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白髪の旅ガラス

 北風の吹き始めた秋口に葉を落とした枝先には、身支度を済ませ出番を待つ蕾が満遍なく付いています。人が、葉を失った梢を寂しく思うのは、それを遠くから眺めた時であり、近くで良く見れば、容易周到の逞しい枝先に感嘆することでしょう。とは言え、枯葉は哀愁の象徴ですから、その落ちる様に己の生き様を重ねて涙するのも構いません。

 じっと寒さに耐えた蕾が、徐に膨らむ様子こそ、生命力に溢れ、見るに値するものであり、涙するに相応しいものです。それが梅でも桜でも、その種は問題にはなりません。固い蕾から花を咲かせる、その成長の過程を見ながら、乾杯しようではありませんか。花見ならぬ蕾見酒になりますが、未だ寒さが厳しい中では、そう長い宴にはならず、経済的でもあります。

 そうこう言っても、梅の花が咲けば、鼻を近づけ匂いを嗅いで、桜の花が咲けば、心躍らせ写真に納め、花見酒にうたた寝するのも仕方ありません。梢一杯に咲き乱れる花は、人の心だけでなく、数多の昆虫を惹きつける魅力があるのですから、それに逆らうことは難しい。素直に楽しむのが、道理に叶っているのでしょう。

 そこで、満開の花に酔いしれながら、寒さに耐えた蕾の成長力にも乾杯すれば、全てが旨く行きます。梅の花にも同じことを希望したいところですが、桜の花見ほど盛り上がりません。花の後に付く梅の実に、期待の多くが移るからでしょうか。かように、人は見える成果に心を奪われ易く、それまでの大切な過程を忘れがちな、困った動物です。

                   花よりも 蕾に胸を 躍らせて
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by tabigarasu-iso | 2009-02-28 00:31 | 随筆 | Comments(0)

目標管理の極意

 組織規模の大小にかかわらず、経営方針を実現するには、開発目標、受注目標、生産目標、サービス目標、売上目標及び利益目標を、具体的に設定しなければ、複数の人を束ねる組織が生き延びることなど、無理な話です。

 環境を配慮しない組織は生き残れないと謳いながら、環境ISOの目標となると、それが抽象的になるのは何故でしょう。例えば、環境配慮型製品開発に努める、省エネに努める、廃棄物削減に努める、環境教育に努めると言った、努める目標ばかりが勢揃い。勿論、その下位に具体的な目標数値があれば、表現の問題ですから構いません。

 具体的な到達点や成果を定めない目標、それが問題にされないで、何年も続くことが問題です。聞こえの良い環境教育に努めるなど、その成果を評価しようもありません。言うまでもなく、成果を評価することができない目標など、管理することはできませんから、目標管理にはならない。次年度の目標設定の際、直ぐに改めることが必要です。

 その一例として、省エネや省資源の具体的な提案が半年で1件以上可能になる、環境配慮型製品やサービスを理解したうえで開発チームに参加し年間1件以上の提案が可能になる、こうした管理指標を明確にしたうえで、環境教育に努めるならば、資源の投入効果が見え、環境ISOの目標管理になり得ましょう。


                  松の枝 二羽のカラスが 春を待つ
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by tabigarasu-iso | 2009-02-24 22:58 | ISOマネジメント | Comments(0)

やすらぎの鼾

 旅先のホテルでは、空調騒音に悩まされ続けて眠れない夜を過ごすか、空調音も無く静か過ぎて眠れない朝を迎えるか、いずれも安眠することがなかなか叶わないものです。そうではない人は、神経のかなり太い人に違いありません。誰も邪魔する人が居ない空間ですから、好きな酒を充分に楽しみ、飽きるまでテレビを観賞すれば、深い眠りに入れる筈ですが。

 ところが、それに何度も挑戦しながら、一度も成功した例がありません。きっと、先天的に神経が細い為、その都度頭では理解していても、眠りに入る段階で、実行する神経回路が繋がらないのでしょう。そんな細い神経を麻痺させようと、麦種や酒を飲むことを、一度も忘れた例は無いのですが、一人酒はそれ程旨くありませんし、度を越して寝過ごしてはいけませんから、どうしても控えめになります。

 その挙句が、夢を見る段階にまでも至らず、起きているのか眠っているのか判然としないまま、目覚まし時計を何度も確認する始末。当然のことながら、目覚まし時計に起こされたことなど、一度もありませんが、寝過ごすことを恐れる余り、念の為に時刻をセットする哀れな作業の繰り返し。

