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白髪の旅ガラス

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暖かい気持ち

 マフラーを巻き、手袋を嵌め、セーターとオーバーを着込んだ人が寒いなどと言ったら、冷たい海の上で漁をする人は呆れて物が言えないことでしょう。
 
 更に、暖房の効いた部屋でパソコンを操作し、電話を掛けることにも飽きて、足元の寒さばかり嘆くようでは、釣り上げられて氷に浸かった魚は何と言うのか聞いてみたい。

「おいら、こんなところで終わるのは嫌だよ」
「こっちもそうだ。赤い魚の言うことなど聞いた所為で」
「今更、ひとの所為にするとは、往生際が悪い黒い魚だね」
「お前さんが、海老は旨いと言ったから」
「それは、おいらの意志。海老を選んだのは、あんたさ」

 何処の世界にも、自分の行動を相手の所為にする場合があるようですが、そんな寒い心は改めて、思い遣りのある暖かい気持ちを大切にしたいものです。

 新鮮な 魚は氷 離せない
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by tabigarasu-iso | 2012-01-31 18:03 | 小説 | Comments(0)

あついから

 このところ、余りの寒さに首が胸に潜り込んだまま、なかなか元には戻りません。その所為か、無理した肩が凝る、そんな方が増えているのではないでしょうか。

 どんなに寒くても空腹には勝てませんから、勇気を出して昼飯に出掛けます。それも、出来るだけ近場の店を選び、旨い不味いより、待たずに入れる店に飛び込み、寒さ避けることを優先することにしました。

 昼時の短時間で勝負するお店は、処理能力がなくても沢山の客を呼び込みます。従い、料理を待つ客の方が多数を占め、その仲間に入りじっと待ちました。

 先に出た隣のジンギスカン鍋が気になり、暇に任せて注目すれば。
「あついから、気を付けてください」
「むむ、肉は薄い」
 店員と客との遣り取りに、思わず座布団一枚。

 寒風に 冷えた体を 待つ鍋か
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by tabigarasu-iso | 2012-01-31 08:47 | 随筆 | Comments(0)

上毛かるたを忘れない

 NHKラジオの昼の放送で、小学生の上毛かるた大会が紹介されました。群馬県に生まれた人なら、誰でも知っている上毛かるたですが、他県の方には殆ど判らない不思議な地方の文化です。

 かるたと言えば、日本人の多くは百人一首、読み札には短歌が書かれ、取り札には下の句が書かれているものを思い浮かべますが、群馬県人の頭には上毛かるたしか浮びません。

『い』の『伊香保温泉日本の名湯』、『あ』の『浅間のいたずら鬼押し出し』と言った、群馬県内の名所や有名人を誇る読み札とその絵が取り札に描いてあります。

 小学校の授業で必須科目になっていますから、好き嫌いに関係なく誰もが強制的に暗記しなくてはなりません。その所為でしょうか、群馬県を離れて生活するようになっても、殆どの人が上毛かるたを忘れないようです。

 六畳の 部屋に炬燵が あれば良い
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by tabigarasu-iso | 2012-01-30 08:23 | 随筆 | Comments(2)

街中の蝋梅

 生垣の山茶花がだらしなく散り落ち、街の通りに花の姿が消える季節になりましたが、その中で存在感を示すのが枝一杯に黄色い花を付けた蝋梅。

 沢山の蝋梅が咲く名産地に行き、心ゆくまで眺めてみたいものですが、わざわざ寒い最中に出掛けるのも億劫ですから、近場で見付けて楽しむことにしています。

 先日、自宅から駅まで十五分、往復三十分の散歩ルートを変えてみたところ、他所様が大切に手入れされている庭先に見事な蝋梅の枝を発見しました。

 歩みを止めてポケットから携帯電話を取り出し、誰も居ない庭に頭を下げて許しを請い、カメラ機能にスイッチを入れてパチリと一枚。蝋で作った花のようで本物ですから、初めて目にした時には大変驚きました。

 花のよう 菓子にも見える 蝋梅か
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by tabigarasu-iso | 2012-01-29 17:57 | 随筆 | Comments(0)

御花畑駅に降り立ち

 秩父鉄道の駅の一つ、御花畑駅に初めて降りました。JR熊谷駅から66分、ほほ3分置きに停まる電車に揺られ、車窓に飛び込む自然を楽しんだ後の事です。

 日陰には、先日の雪が残っていました。暖房の効いた電車から降りると、秩父の寒さが背中に飛び込むようです。それでも、歴史のある街並みは珍しく、寒さと仕事を忘れ観光気分に浸ることができました。

 そこから隣の西部秩父駅まで歩いて3分、御花畑駅とは別世界の賑やかな駅前には、見上げるばかりの大木があります。これ程の大木のある駅前は、他に見た事がありません。後を振り返れば、石灰石を切り出した跡の横縞の残る山が更に高く構えています。

 仕事を終え帰路の御花畑駅で購入した切符は、昔ながらの硬い板紙で記念に欲しくなりましたが、降車時には返さなくてはならず残念でした。

この次は 春に来いよと 花畑
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by tabigarasu-iso | 2012-01-29 12:08 | 随筆 | Comments(0)

密談予防

 東日本大震災に対処した政府の会議に関し、その議事録が10の組織でないそうです。こうした類の議事録は公文書ですから、作成したものを一定期間保管しなければなりません。

 議事録未作成の原因究明と改善策の検討を、公文書管理担当を兼ねる副総理が要請したそうです。けれど、大震災から10ヶ月が過ぎて関係者の記憶に頼るしかありませんから、会議内容の詳細を復元することは難しい。

