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白髪の旅ガラス

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千の呟き

 まず百話を目指し、肩の力を抜いて始めたのが、コンサルの心の旅路を語る「呟き」です。けれど、目標が近付くにつれて、お仕舞いにするのが惜しくなり、終わりそうもない千話へと目標を変えたところ、今度はその道のりが遥か遠くになり過ぎ、お仕舞いにする心配はなくなりましたが、目標を達成できない不安が生まれました。

 それでも、一話一話に心を込めて呟くしかなく、ふと振り返ってみれば、千の半分に話がなりました。これを、もう半分とは言い難く、まだ半分が正直なところです。それと言うのも、読んで貰える話をまとめることが、人生の一部になりましたから、まだ半分の人生と考えれば、もうとは言えません。

 かように、本人は思っていても、他人から見れば、もう人生の半分を過ぎ、残りが少ない老人層の仲間でしょう。それは正しい評価であり、そうと承知していればこそ、残りの時間を惜しんで呟きたいのであります。特に、コンサルや講師でエネルギーを使い果たし、脳の働きが低下する頃になりますと、その傾向が強まるものですから、コントロールされない夢に似た話が中心になり、申し訳ありません。

 ところで、夢の分析で有名なフロイトによれば、夢を見ることは、その内容より見る行為そのものに重要な意味があるようです。意識の下に追いやりたい事柄は、誰にも沢山ありますから、追いやられた案件が抱えるエネルギーが蓄積し、いつしか意識の上に噴出する機会が夢だとすれば、コンサルの「千の呟き」も夢ではありません。

               つれづれに 心を映す 夢を見て
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by tabigarasu-iso | 2008-02-29 00:44 | 随筆 | Comments(0)

どこか似ている

 いつもより少ない積雪に、温暖化の影響を問う間も無く、浅間山の向かいに位置する高原ホテルは、猛烈な吹雪に包み込まれてしまった。送迎のマイクロバスに揺られて移動する間の晴天が、それこそ嘘のような山の天気である。視界を遮る横殴りの雪は、親戚や隣人が揃って身に付けた黒の礼服を、瞬く間に白一色に変えて行った。

 高原ホテルの建つ場所は、かつて村人が共同で利用した牧草地である。ホテルの周囲はゴルフ場になって姿を変えたが、所々に残された赤松は昔の面影を留めていた。その一本の樹幹に、吹雪を避けて走り寄るものがある。それは、誰も目にしたことの無い大きな山の主、日本カモシカであった。

 四十九日の法要を終え、故人を偲ぶ清めの盃を酌み交わしながら、それが故人の生まれ変わった姿かも知れないと思いながらも、誰もが遺族に遠慮して、口に出さずに見守るばかり。そんなこととは知らない山の主は、赤松の横に大きく張り出した枝の下に横たわり、吹雪も気にせず毛繕いを始めた。その横顔は、村人の誰かに似ているのだが、誰だか想い出せない。

 それにしても、人目を恐れない山の主、何処からやってきたのであろう。ゴルフ場の上に広がる森からだとすれば、そこは故人が立木の量を推定し、伐採してから山出しに汗を流した後で、立木の読みが当たっていたとかいなかったとか、山師時代の懐かしい現場であった。すると、目の前の山の主は、山師を偲ぶ法要に参列するため、敢えて危険を冒して下山した、昔馴染みであったのかも知れぬ。
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              どの顔も どこか似ている あの人に
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by tabigarasu-iso | 2008-02-27 21:13 | 小説 | Comments(0)

開き直りませんか

 灰で縄を編みなさいと同じ様な無理難題を言われたら、どうしましょう。縄を編んでから燃やせば良いと頓知が働く余裕があれば、何も悩むこともありません。けれど、立て続けに難題の解決を迫られたら、即座に対応しようとすればするほど、脳内に在る筈の頓知の扉は固く閉じ、その主は顔を赤らめ右往左往するばかりです。

「目が潤んでいますが、熱があるのでは?」
 コンサルタントは、相手の体調の変化も、見逃してはいけません。熱に占拠された脳には、正常な働きを期待できませんから、難しいことは問わない事にしています。それでも、病む当人に確認しなければ、進まない仕事もありますから、何点か聞いてみました。

「その点に関しては、何度も説明してみましたが、聞いて貰えません」
 何やら、職場内に不健全な臭いがします。どんなに資料を揃えて説明にあたっても、全てが却下される。それも特定の人に限るようですから、間違いはないでしょう。とは言え、相手は上司ですから、対処に工夫が必要になります。

