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白髪の旅ガラス

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コンサルの口あり

 ISOマネジメントコンサルには、仕組みを導入する支援の仕事と第三者が行なう審査に立会う仕事とがあります。前者は、支援相手と意見を交換しながら、コンサルが主体的に進めることができますが、後者は、第三者が進める状況をコンサルは黙って見守るしかありません。

 後者の場合、コンサルの出番は審査が終了する時間帯ですから、大半が五時から口を開くことになります。それまでは、どんなに口を挟みたくても、じっと我慢するしかなく、審査の質疑応答の記録者になるしかありません。たとえ、審査員の質問内容が、どんなに的から外れていても、支援相手が審査員の質問内容を理解できず、回答の資料はあっても提示できずに迷っていても、ただただ、記録する役割に。

 それが二日間に亘れば、無言のストレスは疲労に変わり、知らない間に瞼が下がってきますから、周囲に悟られないようにする術は、容易ではありません。さも、対策を考えているかのように、眉間に皺を寄せて口と目を閉じ、じっと天井を仰ぐ。腕を組み、目を閉じて前を向くのも効果的ですが、記録していないことが判ってしまうから、長くはできない。

 かような努力も、五時を過ぎれば必要がなくなり、審査対応で疲れ切った支援相手の顔色を見ながら、静かなコンサルの展開となります。
「・・・この課題、・・・皆さんの都合に合わせて対応すれば結構です。・・・手段は、・・・次の訪問で提案しますから、・・・今日のところは、・・・解散」

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               システムの 問題なんて 簡単に
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by tabigarasu-iso | 2009-01-29 18:52 | コンサルサービス | Comments(0)

農林漁業の道を行く

 米国を大きな震源地とする経済不況の大津波を受けて、半導体や自動車などを製造し欧米に輸出する第二次産業では、生産工場の統廃合や生産ラインの稼働調整など、大規模な事業再編成が展開され、派遣労働者の雇用延期中止や正社員の早期退職募集などが、連日のようにテレビや新聞の情報源になっています。

 年金や退職金で余裕を持って暮らせる方は別として、職を得て衣食住を満たさなければならない人は、不況にも耐えられる仕事を自ら創造するか、探し出すしかありません。また、生活できるだけでなく、夢を持てる仕事で無ければ、一時的に就職することはできても、生涯の仕事にすることは難しい。

 こうした中、このところ農林漁業への就職希望者が増えているようです。応募する側が有利な就職条件を提示することも一因にあるでしょうが、自然を相手に暮らす人の本能が目覚める場合もあるでしょう。また、地球環境の保全が優先課題として認識された今、漸く、第一次産業が見直される時期が到来したのかも知れません。

 けれど、農林漁業への就労が、一時的な夢で終わらないようにする必要があります。それは、将来に亘り農林漁業者の生活が保証される制度の確立であり、安心で安全な食、水、空気、空間や再生可能な資源を提供する人の生活を、提供される側の税金で賄う必要があるかも知れません。
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                林業に 汗と涙の 覚えあり
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by tabigarasu-iso | 2009-01-28 07:05 | 随筆 | Comments(0)

そっと覗いて見てごらん

 喉元過ぎれば、熱さを忘れるのも、仕方ありません。いつまでも、過去に拘るようでは、嫌な想い出が脳内を駆け巡り、毛細血管が張り裂けてしまうでしょうから。ISOマネジメントの受審も同じ事、審査が終われば緊張が解けて、そのまま半年や一年が過ぎてしまい。

 そこで登場するのが模擬審査、一年前の緊張感を取り戻そうと、審査員の役割をコンサルが演じることになるのですが、昨日までの支援者として、厳しく追求できる訳がありません。冷たい口調で質問しながら、回答に窮した相手の顔を見ては、直ぐに救いの手を差し伸べて。

 窮したままにして置けば、審査らしくて良いのでしょうが、その後のコンサルが難しくなりますから、放って置けません。
「環境影響評価記録の説明を、具体的にしてください?」
「・・・?」
 前任者から記録のファイルを引き継いだものの、記録の作成方法までは把握していないことが判り。

 その場でコンサルに変身し、記録の作成方法を説明してみれば、その説明では判らないと駄々を捏ね。それでも飽きないのがコンサルですから、隣の人に同じ質問をすれば、すらすらと答えが返り。そこで、前の方に再確認をしてみれば。
「同じ方法で記録を作成されましたね?」
 その方の笑顔で肯定の返事を確認したものの、やはり模擬は模擬。

              山茶花に 宿は何処かと 聞いてみて
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by tabigarasu-iso | 2009-01-23 19:07 | コンサルサービス | Comments(0)