 特に、日本民族が経験したことのない大地震、大津波、原子力発電所からの放射線漏れへと連続した震災であり、それに対処した政府要人の会議内容を記した議事録は、次の震災に備える貴重な記録になります。

 まず、可能な限り議事内容を復元する応急処置が必要でしょう。それと併行して、何が原因で、どんな改善策を取るのか、公文書管理担当者の采配を拝見したいと思います。

 その采配が再発防止になっていない場合、ISOマネジメント導入を政府に提案しましょう。ISOマネジメントは国際標準ですから、方針決定、目標審議決定、関係者の教育、目標の実行、目標進捗の点検、そして次年度の方針や目標の再審議へと、政府の仕組みが誰にでも見えるようになり、国際的にも日本政府の信頼性が高まります。

 議事録を 取らぬ会議は 密談さ
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by tabigarasu-iso | 2012-01-28 15:43 | ISOマネジメント | Comments(0)

冬牡丹

 上野駅の16番線を利用する方は、その改札口の手前で輝く冬牡丹に会えることでしょう。この大寒にも負けず、藁囲いの中で大きく開いた花、その手間を掛けた人には頭が下がります。

 当の牡丹は、季節外れの開花に面白くないのかも知れません。花粉を運んでくれる蝶が訪問してくれることもなく、何の為に花を咲かせたのか、自身でも首を傾げていることでしょう。

 それでも、花の少ない時期に大輪を見せてくれる牡丹には、思わず手を合わせてしまいます。花の芯には、寒さとは無縁の極楽があるのでしょうか。手荷物を置き、人目も苦にせず屈み、カメラに納めてあげました。

 かつて、一度だけ牡丹の開花に成功したことを想い出します。それも束の間のことでしたから、季節外れの冬場に大輪を長く咲かせる業師には、ただただ頭を下げるしかありません。

 その場だけ 春を呼びます 冬牡丹
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by tabigarasu-iso | 2012-01-28 10:26 | 随筆 | Comments(0)

審査後の出番

 三人の審査員の年齢を合計すると217歳になります。高齢化の進む日本では、環境ISO審査の高齢化も当り前の現象と言えるでしょう。

 とは言え、審査の場に立ち会うコンサルとしては、審査に関し何かコメントしないことには仕事になりませんから、その糸口を懸命に探るものの、現役で活躍する大先輩の姿が大きく映り、是も非もなく頷くばかりです。

 審査が終わったところで、コンサルは事務局の方に言いました。
「審査員の指摘は、皆さんが対応するのも、対応しないのも自由な案件ばかりです。個別に判断を伺った上で、具体的な策を確認しましょう」

 対応しないことも対策の一つと知り、事務局は安心したようです。
「一番目の案件は、何度説明しても納得して貰えませんでしたが」
「関連の手順書があること、審査中に説明されませんでしたね」
「ええ」
「審査員も確認しなかったようですが」
「はい」
「説明責任を果たせない側の課題は残りますが、指摘された内容は的外れですので、対応しなくても構いません」
「はあ、そうですか」
 事務局の顔は、一瞬明るくなりましたが。
「但し、他の案件は対応が必要です」
「はあ」
 見る間に、その顔は曇って慌しいことです。

 高齢の 審査員には 父映り
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by tabigarasu-iso | 2012-01-27 08:48 | コンサルサービス | Comments(0)

花インゲン

 高い品物やサービスには、安いものにはない理由がある。その違いがなければ、誰が好んで高いものを買うであろうか。

 混雑した電車を避けてグリーン車の乗るのは、乗車料金が倍になるものの座って行ける特典がある。また、喧騒の中で飲み食いするのに飽きて、静かに話しながら飲食を楽しむ贅沢に懐は痛むが、それに勝る価値もあるだろう。

「花インゲン、とても安く買えたの」
「・・・」
「信じて貰えないようね。それなら見て貰える」
 現物を見てから、相手は済まなそうに言った。
「粒が小さい。それに、産地が中国とある」
「うそ、大丈夫かしら」
「何とも言えない」

 収穫まで手間の掛かる国産の花インゲンは、粒の大きさに見合った値段と味がする。それに良く似た中国産のものは、粒は一回り小さいものの半値であるから、衝動買いしたようだ。果たして、その味が良ければ問題はないが、如何なものであろう。

 氷上の 腰引く姿 街中に
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by tabigarasu-iso | 2012-01-26 08:39 | 随筆 | Comments(0)

静岡は今日も晴れだった

 背筋の寒い雨降る東京駅を離れて1時間余り、静岡駅に着く頃には夕日が隠れるのを惜しんで出迎えてくれた。

 暖房の良く効いた車内から寒いであろうホームに立てば、肌切る風の替わりに春を思わせる生暖かい風が出迎えてくれる。着込んだ厚い生地のオーバーが、何故だか急に重たくなった。

 到着を見届けた夕日は、あっと言う間に沈む。ホテルに入り部屋から市街を眺めれば、出番を待ち侘びた車のヘッドライトが俄かに蠢く。

 たまには少し贅沢をして、日本経済を活性化しなければいけない。高い階にある店に入り、静岡の夜景を観ながら夕飯を食べる。

 その時、♪長崎は♪今日も♪雨だった♪のメロディーが頭の芯に流れ、つい♪静岡は♪今日も♪晴れだった♪と、人に聞こえないよう鼻で歌う。

 雲の上 突き出た頭 白髪かな
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by tabigarasu-iso | 2012-01-25 16:48 | Comments(0)