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白髪の旅ガラス

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文書官吏

 マネジメントシステムの審査を初めて受ける組織の方、更に何度となく審査を受けてきた組織の方に申し上げます。システムは生き物であり、個々の細胞が有機的に作用して繁殖していくものですから、システム文書なるもので代表できるものではありません。

 それを充分に知りつつ、審査を無事に済ませようとシステム文書の修正に終始する審査に疑問を持ちながら、黙認していることはありませんか。勿論、文書管理を適切に行うこと、文字を操る複数の人間が行動する上で大切なことは否定しません。

 マニュアルや運用手順書の不整合のみに神経を使う審査に対し、システムの改善は文書の改訂では済まないことを審査の場で発言しようではありませんか。無論、審査員の多くは、文書の確認だけが審査ではないことを承知しています。文書の不備をヒントにシステムを改善してくれることを期待しての指摘だとは思いますが、それを審査の受け手に伝える能力が不足しているのではないでしょうか。

 一方、社内を見回してください。複雑な文書の作成に執心する方、経験やノウハウの文書化を嫌う方、双方がいらっしゃることでしょう。前者の方を「文書官吏」と呼び、後者の方を「エキスパート」と呼びたいと思います。大切なことは、エキスパートの知恵をどのような形で継承するか、文書管理ではなく「知恵の管理」に神経を使うことがマネジメントシステムの本命ではないでしょうか。
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年に四度 節分あると 鬼慌て 
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by tabigarasu-iso | 2010-01-31 21:56 | コンサルサービス | Comments(0)

順番間違い

 ブリ大根の煮物が美味しい季節です。ところで、下着一枚に検診着をまとい、裾の乱れを気にしながら、輪切りにした大根を四つ切にして、その角を包丁で手際よく切り落とし、ぶつ切りにしたブリを湯に通すと、冷水に浸しながら指ではらわたを取り除く、テレビの料理番組を徒に見詰めている間、本名を若い女性に優しく呼ばれ、はいと小さな声で答えた時から、白髪の旅ガラスもまな板の鯉に。

 身長と体重を量れば猫背が進展する自分を発見し、血圧計に腕を差し入れては押し潰されはしないか気を遣い、動脈の血圧が目安より低い数値に気弱な顔を見せると、食事を抜いているから心配ない範囲と検査員に諭されて。

 いったん待合室に戻れば、既にブリ大根の煮物は出来上がって試食のシーン。今度は条件反射で有名なパブロフの犬に変身し、すぐさま唾液が空の胃袋に音を立てて流れ落ちるのを知り、胃の検査に支障はないかと野暮な空想に浸り有様。

 発泡剤を少量の水で飲み込み、するなと言われた途端にしたくなるゲップを堪え、大きな紙コップに入った幾らか甘みがあるバリュームを流動食と思い飲み込んでしまった途端、もう一口飲んで下さいと言われ、もうありませんと答える気恥ずかしさ。

 それでも検査は続き、右に身体を倒して息を止め、今度は左に同じことを、果てはゆっくり回転と、若い技師が言うがまま、硬い台の上で裾を乱して惨めに転がり、指導される側の心情を痛く理解するばかり。

 難関を越え気楽になったところで、カプセルホテルに似た聴覚の検査室に入り、音が聞えたらボタンを押せと言われたものの、急に下腹が鳴り始め、どこで押して良いのか判らない。ともあれ、聞えた音に反応しなければ申し訳なく、ずっとボタンを押し続ければ、どうしましたかと扉を開けて聞かれ。

 どうもこうもありゃしない、直前に服用した下剤が効きましたと素直に答えるまな板の旅ガラス。後先を変えても良い場合もありますが、聴覚の検査だけは胃の検査前にして欲しいもの。

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誰がため 憂いを醒ます 寒桜
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by tabigarasu-iso | 2010-01-31 15:28 | 随筆 | Comments(0)

狙い

 この世に同じ人は一人もおらず、民族や宗教にも差異があるのは周知のこと。水の神、厠の神、あらゆる物に神を見出し手を合わせる民族があれば、特定の者を神とする民族もある。

 それぞれ個性があって面白いけれど、他人に迷惑を掛け侵略するともなれば話は別だ。そこに法が生まれ、国際条約が必要になる。こうした考え方は、物作りから仕事の進め方にまで及ぶ。