「却下された資料を、再度提出するのです。勿論、叱責されるでしょうが、これ以上の資料作成は無理ですから、どうぞ手本を示してくださいと頭を下げて、さっさっと退席しましょう。そうすれば、きっと呼び戻しがあるでしょうが、どうぞ手本を見せてくださいと繰り返します。このままでは、知らない間に、自分を制御できない状況に陥る危険があり、そんな悲しいことはないでしょう。ここは、勇気を持って開き直りませんか」

               コンサルよ 心の声も 耳にして
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by tabigarasu-iso | 2008-02-26 19:21 | 問題解決 | Comments(0)

夢見る審査

 暫らく審査員の仕事から遠ざかり、審査の立会いで物の言えないストレスを備蓄するばかりのコンサルは、審査員の言うことを良く聞いてくれる審査の場面で、好きに物言う審査員になった夢を時々見るようになります。

『私、審査員の旅ガラスと申します。審査経験は甚だ少なく、もっぱら環境マネジメント支援のコンサルですから、可能な限り、コンサル指導にならない審査に努めますが、それが御不満の際には、遠慮なくお申し出下さい。審査の道を外れない範囲で、有効な議論を展開させて頂きますので、その中から活用できるものがあれば御自由に』
 最後部に座る方が聞こえるように意識しながら、ゆっくり大きな声で話す姿は、何やら落語家を意識しているようではありませんか。話しながら背広を脱ぐ仕草は、まさにそのものですから、夢見る自分でも笑い出しそうです。

『それでは、仕事の内容は簡単にして、その中で貴方の部門が抱える課題を、可能な限り詳しく話してください』
 用意した資料に触れてくれるかと密かに期待する相手の予想を裏切り、カラスは次々と語ってくれる課題を走り書きに残していきますが、余りにも悪筆であり、見えても本人以外には全く読めたものではありません。

『貴重な話、有難う御座いました。これらの課題の中で、何を優先的に管理されているのか、教えてください』
 質問された相手は、親しくも無い審査員に深堀の質問をされて、怪訝な顔をしながらも、それは総務業務の効率化であり、何をもって効率を測るのか困っていますと答えます。笑みをたたえた答え方には、これが環境マネジメントシステム審査と何の関係があるのか、答えてみなさいとでも言うように。

『それはコンサルになりますから、審査員の立場では答える訳にはいきませんとは言いません。それを解決することでどんな利点があり、解決しなければどんな不具合があるのでしょう。何れにしても、その結果が品質、環境、安全の分野で、どんな影響をもたらすのか、その中で著しいものから管理していくことが大切です。これが、著しい環境側面の決定に関する要求ですので、その手順を説明して貰えますか?』
 こうして、コンサル的な審査を進めるカラスの夢は、いつまでも醒める気配はないようです。
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                 自由席 隣も使う 身の勝手
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by tabigarasu-iso | 2008-02-22 21:17 | ISOマネジメント | Comments(0)

貝になります

 毎月と言ったら正直ではないが、何度も貝の役に成り切って、終始審査を見守りながら、気付き事項を無言で入力するコンサルは、いつしか本物の貝になってしまい、言葉を発する機能が、このまま退化していくのかも知れない。などと妄想するコンサルに、二日間の審査を終えて漸く、発言の機会が訪れた。

「受審組織の実情と課題を、把握する時間が不足していたように思います。提示された資料の確認だけでは、形式審査になりますから、それらを責任者や担当者から聞き出して貰い、提示された資料との差を提示して貰ったら良かったですね。その点を審査員より把握しているのはコンサルですから、コミュニケーションが事前にあれば、受審側にとって利点になったでしょう。そうすれば、一過性が宿命の審査も評価され、継続的なコンサルの有効性も立証され、受審側、審査員、コンサルの三方が幸せになります」

 貝になることを余儀なくされたコンサルは、審査技法の弱点を認識して貰うように、ゆっくり、判り易く、強弱を付け、聞こえる声で審査員に感想を述べる。その時、受審側の反応を見逃さない。大きく頷き同意されていることを確認した上で、審査報告書の内容に触れた。

「報告書で受審される側が必要な情報は、登録が維持されるか否か、何を指摘されて、いつまでに、どう対応したら登録が維持できるかです。勿論、組織の弱点を補強する提案があれば、それが一番期待されるものですが」
 報告書には、審査する側の言いたい事が長々と展開され、相手の知りたいことが何処に在るのか判らない。静寂の室内に、『貝になります』と呟く審査員の声が聞こえたようだ。