天地人

 天と地と人、これを「天地人」と言い、才能や順位を表す言葉だが、人によりその解釈はそれぞれ異なってくる。戦国時代の武将は、天命を受け、地の利を活かし、諸国を統一する者を、「天地人」の人と位置付けた。地球温暖化を心配する人は、自然の摂理である「天地人」の順位を無視し、最下位の人が地球を汚染し続けたことが、天の温度まで押し上げてしまった原因だと、承知していることだろう。

 地球温暖化は、「天地人」から「人地天」へと、人が勝手に順位を切り替えた結果だから、元の順位に戻せば良い。天の恵みを受けて、地球上に育つ植物を乱獲することなく、それを他の動植物が分けて貰う。エネルギーも、天から分けて貰う太陽光発電やら、風力発電、水力発電など、再生可能な手段に切り替える。

 地熱発電も良い。また、地下の化石燃料を燃やすのも良いが、燃やした後の処理を変える必要がある。天に排気ガスとして放出するのを止め、炭素と酸素を分離処理した後で、炭素だけ再び地中に戻すのが良い。これ位の技術は、化石燃料を燃やす知恵のある人なら、持ち合わせている筈だ。

 順位において、人は「天地人」の最下位であることを再認識しなければならない。天の力で地が動き、そこに張り付く動植物も生かされている。その一部が人であることを、終始忘れことなく、新しい時代劇「天地人」を楽しみたいものだ。
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                森と生き 土に返った 人偲び
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by tabigarasu-iso | 2009-01-21 12:26 | 随筆 | Comments(0)

キラキラ

 その地方には、その地方でのみ通用する言葉があるように、その組織にだけ通用する言葉というものがあります。ところで、その組織の方は、それが当たり前の言葉ですから、どこの組織でも通用すると思い込むところに、喜怒哀楽が生まれまして。

「当社の提案は、わが社の意に沿いません。もう一度、提案して貰えませんか?」
 これを聞いた弊社の社員は、何となく要望は判りましたが、正確には理解出来なかったようです。当社とわが社、どこが違うのか。弊社の言葉では、両方とも弊社の意味で使用されていましたから。

 話の流れで、何となく理解できる意味不明な言葉もあります。
「現場のシャは、それが有益な環境影響を引き起こす計画であることを、良く理解していないようです」
 文脈から、「シャ」は「者」と判りますが、大半の組織で使うことのない言葉でしょう。

 説明を聞くまでは、全く意味の判らない言葉を上げますと。
「キラキラ、それは妥当な金額だと思います」
 この言葉が判る方は、その組織の方に限ります。そこで、その語源を尋ねたのですが、キラキラでも判らないとのことでした。

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                方言は 電子メールに 味を出し
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by tabigarasu-iso | 2009-01-18 00:44 | 随筆 | Comments(0)

森の力

 再生可能な森林資源であっても、再生する時間を置かずに伐採すれば枯渇してしまう。これまで、大量の木材を輸出してきた東南アジアやロシアは、輸出規制や輸出税で自国の森林資源を守る方向に舵を変えた。

 経済成長の著しい中国は、木材輸入を増加する一方だから、日本へ外材が入り辛い状況になり、日本の合板メーカーなどは国産材への乗り換えを始めている。また、京都議定書で約束した温暖化ガス削減の役割を、森林に任せることにしたから、人工林を整備する必要があり、間伐材の利用も現実的になった。

 こうした中、終戦後に植林された日本の森林は、五十年近く経って木材としての利用価値が生じていることもあり、国産材利用の追い風が吹いている。品質や価格面の課題は未だあるが、四季の変化が明確な日本の風土には、日本で育った木材が似合うのは、当然の成り行きになるであろう。

 荒れ放題の日本の森林が見直されてきたのは、林業経営の体質改善も見逃せない。公共事業に頼っていた森林組合も、コスト管理や販路開拓に力を入れ始めた。民間企業も、立木を売る山主を探し、木材を売る先を自ら探し、コスト計算や工程管理を導入し、採算が取れる経営を始めている。そこには、夢を持つ若者が従事する姿があるから、森の力も捨てたものじゃない。
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              いつの日か 山に戻れと 森が言い
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by tabigarasu-iso | 2009-01-15 18:37 | 随筆 | Comments(0)

テレビ会議

 電子メール全盛期の時代であっても、会って話すことに越したことは無い。文字だけでは読み取れない、相手の意思、体調、それに匂いも判る。会話中に無言であっても、下を向いていれば話題に消極的であり、相手の目を見詰めていれば積極的な姿勢が見て判ると言うもの。

 とは言え、離れた場所から会議に集まるとなれば、移動の時間や環境負荷も大きいから、相手の見えるテレビ会議を利用すれば、互いの表情が読み取れ、移動時間も節約出来て、移動に関わる環境負荷も無くなり、良いことばかりである。

