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白髪の旅ガラス

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一夜明け

 選挙前までは日本の政治を左右する重要な役割を担われていた政治家の先生も、開票が済み落選が決まれば元代議士になります。それでも、これまで国民を代表する重要な政策審議に従事されていた方々ですから、主義の相違や支持の有無はさておき、その労に感謝しなければなりません。

 企業においても同じことが言えます。良い上司も嫌な上司でも、定年や他の事情で会社を去る時が必ず来ますから、それまで組織を存続させた労に感謝しなければ、社会人として小さな器と言えましょう。勿論、会社を去る方々も、色々な経験を積ませてくれた会社に感謝する謙虚さを忘れてはいけませんが。

 一方、政治活動や企業活動から去る方々は、人間としての潔さも問われます。体調の思わしくない元総理大臣の方が出馬して落選するのは、如何なものでしょう。政治も企業も、真剣勝負の戦場ですから、体調が回復するまで参戦を控えるのが、社会人としてのマナーではないでしょか。

 一夜明け、笑みと悲愴な顔を見るにつけ、その立場に自分が居たとしたら、どんな思いで勝利を味わい敗北を噛み締めるか考える。少なくとも、勝ちは素直に喜び、負けは潔く認め、向かう先は兜の緒を締めて、去る際には笑みが持てるよう、悔いのない生き様を目指したいものです。
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一夜明け 涙を洗う 台風か 
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by tabigarasu-iso | 2009-08-31 12:11 | 随筆 | Comments(0)

政権交代

 事前調査によれば、自民党から他の党へ、政権交代が実現しそうな衆議院議員選挙の予測である。新しい与党候補の政権公約が優れていると言うより、現在の与党が代わることで政策の変化に期待する国民の総意だと、政治評論家は口を揃えて言う。

 難しい話は判らないが、選挙の時だけ頭を下げて、当選すれば庶民のことなど忘れ、私腹を肥やすために税金を使う、そんな政治家集団は御免である。庶民と同じ家に住み、庶民と同じ生活に追われ、老後の心配をしながら、納税者に代わって政治を行う人を選びたいものだ。

 だが、どなたがそうだか判らない。新聞などに掲載された情報から判断するしかないが、そこに当該の情報がなければ判断に迷う。さような情報は、まずないから、そんな人が多く存在しそうな党を選ぶ。それも該当しなければ、そんな視点から政治活動をしてくれそうな候補者を選ぶしかない。何とも歯痒いが、それで棄権すれば、私腹を肥やす政治家の思う壺になる。

 少なくとも、庶民の生活が判らない人を選べば、政策に庶民の要望が入ることはないから、庶民の為になる政治が展開される可能性はない。そうでない人を選ぶことができても、少数派であれば政策が実現する可能性はないから、困ったものだ。そこで、政権を取る与党には、庶民の生活感覚を忘れない政策を、大いに期待したいものである。
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政治家に なりたい子供 増やしたい
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by tabigarasu-iso | 2009-08-29 00:35 | 随筆 | Comments(0)

あれ鈴虫が鳴いている

 テレビを消して、部屋の灯りも消す。騒音が消え、視覚情報も絶える。静かな室内に、虫の音が届く。小さな鳴き声だが、確実に聞こえる。それは、左右の耳から幾つも飛び込み、前頭のあたりで渦を巻く。その状態がいつまでも続くようであれば、脳細胞は平静でいられない。

 やがて、鈴虫の鳴き声が混沌とした虫の音を一掃した。それは、鼓膜のすぐ前で翅を振るわせているようである。そう感じるのは、透き通った音色の所為であろう。これなら、脳細胞は苦にならない。雑音を嫌い、調和の取れた音色を好む人の本能であろうか。テレビの音を嫌う愛犬も、鈴虫の音色は安眠を誘うようであるから、動物の本能かも知れない。

 余りに近くで聞こえるものだから、電灯を点けて時おり探してみたくなる。もしかしたら、鈴虫の翅の振動で鼓膜が共振するのか。そうだとしたら、日頃は難聴の我輩の鼓膜も未だ捨てたものじゃない。などと、愚かなことを想像するのも、秋の夜長に入った証拠である。