 一定の個性を認めながら、共通の約束事項を守った方が普及し易い。その例に携帯電話がある。機種が異なっても通信方式の共通性で広く通話ができ、電源の個性を無くして共通にすれば、出先での電池切れの心配もなくなり更に良い。

 共通の約束事は、適用範囲を明確にしないと困ったことが起こる。全てが共通になると、個性を生かす場が保障されなくなるから当然のこと。やはり携帯電話の電源は、個性的で良いのかも。

 国際規格のマネジメントシステムも、適用範囲を定めることから始まる。その約束は大枠だけで、細部の取り決めは利用者の判断に任す。利用者が自分で決めた事は守り易いし、無理があれば直せば良いのだから個性が活きる。

 共通の約束を守り個性を活かしても、肝心の方針が曖昧で狙いが判らなければ、成果は上がらぬ。その方針が、顧客満足を目指し、環境保全に尽す類の総論だけなら見直しが必要になる。

 クレーム対応でクレーム先の売上を伸ばし、製造工程の歩留を継続的に向上し、管理部門の残業をゼロにするといった、狙いを明確にした方針になさると宜しい。
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陽だまりの 世間話さ 鳩ポッポ
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by tabigarasu-iso | 2010-01-31 13:07 | 随筆 | Comments(0)

旅の終わりに

 演歌の作詞家として活躍した人が演歌衰退の波に押し流され、表舞台から消え去ろうとしていた時のことである。流行歌は消え去ることが宿命で、いつか廃れた演歌も復活するであろうが、それまで待つ余裕を、その作詞家は持たなかった。

 寂れた居酒屋で、その作詞家は「旅の終わり」を箸袋に書き留める。それが空前のヒット曲になり、演歌復活の御旗になろうとは、当人すら予期しなかった。旅の終わりを迎えた男の心情を飾らずに綴った詩に共鳴する世代が、それを支持したのである。

 我らコンサルの旅に終わりはないか。市場の流れを読み違えなければエンドレスになるであろう。コンサルを必要としない溜まりで口を開けて待っているだけでは、大きな市場の中で餓死するかも知れない。

 振り返り嘆き悲しむ「怨歌」ではなく、前向きな人生を応援する「援歌」が望まれる時流にあって、我らコンサルも前向きな組織を支援する「応援コンサル」の道を歩めば、コンサルの旅に終わりはないであろう。
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受かったよ 喜び受けて 梅も咲き  
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by tabigarasu-iso | 2010-01-31 11:06 | 随筆 | Comments(0)

忘れないで

『忘却とは忘れ去ることなり、忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ』
 誰が作ったものかは忘れましたが、詠み換えて自嘲することがあります。
『忘却とは忘れ去ることなり、覚え得ずして理解を誓う左脳の悲しさよ』
 そもそも、最初から覚えていないものは忘れようがありません。なのに、忘れないことを誓う思考力の劣った自分を知れば、誰でも悲しくなるのも仕方ありません。

 忘れたいことは沢山ありますが、忘れようとすれば、さらに鮮明にする右脳もしかり。訳も判らず、追試の悪夢にうなされること、誰にでも覚えのあることでしょう。情報の氾濫する今の時代にあって、知らないことの方が多く、その一部を知ったとしても間もなく陳腐化する運命にあります。

 それなら、さような情報は覚え得ずしても宜しいではありませんか。けれど、中には覚えることが必要なものもありますから、その取捨選択ができる能力だけは磨きたいものです。

 電子メールを利用しないと仕事にならないコンサル稼業、真夜中近くに自宅に帰りパソコンを開いて画面を見れば、新規メールが何本も赤字で並んで幸せ半分。どれから見ようか迷うようでは夜が明けますから、顧客のものから先に開けて社内のものは後回し。

 互いに遠く離れて舞う旅ガラスの仲間なれば、社内のそれを先に見たいのはやまやまですが、まずは社外が優先の客商売。漸く社内のものを開けて見れば、大いに意見が交差する議論の戦場。我も仲間に参戦とコメントを付けて送信すれば、その後のメールで既に戦いは次の次元へ。大いに慌てコメントを練り直して再送すれば、それは終結と知りました。

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早朝を 独り占めする 朧月
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by tabigarasu-iso | 2010-01-30 21:58 | 随筆 | Comments(0)

暇つぶし

 新聞配達がポストを鳴らすより先に家を出て、時刻表の最上にある列車に乗る。いつもなら床の中だから、身体の大半が眠りの最中。脳に刺激を与えようと雑誌を開いたが、長文を理解する左脳が未だ起きていない。

