事を行う人が使えば良い。西日しか当らない部屋は、表通りの喧騒から離れ、仕事に集中出来る。

 仕事部屋に決めた小さな部屋は、エアコンなど装備していないから、夏は暑く冬は寒い。快適な季節は、春と秋だけである。

 一年の半分が忍耐の部屋でも、窓から裏の家で手入れしている庭が、春には開花を見せて、秋には紅葉を教えてくれた。

 その部屋は、太陽の光が長く当るから殆ど照明が要らない。ただ、長々と照らす西日は眩し過ぎ、カーテンを二重に閉めて暗くなり、仕方なしに照明を点ける。

 厳しいのは、夏場の猛暑を扇風機だけで凌ぐ数日間だけのことだった。冬場は、体温と小さな電気ストーブで直ぐに温まる。

 かように、西日しか当らない部屋を仕事部屋に選んだ理由は幾つもあった。

 秒毎に 明るさ変える 西日追い
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by tabigarasu-iso | 2012-06-23 00:24 | 随筆 | Comments(0)

茅の輪

 彦根城のお濠の傍にあるホテルに到着したのは、日の暮れる直前のことです。翌日の仕事は忘れ、ホテルの隣の蕎麦屋で伊吹そばを楽しむことにしました。

 大きな店内に客は自分だけ。迷わず大盛そばを注文すれば、数分も待たせません。思い切り音を立ててすすると、その音が店内に響き渡り、何とも気持が良い。

 ものの数分も掛けずにそばを食べ終え、ホテルへ戻る入り口近くに奇妙な輪がありました。
「茅の輪と書かれていますが」
「あの輪をくぐると、無病息災で過ごせます」

 茅の輪くぐりは、半年が過ぎる6月30日の行事とのことです。この輪をくぐれば、罪や穢れを祓うことができ、その時に残り半年を無事に過ごせるよう願うとのこと。数日後には、伊吹そばをすすって満足した人が、この茅の輪をくぐり安心することでしょう。

 遠慮なく 音立てすする 旨いそば
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by tabigarasu-iso | 2012-06-22 08:58 | 随筆 | Comments(0)