 それにしても、いつまで鈴虫は鳴き続けることができることやら。やがて、聞こえることを通り越し、自分で鳴いているのではないか、そう思えるようになる。高音の苦手な自分が、透き通る鈴の音を発するのは、なんと愉快なことであろう。これが夢でなければ、皆に聞かせてあげられたものを。


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雑音を 押し退け届く 鈴の音よ
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by tabigarasu-iso | 2009-08-26 19:41 | 随筆 | Comments(0)

真心のプレゼント

 誕生日に年齢と同じ数のバラの花を贈るとすれば、あの人は今年で57本になる。あの人との出会いは、バラが17本で済んだ時だから、これまで絶えることもなく40本をコツコツと積み重ねた訳だ。最初から花を贈る習慣があれば良かったが、当時は花より団子の生活優先で、そんなことは、貰う側のあの人も想像したこともない筈である。

「誕生日のプレゼント、バラの花はどう」
「・・・」(そんなこと聞かなくて、黙ってプレゼントしてくれたら嬉しいのに)
「お気に召さないか。それなら、ネックレスはどう」
「安い物なら、沢山あるわ。高い物は、使う機会がないから無駄よ」
「・・・」(何が欲しいのか判らないが、プレゼントしない訳にはいかない)

 当日、その人は勤め帰りにカレーライスの材料を揃え、あの人より早く家に帰った。食卓に花を飾り、さっさとカレーライスを作り始める。サラダ油でスライスしたニンニクを炒め、ほんのり焦げ目が付いたところで、カレー用の豚肉の表面にも焦げ目を付け、そこに満遍なくコショウを振り掛けてから、タマネギの刻みを放り込み、それが透き通ったところで水を入れ、ジャガイモとニンジンの刻みを投げ入れて、煮立ったところでアクをすくい取り、圧力鍋のふたをして沸騰を待ち、蒸気が噴出したところで火を止め、カレーのルーを割って入れてから、焦がさないよう10分煮込めば出来上がり。

 あの人が帰宅したところで、その人は言った。
「花を見ながら、カレーはどう」
「気持がとても嬉しいわ」
 その味は、その人が久し振りに挑戦したものとは思えない、プロ級のものだった。
「どうしたら、この味を出せるのかしら」
 その人は、笑って教えない。
「また、誕生日と言わず、作ってあげるよ」
 あの人には、何よりの誕生日プレゼントであった。
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 花よりも 心嬉しい プレゼント 
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by tabigarasu-iso | 2009-08-25 21:00 | 小説 | Comments(0)

 医学的には微毒性ながら、心理的には強毒性なのが新型インフルエンザ。確かに、これまで電車内で咳き込む人に遭遇し、同情することはあっても脅威を感じることはなかった。それが、新型インフルエンザの報道が盛んになり、皆がマスクを着用する異常事態を迎えてから、人前でマスクもせずに咳き込む人に同情する気持は消え、軽蔑の感情がマスク越しの目に表れる。

 やがて、マスクを着ける人も居なくなり、新型インフルエンザへの関心も薄れ始めた夏、再び感染者が増加している報道には誰もが驚いた。盆が過ぎる頃には死者も発生し、予防薬の不足から優先的に投与する人が議論されている。社会秩序を守る警察官などが優先されるようだが、後回しにされて良い人など居る筈がないから、判断そのものが議論を呼ぶだろう。

 それにしても、人騒がせな流行性感冒である。手洗い、うがい、充分な睡眠、バランスの取れた食事で健康体を維持していれば、新型インフルエンザのウィルスが口から多少飛び込んでも、健康な細胞軍が退治してくれる筈だ。そのことを報道せず、発生場所と感染者数それに死者の発生を強調することに問題を感じる。

 こうした緊急事態を煽る報道が、新型インフルエンザ狂想曲を演出していると言えるだろう。現状の結果報道に加え、罹らないようにする予防情報の報道を、テレビやラジオを通じ、定期的に静かな口調で流せないものだろうか。これが、インフルエンザ予防には、一番効果的だと考える。
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隣から 咳が聞こえて 顔にらみ
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by tabigarasu-iso | 2009-08-22 18:08 | ニュース | Comments(0)

赤トンボ

 お盆が過ぎ、いつもの年に比べ日照時間の短い夏の盛りが終わり、夜間になれば涼しい風が吹き始めています。寝苦しい夜が無くなり、人には凌ぎやすい秋になりますが、子孫を残す機会を失いそうな油蝉は、必死に鳴くしかありません。

