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白髪の旅ガラス

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沈黙

 話術が商売道具のコンサルにとり、沈黙は宝ではありません。それでも、沈黙の力をコンサルで確認できる場合があります。それは、幾つかの選択肢を説明し終え、どれを選んだら良いのか、相手の判断結果を待つ間のこと。どんなに歯痒くとも、何も説明を加えないで、じっと見守る沈黙が効果的です。

「部門長の方が教育の指導を出来なかったのは、教育記録が作成されなかった原因では無く、現象の説明ですね。何故、教育の指導が出来なかったのか、知らなかったのか、知っていたのに指導出来ない理由があったのか、それとも他に理由があったのか、その何れなのか考えてみましょう」

 内部監査の場合、その指摘事項の多くが、教育記録に関すること。マネジメントシステムの要が教育訓練ですから、当然と言えば当然の現象ですが、何故そうなるか、その原因は様々な筈です。説明した選択肢の一つを選んでも、それは原因の一部でしかありません。

「実は、知っていましたが、教育指導の優先順位は低かったのです」
「何故、低かったのですか?」
「・・・・」
 相手が口を開くのを待ちます。
「・・・・」
 それでも待って、手の平を上にし、それを横に広げて。
「実は、受注最優先の指令を出していたのです。勿論、トップの意向を受けてのことですが」
 内部監査の依頼者も、トップですから、今度はコンサルが沈黙する番に。

沈黙の 春も困るが 訳を知り
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by tabigarasu-iso | 2008-06-30 07:50 | コンサルサービス | Comments(0)

備えあって憂いあり

 そう、田植を終えた水田は、夕方になると減量した水を足し、それを朝には止め、まめに水量を調整してあげます。ある程度まで稲が成長すれば、その水を干すことになりますが、それまでは水管理に大変神経を使います。

 そんな重要な役割を任された子供は、一人前に認められた名誉を胸に秘めて、親に言われた通り、一枚一枚と丁寧に田の水を見て回ります。それも一箇所ではなく、方々に散らばった田の水を監視するものですから、大いに疲れる仕事となります。

 その途中に出くわすのが、蛙を狙う蛇です。何しろ手足の無い相手ですから、何度遭遇しても、その度に後ろに下がります。相手が直ぐに退散してくれれば良いのですが、獲物を飲み込んだ直後は、じっとしたままで動こうともしません。

 そこを通らなければ、田の水を隈なく見ることが出来ませんから、予め用意した長い棒でもって、休憩中の相手を起こします。すると、済まないねとでも言いたげに、相手はゆっくりと土手の草むらに退散してくれます。

 そんな想い出を記憶していた筈でしたが、コンサル先の廃水処理場で遭遇した、四尺余りの青大将には、久し振りとも言えず、子供の頃と同じ様に、思わず後ずさり。それは、手元に長い棒が無かった所為かも知れません。

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                 稲沢の 夜の講演 眠たかろ
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by tabigarasu-iso | 2008-06-28 18:49 | 随筆 | Comments(0)

更新審査

 さて、ISOマネジメントを登録してから、その有効期限が過ぎる前に行なわれるのが、更新審査です。審査員の習性や審査機関の要望にも慣れて、本来なら余裕を持って臨める筈ですが、過去三年間の目標数値の推移が確認され、その結果でシステムの継続的改善の効果が、改めて評価されることになりますから、初回の登録審査よりも緊張する場合もありましょう。

 何も、目標が未達成な状況を責めるのが、審査ではありません。その状況をそのままにしている仕組みが、方針を達成する観点から見逃して良いものか問うのです。補足すれば、その方針には、仕組みの継続的改善を約束し、また方針には目標の枠組みを設けてありますから、未達成の目標があれば、目標を見直すなり、関連の仕組みを見直さなくてはなりません。

 かように、自ら約束した至極当り前のことが実行できていない場合、それが三年間も続けば、審査の評価を待つまでもありません。もとより、経営者の方は、定期的な見直しにおいて、その理由を責任者に問い、対応を指示している筈ですから、その内容を確認し堂々と説明すれば良いでしょう。

