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白髪の旅ガラス

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オフィスでコタツは

 事務机の置かれたオフィスは、幾らエアコンの温度を上げても、顔ばかり暑くなり足元が寒くて堪りません。そこで、オフィスにコタツを導入することを思い付きました。

 周囲をコタツ掛けで囲み、熱を逃がさないコタツは、少ないエネルギーで足や手を温めてくれます。昔から、家庭では当り前の暖房器具になっていますが、オフィスで導入している所は聞いたことがありません。

 しかしながら、少し構造を工夫すれば、オフィスでコタツの導入も可能です。決めた席を設けないフリーディスクなら、その周辺に断熱幕を垂らし、その中に熱源を入れてみましょう。

 その幕に何箇所か足を入れる切込みを入れ、靴を脱いだ足を入れます。そうすれば、椅子に座ったまま足を暖める事が出来きますから、作業性も悪くはなりません。ただ、少しばかり見た目は悪くなりますが、円卓会議のテーブルクロスだと思えば、問題ないでしょう。

 日本式 オフィス暖房 コタツかな
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by tabigarasu-iso | 2011-11-30 07:58 | 随筆 | Comments(0)

足寒

 股引を履くのを忘れた日のことです。外は曇り、北風が通りを吹き抜ける生憎の天候に、食後の散歩も予定の半分で切り上げ、暖房の効いたオフィスに戻りました。

 部屋に入った直後は顔が赤らむ暑さでしたが、慣れるに従い足が冷えて行くのが判ります。頭寒足熱と言いますから、足を冷してはいけません。

 仕方なく靴を脱ぎ、ハイカラな椅子の上で胡坐を掻きました。足の裏同士で熱が通い合い、何とも心地良いものですが、欠点は足が痺れて長続きしないことです。

 そんな時に限り、席から離れる用事が発生するもので、素早く革靴を履いて立ち上がったものの、他人の足のようで旨く運びません。

 よろけて歩く姿は、コンサル先やセミナー会場で機敏に立ち回る人とは程遠いものです。
「大丈夫ですか」
 こんな同情の言葉を掛けられ、悲しくなる足の冷えでありました。

 エアコンは 頭暑くて 冷える足
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by tabigarasu-iso | 2011-11-29 08:12 | 随筆 | Comments(0)

土手の上

 急ぎ足で歩くと汗が出る土曜の午後、自宅から十五分歩いて折り返す散歩の範囲を三十分に拡大してみた。

 風も無く柔らかな太陽を浴びながら、黙々と西に向かう。十五分を過ぎれば、昔の草むらや雑木林には知らない建物が次々と建ち、すっかり時代が変わったことを教えてくれる。

 やがて見慣れた神社の境内に着いた。自動車が入らないように置かれた工事用のバリケードが興醒めであったが、神社は無人だから仕方がない。

 賽銭を箱に入れ、珍しく神に祈った。清々しい気持で境内を下り、収穫を終えた田圃を横目に進む。

 その先は用水路が進路を遮り、嫌でも土手を歩けと言わんばかり。そこは、幅が一尺余りの獣道である。足裏をくすぐる土、それに踏み倒された草の反動が気持ち良い。

 幅が十尺程の用水路には、鴨が数匹浮いている。手を後に組んで進むが、近付くと水を切る音を激しく立てて次々に舞い上がった。

 それを何度も繰り返しながら土手を進めば、何処かで羽根を休めていたトンビも飛び出し舞い上がる。これは見事なもので、しばらくその勇姿を見守った。

 こうして、散歩の範囲を倍増しただけで、鴨やトンビに遇える土地に自分が住んでいることは新鮮な驚きである。次の昼の散歩では、もう少し範囲を拡げてみたくなった。

 舞い上がる 鴨に謝る 白髪人
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by tabigarasu-iso | 2011-11-28 00:08 | 随筆 | Comments(0)

北風に備え

 寒い土地を訪問する際に用意した下着の長袖、今年は控え目の暖房に備えて着用することにした。

 風呂上りに着てみれば何とも暖かい。足元の寒いオフィスでは、股引も穿いてみよう。そうすれば、頭ばかり温めるエアコンなど不要になる。

 寒風の中、エアコンは勿論のことストーブもなく山や畑それに工事現場で仕事をしている人のことを考えれば、北風の届かない室内で作業できる人は幸せだ。

 とは言え、エアコンやストーブが当り前で、暖かな部屋でアイスクリームを食べることに慣れた人には、省エネの冬は厳しかろう。

 けれど、今春の計画停電のことを思えば、長袖に股引を着て、可能な限り暖房を使わない生活に慣れなければいけない。

 地下足袋を 履いて男は 風の中
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by tabigarasu-iso | 2011-11-27 11:19 | 随筆 | Comments(0)

夢枕

 父方のお祖母さんが亡くなり、十日経った夜のことでした。夢枕に現れたお祖母さんは、何か言いたそうにじっと座っています。

「どうしたの」
 堪らず、私は声を掛けました。
「人徳と人情を大切に」
 それだけ言うと、お祖母さんは笑顔を見せて何処かに。

 人徳は、その人が本来持っている良い面のことです。人情は、誰でも持っている人間らしい心ですから、お祖母さんは孫の私に人間らしい心を忘れず、人に好かれる存在になりなさいとでも言いたかったのでしょう。