 どうしたら、細い神経の持ち主が、ホテルで自宅と同様に熟睡できるのか。それには、自宅に有ってホテルに無いものを探して補充するしかありません。家族や愛犬を毎回同行させることは出来ませんから、それに替わるものとして、やすらぎの鼾を思い付いたところで、次は録音して持参してみましょうか。


                    安眠の 枕に勝る 鼾かな
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by tabigarasu-iso | 2009-02-23 13:47 | 随筆 | Comments(0)

 ガラパゴス諸島には、他では見られない珍しい陸イグアナや像ガメが棲んでいます。長い年月、外の世界から隔離された結果、他の島では進んだ交配が行われず、当時の種が進化することもなく、現在に至っているものですが、その島の名が、携帯電話にも付けられるようになりました。

 日本の携帯電話は、他国のものには無い機能を多く備え過ぎた所為か、逆のガラパゴス現象と看做されているようです。絵文字、テレビ受信、カメラ、オーディオなどの機能付きは珍しくはありませんが、欧米の携帯電話では当たり前ではありません。それゆえ、海外仕様のものを日本で販売しようと試みても、旨く行かないようです。

 その逆に、日本仕様のものは海外では苦戦していますから、孤立した島国の特殊な携帯電話へと進化しました。これは、日本語と同じ進化の過程のように思います。漢字、ひらがな、カタカナ、縦書き、横書き、吸収できるものを貪欲に取り込んだ結果、海外では普及しない島国言語となりました。

 良くも悪くも、グローバル化が避けて通れない世の中になり、ガラパゴス化した日本語と日本の携帯電話は、どの道を歩むことになるのでしょうか。それぞれの特長を保持しながら、海外とのコミュニケーションを図り、その良さをアピールする道を見失ってはいけません。ガラパゴス化と言われることに、誇りを持って歩もうではありませんか。
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                       道脇の 影に隠れた 残り雪
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by tabigarasu-iso | 2009-02-22 22:03 | 随筆 | Comments(0)

のんきな熊さん

 昔から、顔は心を映す鏡とか申しますが、何か心配事があっても、仲間の居る会社の敷居を跨いだら、渋い顔など見せてはいけません。それを見た人の気持ちまで暗くして、悪影響の暗い顔が社内全体に広がってしまいます。こうなると、事務作業の効率も落ち、間違いも起こり易く、売れ筋の製品や利用され易いサービスの発想など、浮かぶ余地はありません。

「どうした熊さん、命でも取られそうな顔をして」
「てぇしたこたぁねぇんですが、それがてぇしたことになりやして」
「おいおい熊さん、一体どちらだい?」
「なに親方、家のカカアがね、金融危機に始まった経済危機、お前さんは知らないかいって言うから、そんなことは百も承知と啖呵をきったまでは良かった、ああ、よかった」
「で、どうした?」

 止せばいいのに、困ったと聞けば、放っておけない親方、真面目だけが取り柄の熊さんに呼び水を与えたから堪りません。
「何でも危機ってぇのは、あぶねえことだから、近寄っちゃいけねぇ。つまり、金融危機てぇのは、お金に近寄らない、経済危機てぇのは、商売しちゃいけねぇってね。そしたら親方、家は晩酌危機と言いやがる」

 真面目に熊さんの話を聞いていた筈の親方ですが、とうとう我慢し切れなくなりました。
「熊さん、金融危機とはね、いずれ返せなくなる人に金を貸し、その危ない借金を貸した人が取り立てる替わりに、他の人に高い金利が期待できるからと、借金の取立ての権利を証券会社が売り捌き、いよいよ借りた人が借金を返せない事態になって、危ない話を持ち掛けた証券会社が倒産すれば、そこに投資した銀行や企業さらに大学までも、投資した金を紙くずにしたもの」

 親方の話、どこまで熊さんの頭にどこまで入ったことやら。それには構わず、親方も話し好きですから、ついでに経済危機の件まで。
「お金に替えられると信じていた証券が、ただの紙切れになれば大変なことになる。銀行は現金を貸し渋り、ローンが組めなくなるから、家、車、家電製品が売れなくなり、熊さんの手間賃も減らさざるを得ない。当然、熊さんの晩酌代も減ることになるから、おかみさんの言う通り」