 やむをえず、数行で終わる記事を飛ばし読みする間に、眼と脳の回線接続がスピードを増した。暖気運転が済めば長文も苦にならない左脳は、飛び越した散文を丹念に拾いに掛る。昔から貧乏性で、読まない箇所があると損をすると教え込まれた左脳は、あるところに眼を留めた。

 小説を読むのは頭を使う暇つぶし。暇をつぶすには面白いストーリが必要になる。ストーリを面白くするためには頭を使い過ぎてはいけない。暇をつぶしながら小説は書くのが良いとある。

 旨く書こうとして言葉を選び、感動させようとして文体にこだわり、ストーリの面白さを忘れていた人は、この一文で眼を覚ましたに違いない。

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随筆も 暇に任せて 書くが良い
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by tabigarasu-iso | 2010-01-30 17:47 | 随筆 | Comments(0)

勝利のヤタガラス

 或る日のこと、ヤタガラスになって欲しいと突然言われました。どんなカラスか知らなければ、答える訳には参りません。

 そこで調べてみたところ、日本書記や古事記に登場する大変有名なカラスであることが判りました。簡単に紹介しますと、その昔、戦いに苦戦していた陣営が、三本足のヤタガラスに導かれて勝利したところから、一躍有名になったようです。 

 そうと知れば、迷うことなく答えるのが白髪の旅ガラスでして、勝利を導くカラスにはなれないものの、改善を導くカラスにはなりましょうと。

 ところで、三本足では横に張った枝につかまる際、三本目の足はどこをつかむのでしょうか。着陸した際、三本足は二本足より安定するのは判りますが、そもそも、三本目の足は身体のどこについているのでしょうか。

 かような疑問は、二本足の世界から物を見る悪癖でして、六本足の蝶、八本足の蜘蛛、百足と書くムカデも現存するのですから、何も三本足に驚くことはありません。足の数の多寡は別にして、どれもが偶数の足ですから、三本足のヤタガラスは、どなたの脳裏にも深く焼き付き離れることはないでしょう。

 そうしてみれば、ヤタガラスを三本足にしたのは、記憶に留めることに狙いがあったのでしょうか。その真意は創造した者にしか判りませんが、発想の独創性には頭が下がります。

行く末の 心を映す ヤタガラス
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by tabigarasu-iso | 2010-01-30 14:18 | 随筆 | Comments(0)

今更の話題

 昨今、ISOマネジメントシステムを本業に活かす話題が目につきますが、今更話題になるのが不思議でなりません。そもそも、マネジメントの道具として採用したシステムではありませんか。本業に活かされていないとしたら、どこで使われていたのでしょう。

 取引先の要望で仕方なく導入したにしろ、それで本業が成り立つのであれば、本業に活かされていることになりませんか。それ以上に本業で利用したいのであれば、道具の使い方を考え直す必要があります。

 管理体制を強化し、売れる製品や利用されるサービスを継続的に伸ばす道具として、ISOマネジメントシステムの仕組みを利用するなら、トップからそのつもりにならなければなりません。
「ところで、私も内部監査員養成コースを受けたいのですが、如何なものでしょう。社長の私がISOの仕組みを知らず、監査報告だけを聞いたところで、良否の判断が出来ないと思いまして」

 斯様な相談を受けたのは二度目のことです。本業で活用されることを目的に発行されたISOマネジメント規格に人格があれば、どんなに喜ぶことでありましょう。

 さて、トップがその気になったにしても、本業でISOマネジメントシステムを具体的に活用するとなると、コンサル話のように旨くは参りません。

 例えば、製造部門での品質クレーム撲滅は日常の課題ですから、品質向上を目標にする品質マネジメントシステムは本業にそのまま展開され易い。また、コストダウンも製造部門の課題ですから、環境負荷の低減を目標にする環境マネジメントシステムも違和感なく導入される筈です。

 更に、営業部門においても、品質が高く、環境を配慮し、価格競争力のある製品を販売することが日常の課題になっていますから、製造部門と同様のことが言えますが、営業の課題を目標に取り込んだマネジメントシステムが少数派なのはどうしたことでしょう。