誰のため 審査あるのと 問うてみて
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by tabigarasu-iso | 2008-02-21 22:26 | コンサルサービス | Comments(0)

一夜漬け

 久し振りに客人を迎える時、玄関、洗面台、トイレ、それに居間を掃除し、宿泊される場合には布団を干して、風呂場の汚れも慌てて落とし、酒の肴に食事の用意と皆で手分けして走り回り、客人が到着する頃にはすっかり疲れてしまう。これも、日頃から愛犬を含む家族だけで自由気儘に暮らし、来客の備えが出来ていない家では、仕方の無いと諦めて貰い、それこそ大掃除の良き機会と考える。

 ISO審査の準備も同じ様なことが言えよう。日常業務にISOマネジメントが浸透していれば、敢えて審査準備をする必要もない。けれど、それが出来ている組織は少なく、先の客人を迎える家と同様、審査直前になり手順の復習、関連記録の整備、文書ファイルの確認、それに大幅に予定から遅れた内部監査とマネジメントレビューの同時開催となる。これも、皆で手分けして走り回る仕組みだから、実態に計画を合わせて置けば、立派なシステムと言えよう。

 この状況を、経営層が承知しているなら良いことで、敢えて理想を追う必要もない。けれど、経営層の本音を知らないまま、瞬間的な理想を追い審査準備に掛かれば、現実との大きな開きに、肝の小さい人は準備作業を放棄したい気持になろう。それを行動に移せれば良いのだが、他に替わる人が居なければ諦めて、それなりの準備も立派な業務と自身に言い聞かせるしかあるまい。

 こんな時、コンサルは何を支援するのか。審査の準備支援が顧客の目的であれば、その場凌ぎの支援が正解になり、本質改善が要望であれば、敢えて審査で不適合の指摘を受けて貰い、それを端緒に改善コンサルを展開して行く。どちらが望みなのか、聞かずに審査の準備を支援する愚だけは、避けたいものである。
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             審査前 コンサル走る それも良い
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by tabigarasu-iso | 2008-02-20 22:05 | コンサルサービス | Comments(0)

富士山

 いたるところに富士山が見えることを誇る地名がありますが、雄大に美しく見える場所となれば限定されます。その一つ、新幹線に乗り静岡駅から新富士駅に向かう車窓から見る富士山は、何とも雄大で実に美しい。

 けれど、その区間を過ぎるといけません。白煙を吐く煙突や線路沿いの建物が視界を遮り、窓一杯に広がる偉大な姿を見ることができなくなります。三島駅を過ぎれば、山頂すら見えなくなりますから、静岡駅と新富士駅の間、富士山を独占されたい方は、居眠りなどなさらないように。

 こうして、富士山の話ができるのも、昼間の講演に講師として招かれたお陰です。創立七十周年記念を迎えた講演のタイトルは「ISO14001と本業の一体化」であり、継続的に発展する依頼者の意欲が強く現れ、記念の祭事としては実に前向きであり、いつになく話しにも熱が入りました。

「課題に対し、新しい切り口が判りました。いや、判り掛けたようです」
 配付された資料を手にした長老の専務さんから、講師として有り難い評価を頂き、日本晴れの富士山を見たような気分でしたから、帰路のそれがいつもより雄大に美しく見えたに違いありません。

                頂に 雪の稀なる 冬の富士
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by tabigarasu-iso | 2008-02-19 23:57 | セミナーサービス | Comments(0)

コンサル商売

 時代小説の剣客商売、老いてなお剣の道に生きる主人公に、コンサルの姿を重ねてみれば、裏方のコンサル商売も捨てたものじゃありません。剣に該当するのはコンサルツール、巧みな剣さばきはコンサル手腕、それは文書化された指導文書や標準マニュアルを使うことばかりではなく、相手の動きを見て指導する臨機応変術であります。

 この術は、残念なことですが、文字に変えて虎の巻にすることが容易ではありません。相手の数だけ術があり、概要の文書化は可能ですが、肝心の詳細は経験を経て修得するしかないのです。けれど、沢山の経験を積むことが必須ではなく、指導成果が旨く現れていない相手に対し、それをやる気にさせた経験が一度でもあれば、その手法を相手に合わせて、継続的に改善していくことに。

 では、その相手をやる気にさせる手法とは何か。相手が現状に満足しているなら、あるべき姿との差を埋めることで、相手が更に満足できる立場に成長できることを教えてあげます。あるべき姿が現状から離れ過ぎ、相手が絶望的になっているなら、あるべき姿を現状に近付け、相手が挑戦できる目標を見せてあげることになりましょう。