                   人の顔 見ずに続ける 無駄話
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by tabigarasu-iso | 2009-02-20 23:11 | 小説 | Comments(0)

 ISOマネジメント審査員の方が、審査を始める前や審査中に、何度も口にすることがあります。
「これ以上の説明は、コンサルになるので申し上げられません」
 この説明を聞き、成る程と思われた方は素直な方ですが、言うほどのコンサルになるのか疑問を持たれた方は、審査員に向く方でしょう。

 言うほどに、審査員の方は、コンサルとは何を支援するサービスなのか、承知しているのでしょうか。聞いた相手が役立つ具体的指導を行うのが、真のコンサルであります。とは言え、何時でも相手が求めるまま、指導するだけではありません。時には、マネジメントの軌道修正を図る厳しい提言を行うことが、コンサルの道であります。

 かようなコンサルを、審査の場で実現可能でしょうか。中には、それが可能な方も居ますが、大多数の方が難しいことでしょう。それは、審査先の業務特性も充分に把握が出来ないまま審査に望む方が多く、そうした方に具体的な指導が出来る筈がありません。仮に出来たとしても、過去の経験を拠り所にした、選択の余地が無い指導に留まり、マネジメントの改善点を検証するまでには至らない。

 真のコンサルは、知識を相手に伝えることではなく、課題を解決する手段やその進め方を指導することであり、その効果が相手に見えるようにしなくてはなりません。それには、臨機応変に対応する柔軟性が必要であり、相手の実情に合わせて課題を解決する知恵が必要です。それが出来ず、ISOマネジメント規格や法規制の要求事項の確認に終始する審査で、「コンサルになる」なんて言わないで。

                コンサルは 口利きだけと 誤解され
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by tabigarasu-iso | 2009-02-18 22:03 | ISOマネジメント | Comments(0)

泥酔疑惑

 疑惑にも色々ありますが、泥酔疑惑だけは誰が見ても明らかであり、疑惑とは言い難いものです。ところが、某国の大臣は、国際会議で首相を大臣と言い間違える。それを風邪薬の所為で泥酔ではないと言い切り、挙句の果てが迷惑を掛けた責任を取って、大切な予算審議が終わった時点で辞任すると発表されました。

 それが大事な国際会議であっても、体調が悪い人の言い間違いであれば、好ましくはないけれど、厳しく責める人は居ないでしょう。それに、周囲が推測するような泥酔でなければ、辞任などする必要はありません。体調を崩しながらも、大切な国際会議に参加したことを、自信を持って主張し続ければ宜しい。

 真実は本人のみが知るところでしょうが、酒をたしなむ人なら、誰もが一度や二度覚えのあるのが泥酔。風邪薬の所為などにせず、深酒を潔く認めたら如何でしょう。何度も繰り返し放映される場面を見ながら、かつて、朝方まで深酒をした翌日のことを想い出します。

 暖かな大きな部屋に通され、工場長に挨拶した途端、蘇る酔いで赤らむ顔をどうすることもできません。
「すいません。部下の方と居酒屋で意思疎通をしていたものですから、申し訳ありません」
 事情を直ぐに察知された工場長は、笑いながら言ってくれました。
「何、部屋に入って来られた時から、芳しい匂いで承知のことです。言わずとも判りましたたが、正直に言ってくださり、安心しました。今後の指導も、この調子でお願いします」

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              疑惑とは 闇から出ない 事を言い
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by tabigarasu-iso | 2009-02-17 20:55 | 随筆 | Comments(0)

春一番に吹かれてみれば

 天気予報通り暖かな風が吹けば、それを信じないで出掛けた方が悪い。厚手のオーバーを手に振ら提げ、セーターも脱いで腰に巻く。それでも額に汗が滲む暑さだから、シャツの両袖をめくり、愛犬と近所をのんびり散歩すれば、見知った顔が声を掛けてくれる。

「もう春ですかね」
「そうですね」
「だいぶ暑そうですな」
「お恥ずかしい」
「シャツも脱ぎたいほどでしょう」

 そう言う相手は、玄関前で上半身は裸に近い。冬着を手に持ち腰にも振ら提げる当人、何とも己が間抜けに思える。
「そうしたいところですが、散歩の身では見た目が悪いでしょう」
「それもそうですな。気が付かないで」