 ところが、そうしたイレギュラーな内容に限って責任者や担当者が変わり、検討した記録を残していないものです。残っているのは目標値と実績値だけで、その差を埋める対応策がありませんから、説明に迫力が欠けてしまい、これに同情した審査員からは、記録の整備がシステムの改善要素と、基本的な指摘を受けることになりましょう。
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出来たより 出来ない理由 明らかに
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by tabigarasu-iso | 2008-06-26 00:08 | ISOマネジメント | Comments(0)

ロボコン

 仕事が無くて備蓄も底を突くようであれば、安穏としている訳にはいきません。けれど、仕事量が多過ぎて、酒を楽しむ夜が無いようであれば、それも困ったものです。我等コンサル族は、要望があって成り立つサービス業ですから、有難い要望が続く限り、それに応えなくてはなりません。

 しかしながら、身体を張って支援する先は、一度に一箇所になりますから、仲間の数で受託件数が決まります。そこで、全ての要望に応えるには、各地の名物を前にしながら、明日の別件に備えて、好きな酒も控えめにしなければなりません。こうした状況から脱却しなければ、利用者の要望を十分に満たすことが難しくなります。

 例えば、我等コンサルの意志を継ぐ、コンサルのロボット化が実現すれば、どんなに素晴らしいことでしょう。深酒もしないで黙々と利用者の要望に応え、疲れた表情を相手に見せることも無くなり、お陰で我等コンサルが知恵を備蓄する余裕も生まれます。

 とは言うものの、コンサルロボットを創り出すことは可能でしょうか。まずは、ロボットに移植する支援の知恵をデータベース化し、それを要望に応じて回答に仕上げるエキスパート回路を組めば、利用者の声を認識したロボットは、それなりの指導内容を音声にするでしょう。

 けれど、何を相談したら良いのか判らない方や、言いたくても言えない方が多い中で、相手の態度から心を読むレベルまで、ロボットに処理機能を移植するのは難問ですから、それが可能なコンサルタントを育てることが、コンサルのもう一つの仕事になります。それも、仕事を通じてのことですから、なかなか容易なことではありません。
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               コンサルを 育てる指導 ロボコンに
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by tabigarasu-iso | 2008-06-23 23:55 | 随筆 | Comments(0)

安眠の鼾

 枕が変わって眠れないのは、過去の話になりました。疲れが溜まれば、否応無しに眠れ、気が利くホテルに泊まれば、軟らかいものから堅いものまで、数えてみれば四個の枕がベッドの上に並んでいます。それを幾つか組み合わせ、好みの傾斜を作れば、空調音の無い室内は、いつもの古巣で眠るのと変わりません。

 唯一つ違うのは、老犬が主人と同じタイミングで繰り出す、呆れた鼾が聞こえないことでしょう。番犬であったことを忘れて久しい仲間は、専用の枕に頭を乗せ、主人の顔を眺めながら、安堵の溜息を漏らします。それが催眠剤になっていた所為でしょうか、枕の具居は良いものの、鼾の聞こえない部屋では、一向に眠れそうもありません。

 当ても無くテレビを点けて、ぼんやり動く映像を見ていれば、いつしか眼が疲れ眠れることを期待しました。けれど、余りにも馬鹿馬鹿しい会話の所為で、このところ忘れていた笑いが、眼を覚ましたようです。それにしても、演じるのでもなく、そのまま無知を曝け出す、芸人とも言えない芸人の多くなったこと。

 ならば、チャンネルを変えれば宜しい。静かな川のほとり、老いてなお剣豪の父を待つ、若い剣士の悩む姿が清々しく映ります。言葉を徒に使わず、心情をわずかな眼の動きで表す、濃縮したボディランゲージの極みに対し、言葉を多く発するコンサル稼業の学ぶ点があり、すっかり眠気は飛んで行きました。それでも、そろそろ身体を休めなくてはいけない時間帯ですから、どこからか仲間の鼾が聞こえてこないものでしょうか。
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空調の 音に負けない 声を張り
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by tabigarasu-iso | 2008-06-21 21:05 | 随筆 | Comments(0)