 一方、夕方になれば、空き地の草むらには、赤トンボが空中に静止したかと思えば、急な風に流され水平飛行。気楽げに空中の散策を楽しむ光景は、見る者の心を癒してくれます。蝉と異なり、静寂の中で子孫を残すトンボ達。取り分け、赤トンボは夕日に映えて美しい。

 赤トンボの体色は、気候と関係するそうです。寒冷地では、赤色が濃くなるようですから、気候の温暖化が進めば、赤トンボの鮮やかな色は見られなくなるかも知れません。そうなれば、有名な「赤トンボ」の童謡も、♫夕焼け小焼けの赤トンボ♫から、♫夕焼け小焼けの茶トンボ♫に変化しそうで味気ない。

 夏の暑い時期に蝉が太陽を浴びて騒がしく鳴き、夏の終りには赤トンボが色鮮やかなままであるよう、誰もが望んでいます。けれど、誰もが気候の乱れを引き起こす温暖化ガスの発生者になっていますから、誰もができるところから温暖化ガスを抑制する行動に移らなければなりません。
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赤トンボ 追われてみるのは 温暖化
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by tabigarasu-iso | 2009-08-19 18:17 | 随筆 | Comments(0)

ISOを導入しない訳

「ところで、御社はISO導入を勧めながら、何故ISOを導入しないのですか」
「???」
 環境ISOや品質ISO導入支援の販売促進を担当する砂糖は、お客様の予想外の質問に答えることができません。

 何故でしょう。それは、所属する会社の過去を砂糖が知らなかったからです。今から十数年前、砂糖の所属するコンサル会社は、環境ISOの導入を図り、維持審査を数回受けておりました。大半のコンサルは、ISO導入支援はもとより、ISO審査も審査機関に所属して行っていましたから、仲間の審査員は審査がやり難く、受ける側としても審査側に期待できるものが見出せず、潔く返上したのです。

 審査する側と受ける側が仲間同士では、審査の信憑性が担保できません。審査機関を替える選択もありましたが、コンサル組織として審査側に期待できるものがないのは同じことです。そこで、トップがコンサル方針を決め、それを実現するコンサル目標には支援先の増加を掲げ、教育訓練はオンザジョブで、点検は定期的に行い、毎月の経営層に見直しをもって、PDCAサイクルを回し、システムの継続的改善とパフォーマンス改善を自主的に展開することになりました。

 しかしながら、質問に答えられない事態は不適合です。従い、応急処置として過去を説明し、再発を防ぐため、教育訓練計画の中に過去の歴史を追加して、理解度を確認するシステムに改善することにしました。この処置が有効か否か、今度、砂糖に会う機会がありましたら、確認して貰うと良いでしょう。的確に答えられないようでしたら、重大な不適合と叱って頂ければ幸いです。


安普請 大工だけでは ありません 
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by tabigarasu-iso | 2009-08-11 18:10 | ISOマネジメント | Comments(0)

長寿犬

 あの頃は、こちらが少し油断すれば、若い相手の急な方向転換で、思わず引き倒されそうになったものだ。その相手、吠える他には仕事らしい仕事を持たないから、時間を持て余しては、腹一杯喰った後は寝るばかり。

 そこで、散歩となれば、みなぎる力を遠慮なく発揮することにしていたのだろう。綱を離してあげれば、空き地を舞うように走り、こちらの姿を確認しながら、また逆の方向に走って行く。そこに気の合う仲間が加われば、更にスピードを上げて並走する。

 こちらは、何もしないで呆然と見ているだけだから、気分転換にはなるが運動にはならない。やがて見物に飽き、帰ろうと声を掛けるが相手は知らぬ顔だ。向かって行けば間違いなく逃げるから、いつもの心理作戦で空き地の外に出て帰り始める。

 すると、相手は後の方から息を切らせて走って来たものだ。その相手も歳を取り、散歩に行くと声を掛けても容易には反応しない。漸く散歩に出掛けても、蝸牛が行くようである。近場で用を足し、それが済めば直ぐに戻り、一安心して水を長々と飲む。その姿には、たてがみを風になびかせ勇ましく走った当時の面影は無い。
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人ならば 百歳犬と 人が言い
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by tabigarasu-iso | 2009-08-08 21:45 | 随筆 | Comments(0)