 このように、直接部門では、ISOマネジメントを本業で活用する土壌ができていますが、総務や経理と言った間接部門を調べてみると、品質マネジメントシステムでは、適用範囲の外に出され、環境マネジメントシステムでは、紙、くず、電気のみの管理に終始し、何れも本業の課題を捉える視点が欠落していることが判ります。
 これには、本業とISOマネジメントとは別物と考える誤解の解消から始めなくてはなりません。それでは、総務や経理の本業の課題とは何でしょうか。誰に聞くまでもなく、皆充分承知している事です。その課題に重み付けを行い、総務及び経理部門の問題解決する仕組みがISOマネジメントの一つであることを、知らないことが問題なのです。

 間接部門と直接部門とが旨く噛み合い、組織は繁栄し続けるものですから、間接部門の方も、経済面、環境面、社会面の切り口で、自らの業務課題とISOマネジメントの接点を、今更ながら探ってみては如何でしょう。
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はらはらと 花芽を襲う ぼたん雪
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by tabigarasu-iso | 2010-01-30 12:19 | 随筆 | Comments(0)

CSR

 企業の社会的責任をCSR(Corporate Social Responsibility)と称するのを真似て、コンサルティングの社会的責任をCSR(Consulting Social Responsibility)と呼べば、前者に吹く風を少し分けて貰い世間の注目を集めることになりはしないか。

 そうなれば、いやでもコンサルティングは、方針、目的、実施、点検及び見直し手順を明確にし、その上で社会的責任を果たすことが必要になってくる。ならば、我らコンサルのCSRとは何か。経済面、社会面及び環境面で組織の社会的責任を向上させる支援をすることであろうが、本家のCSRが評価尺度を持ち、社会的貢献度の推移を客観的に評価できるから、コンサルのCSRにも同様な評価制度がなければ、社会的信用の向上は望めない。

 そこで、コンサルティングの評価基準を提案するのがコンサルタント。他人が提案する案を黙って受け入れることのない自己主張のストックに溢れるコンサルタント種族の一員として、コンサルのCSR評価基準を提案したい。
 クライアントのCSR貢献度の向上を支援するコンサルティングの評価基準は次の通り。
 ①経営層が作成する方針に社会的責任を果たす重要性の指導の有無
 ②重点課題の選定で経済面、社会面及び環境面の三分野から選出する指導の有無
 ③自主基準の設定により遵法性を確実にする指導の有無
 ④具体的な目的や目標設定の指導の有無
 ⑤目標を実現する実践的なプログラムや手順の指導の有無
 ⑥能力向上やコミュニケーション充実の指導の有無
 ⑦リスク予防管理機能実現の指導の有無
 ⑧自己チェック機能実現の指導の有無
 ⑨組織の経済面、社会面及び環境面の問題解決を図る妥当性や有効性を判断できるトップ指導の有無

 これら全ての項目に関して「有」をコンサルのCSR合格ラインとしたいが如何なものであろうか。但し、斯様なレベルのコンサルタントは少ない。これを利用するとなれば、それなりの代価を御用意願いたい。
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文春の 発行停止が 春分に
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by tabigarasu-iso | 2010-01-30 10:07 | 随筆 | Comments(0)

妻恋坂

 誰が名付けたか知らないが、ロマンチックな呼び名の坂がある。地下鉄は銀座線の末広町駅を出て湯島に向かう坂、それが妻恋坂と知ったのは五年も通った後だった。

 故郷の名前に良く似た坂に親しみを覚えて立ち止り、誰か知った顔はないか振り返る。それが愚とは判っていても、そうしたくなる気持ちは抑えられない。

 故郷の名の由来は、国を離れた旅人が人里離れた山奥で遠くに残した妻を思い出すほどの寂しさに耐え切れず、ああ吾が妻の恋しきことと詠ったことからだとか。

 この坂を妻恋とした謂れは何であろうかと思案しながら、坂を上って裏通り入った。そこには、オフィスビルとは趣を異にする派手な色彩のホテルが立ち並び、一時休憩の料金が表示された入り口は狭く、並みのホテルではないと悟る。

 ISOマネジメントシステム審査では、規格要求と実態の整合を適合とし、不整合は是正しなければならないが、妻恋坂と呼ばれながら利用目的の異なるホテルを見付け、これこそ不適合の典型と呟いたものの、是正処置はどうしたものか。

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のぞみ増え ひかり疎らに こだま待つ
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by tabigarasu-iso | 2010-01-29 22:15 | 随筆 | Comments(0)