新旧交代の儀

 環境マネジメントの支援業務を終え、招かれた宴の話です。環境委員を二年間務めた方が任期を終え、新たな方が任に着く「新旧交代の儀」に参列を許されました。厳かな歓送迎の式典には、管理責任者は当然のことながら、多忙な社長も参加され、三十数名の関係者が緊張する中、式典は大いに盛り上がります。

「任務を終えられた方、その成果を業務でも期待しています」
 流石に社長、旨いことをおっしゃる。該当する方の表情が一瞬にして締まる様、コンサルは見逃しません。
「これから任に当たる方、この手法を大いに学んで頂きたい」
 そう言われても、この手法を習得前の方には、頷き様が無い。恨めしそうに、コンサルの顔を見ました。

 十名近くの視線を浴びれば、幾ら鈍感なコンサルであっても、瞼に熱いものを感じます。ふと目を開き、大きく頷きました。それが何を意味するのかより、自信を持つコンサルの姿を印象付けること、それが本音です。けれど、その後の環境クイズで、化けの皮が剥がれてしまいました。

「リサイクルされる物質の中で、何が最も多いか、答えてください?」
 三択の回答ですから、正解率は三割。紙が正解ですが、コンサルはガラスのリサイクルに手を挙げました。どうやら、日本各地の客先を回る習性と勘違いしたようですが、このまま終えてはいけません。管理責任者の挨拶が終わったところで、名誉挽回の試みです。
「正しいものは、皆さんのこころです。それを引き出すのがコンサルですが、そろそろ野暮用で失礼します」
 社長に挨拶をすれば、野暮なら御捨てなさいとは御尤も。
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                温暖化 どこが悪いと 言う人も
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by tabigarasu-iso | 2008-06-17 22:52 | 随筆 | Comments(0)

雨が降れば背広も濡れる

 水不足の現実が嘘のような雨が降り、濡れて喜ぶ草木もあれば、仕事着が濡れて困る人も居る。いっそのこと、こんな時は草木に成り代わり、雨は降る降ると歌うか、家の中でごろ寝と決めて、天の恵みに感謝しながら骨休みするが良い。

 それを、皆が揃って出来れば良いが、客先の近場で前泊して朝を迎え、雨であろうがなかろうが、時間に遅れないことは基より、規格に忠実なことを生甲斐とする、ISO審査員のような融通の利かない、とりわけ自然の摂理には疎い人種もあるから困る。

 ISO審査の立ち会い当日のこと、激しい雨音に起こされ、やおら布団から抜け出し、そそくさと身支度を整え、当てにならないバスを待てば、先程まで見えていたズボンの折れ目、何処かに消えて作業着らしく成り果てた。それも、皆が揃ってのことだから、これが雨の日の自然と諦めて、乗り込んだ電車でそれが乾くのをじっと待つ。

 程よく水分を吸収した背広、何を勘違いしたのか、適度な車内の温度に背広であったことを忘れ、肩の辺りから可愛らしい芽を出した。それも急激なことであったから、着ている本人も大いに慌てたが、事実だから仕方ない。どこまで伸びるか静かに見守れば、一寸ほどに成長したところで、消えて無くなる。
「お客様、どちらまで」
 この声さえ無ければ、実を着けるところまで、あの芽は伸びたに違いない。
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               審査員 時間に遅れ 言い訳ない
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by tabigarasu-iso | 2008-06-12 20:51 | 随筆 | Comments(0)

はこね34号

 往路の満員電車に懲りた男は、ISOマネジメント審査を通じて知り合った管理責任者の方に向かい、復路で座れる策を尋ねた。
「新宿まで、安くて早く帰れる方法がありますか?」
「無理して倒れるより、健康を維持する方が安く、時間も早いロマンスカーをお勧めします。僅か五百五十円の追加料金で、命が延びるなら、安いものでしょう」