 頭を軽く下げ、その場を後にすれば、愛犬が何か言いたそうに見上げた。
『着物を脱げる人は、好い気なものだ。こちとら、暑くても脱ぐものがないからな』
 そう言いたげな顔付きであり、放っておいては済まないから、日陰に進路を変えながら言ってみる。
「早く帰り、浮き始めた冬の毛を梳いてあげようか」
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               春一番 しこりをすべて 揉み解し
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by tabigarasu-iso | 2009-02-16 12:35 | 随筆 | Comments(0)

内部監査の虎の巻

 組織内の者が、その組織が定めた基準を拠り所に、現場とのギャップを検証する審査を、内部監査と言います。内部の事情を良く知っているだけに、掘り下げようとすれば幾らでも深く追求することもできますが、互いに生活の掛かった仲間を相手にすれば、不具合を発見しても、それをそうだと言い切れない。こうした馴れ合いでは、監査が骨抜きになりますから、監査相手を傷付けないで問題点を指摘する、監査の虎の巻を語りましょう。

 まずは、内部監査の目的が何であるのか、監査の依頼人である社長又は工場長に明確にして貰います。生産ラインの歩留り向上が目的であれば、現場の手順がそれに叶った内容か監査し、法規制順守の体制確認が目的であれば、関係者が順守の仕組みを、計画、実施、点検、見直しのサイクルで回しているか監査することもできるでしょう。けれど、どれ程の組織において、経営陣が監査の目的を明確にしていることでしょうか。そうでない現実が多いとすれば、内部監査は依頼者の意図を汲まない意味の無いものに成り下がるしかありません。

 次いで、内部監査の結果に関し、社長や工場長と予め相談の上、評価方法を定めて置くことです。つまり、監査で指摘の無い部署など在り得ませんから、指摘されることは改善の機会を与えられた部署として称え、指摘の対象は部署であって個人ではないことを明確にすれば、遠慮なく指摘することができましょう。当然、指摘が無い場合は、内部監査側の力量不足が指摘になります。こうすれば、監査側も事前調査を充分に実施せざるを得ませんから、自ずと監査のレベルアップになりましょう。

 最後は、相手に好感を持って迎えられる、内部監査を目指すことに尽きます。相手の不備を指摘するのは容易なことですが、それを改善する具体的な方法やら知恵を提供しなければ、仲間が行う内部監査の意味がありません。それが出来る様になるには、数多くの現場を知りノウハウを蓄積してきた人が、監査メンバー又はオブザーバーに居ることが必須になります。けれど、その重要性を経営陣に伝える役割を果たす人が居なければ、これまでの話は絵に描いた餅にしかなりません。
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                 監査には トップ交えて やれば良い
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by tabigarasu-iso | 2009-02-10 08:44 | コンサルサービス | Comments(0)

こぶし

 手を握れば拳になるが、春を早々と告げる花もこぶし。都会の街路樹にされたこぶしは、肩をすぼめ急ぎ足で通り過ぎる人を見ながら、何を思うことであろうか。生まれ故郷の山腹が恋しくても、歩いて帰る訳にもいかないから、めそめそなんかしていられない。

 膨らみ始めた蕾に開花を期待して、自分を見上げる人々の要望に応えてあげようか。そんなこぶしの囁きが、枝の先々から漏れ聞こえてくるような気がする。米国発の金融危機であろうが、世界規模の経済危機になろうが、根の張る場所に違和感を覚えながらも、春を迎えれば大きな白い花をいきなり咲かす。

 水分、温度、光、養分の生育環境が整えば、決まって咲く都会のこぶしに、我々の学ぶことは実に多い。周囲の気温が下がり日照時間が短くなれば葉を落とし、その時には既に葉の根元に新芽を準備している。汚れた空気にも強く、排気ガスを浴びながらも、道端で大きく育つ。

 そんなこぶしに比べ、このところ海外向けの車や家電製品など、売れないことばかり強調されている。けれど、日常生活や仕事で本当に必要なものは、国内外を問わず嫌でも売れる筈だ。米、秋刀魚、大根、麦酒、背広、靴、ワイシャツと言った、日用品や嗜好品の購入はもとより、二十年近く使用していた冷蔵庫を買い替え、同期のテレビも近い内に買う予定の当人が言うのだから、間違いない。
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                こぶし咲く あの故郷は 寒かろう
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by tabigarasu-iso | 2009-02-07 20:19 | 随筆 | Comments(0)