 それなら、拠点が分散している組織は、直ぐにテレビ会議システムを導入すれば良い筈だが、導入していない組織の方が多数のようだ。その原因は、価格の問題であろうか、さもなければ、テレビ会議を嫌う民族性の問題であろうか。

 そもそも、会議ばかりしているようでは、その組織の明日は無い。会議は可能な限り短く、出来れば無いに越した事はなかろう。代りには、電子メールを大いに活用すれば良い。どうしても相手の顔が見たい時は、会いに行く。『友、遠方より来る』と言うではないか。
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             会議とは 見て聞き話し 嗅ぐことも
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by tabigarasu-iso | 2009-01-12 00:46 | 随筆 | Comments(0)

 肌寒い朝、樹齢が数百年の杉や松から放たれる、何とも言えない「気」を全身に浴びて、参拝客も疎らな伊勢神宮へ向かう。参道に敷き詰められた、小粒の砂利を踏みしめる度、カリコリと小気味よい音がする。それに慣れない革靴には可愛そうだが、足の裏まで清められるようで心地が良かった。

 毎年の恒例になった神宮参拝だが、都心では味わえない厳かな空間に、日頃は口数の多いコンサル仲間も寡黙に進む。中には、昨夜のアルコールが抜け切らず、歩くのが辛そうな人も居たが、神前で合掌した後は、清々しい顔色に変わっていくのが見て取れた。

 その過ぎたるを反省し、今後の不足を目標に誓えば、復路の足取りは軽く、参拝記念品を選ぶ余裕も生まれる。つい、出口近くの神酒に気を引かれたが、反省中の仲間も居ることだから、それは諦めた。それでも、おかげ横丁に入れば、人の気を引く名物に気が移り、甘いものなど土産にする。

 それぞれが、神前で何を願ったかは問わないが、懐の深い神のことだから、何等かの支援をしてくれることは間違いない。旅ガラスは、勿論のこと商売繁盛である。また、地球生命体の全てが健全に持続することも忘れなかった。少々、欲張り過ぎた願いであったろうか。振り返れば、森の上空にはカラスの大群が、初春を祝うかのように舞っていた。
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                意外にね クールな人が 神頼み
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by tabigarasu-iso | 2009-01-08 12:11 | 随筆 | Comments(0)

変身

 髪を染める。それも、一本や二本ではない。白髪の全だから、染めた後は、別人のようになる。プロが染めた仕事は、髪の毛の生え際まで、抜かりは無い。余りに黒くなった頭髪に、本人より周囲の人が言葉を失った。

 生みの母も言うことで、間違い無い。
「青年になったようで、気味が悪いなぁ!」
 決して驚かすつもりなどなかったが、連れの言葉がそうさせた。
「たまには、思い切り変えてみるのも、良いかしら!」
 連れの提案に、異論などある筈もない。

 それにしても、白い頭髪を黒に染めただけで、中身は殆ど変わっていないのに、人の評価は面白いように変わる。そもそも、人の評価などは、見てくれが大半であろうと知りながら、一喜一憂する方も単純なものだ。

 時に、馬鹿な行動とは知りながら、そんな変化を自分で仕掛けてみるのも面白い。親に貰った白髪を黒くしたところで、年齢が若くなり、物覚えが良くなった訳でもないが、相手の評価が一時変わるのは事実である。


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               酔いが醒め 脳裏に浮かぶ 五七五
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by tabigarasu-iso | 2009-01-07 00:33 | 随筆 | Comments(0)

炭焼き

 村の長老が庭先に拵えた炭窯から、白煙が消えてから一ヶ月が経った。近場の山から運び込んだミズナラやクヌギから、水分だけを飛ばして木炭にする炭焼きは、下手をすれば全てを灰にする恐れがあったが。
 
 煙突から噴出す煙の色が黒ならば、室内の温度を上げる為に窯口から火を入れて、煙が青くなるのを待つ。その色は、雑木の燻製に手頃な温度になったことを教えてくれた。そこで、窯の口を粘土で塞ぎ、空気を入れないようする。

 それでも、一度高温になった窯の火は、消えることはないから不思議なものだ。やがて、煙突からは白煙が上がり、炭の出来上がりを待つばかりになる。その匂いが辺りを漂えば、全てを清めてくれるような、厳かな気持ちになった。

 白煙が消えた炭窯から、煤で顔を黒くして出てきたのは、長老の息子と嫁である。見よう見真似で炭を焼いたようだが、初めてにしては上出来であった。全てを灰にすることもなく、長老と同じレベルの炭が目の前にあるから、きっと煙突の色加減を、知らぬ間に覚えたものであろう。
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                 初めとは 終りの後で 必ずや
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by tabigarasu-iso | 2009-01-04 23:02 | 小説 | Comments(0)