 その言葉に従い、本厚木駅で少し待ったが、テレビで良く見る黄色い車体の先頭車両に乗り込み、復路の車中はパソコンを叩く余裕も生まれた。こうした手段があることを知っていれば、往路も楽しめたことであろうが、後悔先に立たずであるから、もう言わないことにする。

 それにしても、何と快適な車内であろうか。静かで清潔で、車内販売も頻繁に訪れる。また、前景が見えるから、自分で電車を運転しているようだ。駅を通過する度に鳴らす警笛も、プオンプオンと遠慮勝ちに優しく聞こえる。電車好きな子供でなくても、夢を見ることができそうだ。

 こうした気分に浸ることができたのも、往路の厳しい移動空間を経験した所為であろう。過去の経験とは、無駄にはならないものである。ところで、審査を実施するにあたり、昔のセミナー企画の経験が大いに生きて、的を射た検証作業は当然のことながら、管理責任者や部門長との人間関係も深まったとも、男は言った。
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             ロマンスの 夢が見えるか 指定席
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by tabigarasu-iso | 2008-06-10 08:10 | 随筆 | Comments(0)

満員電車

 日頃、JRを通勤の足に利用する男が、代々木上原駅から本厚木駅まで、小田急線の帰宅時間帯の電車に乗った時の話である。朝の通勤や通学の時間帯は、何処の電車も混むものと誰もが諦めて乗るが、帰路の電車は空いていると思い込んだことが、男の間違いであった。

 小田原行の急行をホームで待つ間、男は異様な人の数に混雑を予想したが、普通電車を待つ知恵は浮かばない。代々木上原駅のホームに入った電車は、既に混雑しており、降りる人は少なく、キャスター付きの大きな鞄を引いた男は、押し込まれるように車内に入った。もはや、引き返したくても人が邪魔して後戻りは出来ない。もう一歩中に入ってくださいと、駅員が叫んだ。

 新幹線を利用した出張に慣れている男は、鞄を手に立ったままの夕方の移動など、これまで経験したことがない。それも一時間以上だから、額に脂汗が吹き出した。それをハンカチで拭く隙もないから、流れ落ちるままにした。仕方なく、気分転換に車窓を見れば、車内の混雑が信じられない緑の多い町並みが続く。

 それにしても、急行の筈なのに良く停まり、その度に期待しても、乗客数は減りそうもない。腹を立てるほど急いていないから、普通電車より急ぐ電車だと考え直し、車内で耐える方々の顔を見る。やはり、誰もが疲れ切った顔付きで俯き、暇そうに人の表情を観察する男の同類は居なかった。
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               名より実 取らない人の 顔を見て
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by tabigarasu-iso | 2008-06-08 22:51 | 随筆 | Comments(0)

雨上がり

 激しい雨に打たれた後の山々は、支える木々の緑を一層際立たせて、明日からも光合成を盛んに行い、空気中の二酸化炭層を吸収するぞと言わんばかりである。それを認めながら、稜線の彼方に退去する雲を無心に追って、戦い終えたコンサルは鋭気を養う。

 睦月も動き始めたばかりだが、既に台風五号がお邪魔した。梅雨時の降雨は稲作に欠かせないものだが、一時に多量の雨を落とす台風は好ましくない。山々の木々は、それに耐える根があるが、植えられたばかりの稲に、それを望むのは酷であろう。水位の増した田の中で、穂先を浮かべてSOSの発信中と見る。

 それでも、雨の降らない砂漠地帯よりましに違いない。そこでは、砂が風に吹かれて自由気儘、水分を当てにする植物の居場所は少なく、好き好む動物も僅かであろう。一度も足を踏み入れたことがない者は、目にした映像を頼りに推理するしかなく、そうに違いないが、いつの日か確認したいものである。

 それに比べれば、雨上がりの緑は、何と親しみが持てるものであろ。綺麗になりましたから、いつでもどこでも食べて下さいと言わんばかり。それも見渡す限り眼前に広がれば、口にしなくても満腹になるのは、緑に飢える少数派ばかりではあるまい。

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               雨上がり 光る葉に揺れ カタツムリ
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by tabigarasu-iso | 2008-06-06 00:09 | 随筆 | Comments(0)