 これがコンサル商売の極意。とは言え、言うは容易ですが、実行は困難なものです。相手が満足しているのか不満なのか、それを見抜くのは剣客商売と同様に「相手の目を見る」ことでありましょう。流行の電子メールでは相手の目を見ることができませんから、直接会って目を見て話すことから、やる気にさせるコンサル商売は始まるのです。

               招かれて 祝い話に 福寿草
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by tabigarasu-iso | 2008-02-17 23:32 | コンサルサービス | Comments(0)

右から左へ

 昔々、一日中雨が降り続き外で遊べない子供は、誰も遊び相手にしてくれない退屈しのぎに、次々と頭に浮かぶ空言をラジオで聞いたことのある節に載せ、二度と繰り返せない即興の歌を長々と歌っていました。すると、おばあさんが笑いながら誉めてくれるのです。
「おめえは、えれぇもんだ。小さななりして、大人に負けない唄が歌える」

 最近、それと似たような意味不明な歌が、テレビの笑い番組から流れます。
♪右から・・・左へ・・・♪左から・・・右へ♪
 良く聞けば何の意味も感動もない、それこそ虚しい歌ですが、形式に拘らない意外さが面白いのでしょうか。おばあさんが孫を可愛がるのとは違い、無理に笑う必要はありませんから、そろそろテレビから消えることでしょう。

 ところで、右から左に流すだけでは具合が悪いものが、世の中には沢山あります。その一つにISO事務局の機能があり、管理責任者の指示があろうがなかろうが、部門責任者にシステムの運用状況の報告を求め、それをとりまとめて全体の評価を行い、全体の目標を達成することが難しい場合には、軌道修正の指示を管理責任者の名を借りて行う。かように、情報を右から左へ流すだけでは、その機能を果たせません。

 つまり、ISO事務局は、右からの情報をISO規格、マニュアル、法規制、計画、運用手順書などの基準に照らし、適切か否か判断する力量が必要になります。その結果を、管理責任者の名を借りて、再び右の部門責任者へと流さなくてはなりません。勿論、右から入った重大な案件に関しては、左の管理責任者の判断を仰ぐことになります。この際には、右から入った情報を、躊躇することなく左の管理責任者へ流す、素早い判断能力が必要になりましょう。

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               事務局を 熱くするのも コンサルか
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by tabigarasu-iso | 2008-02-16 19:13 | コンサルサービス | Comments(0)

彦根に雪は降る

 どうにも風が窓を摩る音が喧しく、布団を頭から被って避けているつもりが耳に入り、枕が変わった所為も加わり眠れない苦痛と戦う間に朝がきて、やけに静かな雰囲気に窓の外を見れば、彦根の城は雪のカーテンに遮られて遥か遠くに映り、ホテルの周辺は見渡す限り銀の世界に成り変って、車道を走る車はのろのろと、歩道を歩く人の姿は見えなく、これから出掛ける我が身を思えば、急いでフロントに駆け下りてタクシーを予約したが、何時来るのか約束できないとの返事に、コンサル開始の約束時間を守れない不安が走り、早目の予約を入れて部屋に戻れば、茶を暖めて飲む間も無く室内電話が鳴り響き、受話器を上げれば予約のタクシーが到着したとは呆れ果て、それでも時間に来ないより都合が良いと思い直し、慌てて荷物をまとめて精算すれば、カードの伝票が旨く打ち出せず、仕方なく現金精算する側が申し訳ない気持ちになるのも妙なものだが、それでも腹は立てずに一夜の世話になった礼を言い、外気に触れた途端に全身が凍る低温に曝されて、脳の萎縮する姿が見え始めたが、予約の名を大きく告げれば幾らか脳内に血流が増え、危うく失いそうな機能が回復し、革靴にまとわり付き車内に持ち込んだ雪が溶ける様子を気にする余裕も生まれ、行く先を告げながら雪の降る日の営業按配を伺えば、多少時間が余分に掛かるから売上は増えるが回転が悪くて実入りは少ないと気の毒な話になり、どうにかその場を明るくしようと思案したものの、踏み切り待ちではタイミングが悪く、渋滞を脱したところで今年に入り何度目の降雪ですかと尋ねれば、バックミラーで寝不足のコンサルの顔を観察していたのであろう、間も無く目的地ですから御心配なくとは恐れ入る。

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               雪道を 橇もつけずに 鞄引き
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by tabigarasu-iso | 2008-02-15 08:57 | 随筆 | Comments(0)