 私の見た夢ですから、私の心が作り出したことかも知れません。けれど、人徳とか人情とか、恥ずかしながら今の私の脳裏には浮かんで来ない言葉です。

 もしかしたら、肉体は滅びたものの魂が生きているお祖母さんが、遺伝子を数多く引き継いだ孫の私に言わせた言葉かも知れません。

 遺伝子よ 子より孫へと 濃く繋ぎ
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by tabigarasu-iso | 2011-11-26 12:51 | 小説 | Comments(0)

いつか来た道

 歩道の上を枝が覆い、緑のトンネルを形作っています。何が落ちてくるのか判らない薄暗い道を歩くには、少しばかり勇気が必要でした。

 この道は、三年前まで愛犬に引かれ頻繁に訪れた散歩のコースです。その必要がなくなり、殆ど訪れることのなかった道を前にして、その中に入ろうか迂回しようか迷いました。

 その時、何処からか歌声が聞こえたような気がします。
 ♪この道は♪いつか来た道♪ああそうだよ♪
 
 その続きを想い出したくて、迷いを振り払い緑のトンネルに入りました。人の通らない路面には木の実が一面に転がり、足の裏でカリカリ音を立て潰れます。

 子供の頃なら、急いで走り過ぎたことでしょう。けれど、愛犬と歩いた懐かしさに浸りたくて、樹上の緑が濃い葉を数えながら進みました。

 この道は 愛犬ソロとの 散歩道
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by tabigarasu-iso | 2011-11-25 18:01 | 小説 | Comments(0)

説明不足

 人身事故による電車の遅れや運転中止が後を絶ちません。昨夜もJRの鴻巣と北鴻巣駅の間で発生した人身事故で、乗車していた電車から赤羽駅で強制的に降ろされてしまいました。

 それも、事情説明が良くありません。
『この電車は赤羽駅から大宮駅まで回送電車になります』
 これだけでしたから、誰もが大宮駅まで行くものと思い、黙って席に座っていました。

 やがて、駅員が車内に乗り込み。
『皆さん、恐れ入りますが、この電車はここで運転中止になります。運転が再開されるまで、ホームに降りて次のアナウンスをお待ち下さい』

 そうならそうと、最初からそう言えば良いではありませんか。
『この電車、回送電車で大宮駅まで進みますが、大宮駅のホームは先の電車で埋まり、ホームに着けることができません。また、後続電車が駅間で停車中ですので、このホームに到着させるため、この電車は大宮駅の車庫に引き上げますので、御理解ください』
 この位の説明は、その道の専門家として出来ないものでしょうか。

 人身の 事故の多さは 悲しくて
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by tabigarasu-iso | 2011-11-24 08:47 | 随筆 | Comments(0)

鼾の嵐

 早朝、地元の駅からJRの平塚行き湘南電車に乗った。武蔵小杉駅まで一時間余り、混雑した通勤時間帯の車両で、荷物も片手に立ったままでは辛い。少し贅沢をして、座る事が可能なグリーン車に乗った。

 赤いランプが天井で点灯しているのは、下の席が空いていることを教えてくる。それが三箇所あり、運良くその一つに座った。けれど、隣席の若者は肘を横に張り出し、横柄な姿勢で鼾を掻いているから始末が悪い。

 更に、後の席から背中を揺する大きな鼾が襲う。これでは、グリーン車の追加料金を払った甲斐がない。そんな時には追加の苦があるもので、通路を隔てた席に座った方が鼾を掻き始めた。

 やれやれ、周囲は鼾の合唱である。座れた安心感から眠るのは結構だが、周囲に迷惑を掛けてはいけない。通り掛った乗務員に注意をお願いしようとしたが、今度は前席から鼾が聞こえる。これでは、鼾を掻かない自分がルール違反のように思えてきた。

 鼻つまみ 覚ましてあげたい 隣かな
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by tabigarasu-iso | 2011-11-23 00:34 | 随筆 | Comments(0)

お礼は難しいもの

 近所の方から柿を数個頂いた。
 獲りたての柿の実はみずみずしい。
 この礼には何を返したら良いものか。
 取り敢えずお礼の言葉を伝えた。
 それだけで十分であろうが。
 別の機会に旅の土産でも。
 だが旅は当分ない。
「貰い物のお裾分けですが」
 饅頭を数個渡したところ恐縮したそうな。
 お礼は難しいものである。
 
 枝先で 熟んだ渋柿 甘くなり
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by tabigarasu-iso | 2011-11-22 12:48 | 随筆 | Comments(0)

都心を歩くカラス

 東京駅の八重洲北口近くで昼食に格安の寿司を食べ、その足で有楽町駅に向かって繁華街を十五分余り黙々と歩いた。

 喫茶店、飲み屋、そば屋、天ぷら屋、コンビニ、焼肉屋、カレー専門店、中華食堂、ラーメン屋、カラオケ店、メガネ屋、寿司屋、覚え切れない程の店がある。

 既に腹は満ちているから、次の機会に立ち寄る店を忘れないよう、その位置を覚えた。中には店先に美味しそうなサンプルを出しているから、歩く速度を遅くして覗き込む。

 同じ仕草を住宅街でしたなら、変質者に間違われる。けれども、誰もが同じ様な人ばかりだから、その心配はない。

 十五分を過ぎた所で向きを変え、別の通りを選んで事務所の入ったビルに向かう。大きな通りには、横断歩道が見当たらない。地下街に入って、方向を変えずに歩く。

 そこは、地上より見知らぬ人で混み合い、空気がその息で暖かい。程良く汗が滲み出し、散歩の仕上げには上々であった。

 都心では 知らぬ同士の すれ違い
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by tabigarasu-iso | 2011-11-22 07:40 | 随筆 | Comments(0)