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白髪の旅ガラス

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危険な棄権

 選挙前の数日間だけ、手を振り、声を嗄らし、頭を下げて、当選すれば、投票した人の大半を忘れ、己の懐を潤すことだけに走る。そんな政治家を、選ぶのも落とすのも選挙だから、投票の権利を実行しなければ、そんな輩を認めることにもなろう。

 けれども、投票に値する党や候補者が居なかったり、政治に関心が無かったり。結果、投票率が五割を切る状況も珍しくない。仮に、国民の一割しか投票しない選挙であっても、最低有効投票率を定めていない限り、選挙は有効であろうから、このまま選挙離れが進行すれば、一部の人の、一部の人による、一部の人のための世の中になりそうだ。

 複数の意見が飛び交う議会や株主総会などで、物事の白黒を判定する場合、多数決の原理を採用しているのに、選挙権を持つ国民の過半数が参加しない選挙結果は、果たして有効なものであろうか。

 それにしても、投票が終わり、すぐさま当選確実を報道する情報網には、毎度のことながら驚くばかりである。投票前に本音を告げたことも、投票後の出口調査を受けた覚えもない人にとり、判断の根拠が知りたいものだ。


           当確も 終わりに落ちる こともあり 
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by tabigarasu-iso | 2007-07-31 12:14 | 随筆 | Comments(0)

途中下車

 姫路駅在来線の中央改札口を出たのは、梅雨明けの太陽が地面を焦がし、アスファルトの臭いが鼻を突く、真夏日の夕刻であった。一年前より陽に焼けたものの、見間違うことの無い端正な顔を認め、コンサルは人目も憚らずに手を挙げた。

 二人の出会いは、実に奇遇であった。熊本の営業を終え、帰路の機内で座席番号を確かめたその時、先程までコンサル内容を問い質していた顔が振り向いた。作業着から背広姿に変わり、首から下だけでは誰だか判らなかったが、真剣に話しかけた相手の顔は忘れなかった。

 その縁がコンサルに繋がり、今宵は途中下車して酒を交わすことになった。積もる話に終わりは無くて、喉を潤す地酒を入れたグラスの静止する間も無かった。何杯干したか忘れたが、二時間を越したところで、互いに明日を想い出して店を出た。

 再び新幹線に乗り、いつものホテルに入ったコンサルは、貰ったウイスキーを机の上に置いて眺めながら、いつまでも改札の外で頭を下げる相手の顔を想い出していた。時が経つに連れ、旨みが増す酒が目の前にあり、親しく語れる人が増える。そんな感激を噛み締めている間に転寝し、本格的に寝ようとした時には、既に起床の時刻となっていた。

            夕立の 止んで蒸し風呂 疲れ出し
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              溶け出した氷河  撮影By省悟
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by tabigarasu-iso | 2007-07-26 22:24 | 随筆 | Comments(0)

草履の復活

 無ければ水不足が発生し、過ぎれば水害をもたらす、気紛れな梅雨の季節が過ぎれば、灼熱の太陽が降り注ぐ季節になります。温暖化の加速する今年の夏は、どれ程の暑さになるのか予測はできませんが、冷房の電力使用量が増え、足元を見た石油類の値が上がり、気化の速度が加速して水不足の地域が拡大し、空調を控える結果に上着とネクタイの市場は冷え込むことでありましょう。

 それにしても、ノーネクタイの似合う人の何と少ないこと。大半の人は、だらしなくワイシャツの襟を押し潰して自由になれたのに、背広のズボンが堅い文化を捨てきれません。その上下のアンバランスなこと、大きな鏡を見れば直に判ります。いっそ、ズボンを尻に掛けて落ちそうなチョイ悪親父になるまで、服装革命を目指しましょう。

 もともと、ネクタイ着用など借り物文化で、首を締めて作業性が向上する訳がありません。締めなければいけない厳かな儀式を除き、自由選択にすれば良いことで、見栄えの良い作業着を、駅員や郵便配達のように、仕事に合わせて工夫することになりましょう。コンサルは、見た目が大切な商売ですから、相手に安心感を与える服装に、心を配りたいものです。

 けれども、暑さを凌ぎ、作業性が良く、その上相手に信頼される服装を、自由に選ぶとなれば、容易ではありませんから、ある程度パターンの決まったものを準備した方が楽でしょう。厚地の開襟半袖シャツをベースとして、左右の胸にポケットを付け、肩には荷物を掛けても崩れない肩当て、ズボンは単独で履かれることを意識したデザイン。そして靴も、クールビズに対応することを、忘れてはいけません。通気性や環境を配慮すれば、草履の復活も有り得ることでしょう。


               小魚を 守る網除け 蓮の花 
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by tabigarasu-iso | 2007-07-25 22:17 | 随筆 | Comments(0)

旅ガラス賞

 小説を書く人なら、一度は夢見るのが、芥川賞や直木賞の受賞でありましょう。作家の一員として、大衆小説の大御所として、広く世間に認知される名誉は、人に認められること好む社会の人にとり、他に変え難きものです。

 一方、名誉より資産を重んじる人は、それらの賞を受賞する経済的な損得にのみ、興味を持たれることでしょう。二つとも、ある出版社が書籍の販売促進も兼ねる手段として企てた賞ですから、狙いが売上増にあるところ、現実的で面白いところです。

 けれど、それらが、私企業の営業策とも知らず、何やら有り難い文学の発展を願う賞に違いない、そう神聖視している方も多いことでしょう。事実関係を知った上で、崇拝するのは本人の自由ですから、受賞記念の書籍を内容も確かめずに購入するのも、また話題にするのも意のままに。

 そこで、旅ガラスもオリジナルな賞を設けようかと思います。勿論、狙いは純粋にブログ読者数の増加であり、販促などではありません。誰も投稿して下さらないかも知れませんが、心の旅路を文字に置き換え、働く仲間の心に送る、ブログ版「呟き」のコメント欄に参加頂いた方の中から、白髪の旅ガラス賞を発表できましたら、願った通りです。

              太陽を 背中に受ける トカゲかな
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by tabigarasu-iso | 2007-07-23 23:07 | 小説 | Comments(0)

雨水溝

 公園の雨水溝には、泥と草とが席を占め、帰り道を求めた雨水が、行く場を失くし溜まりを作る。その中で、非難を始めたミミズの尻に、何やら追いすがる物がいた。膝を曲げ、その正体を追ってみれば、細長い吸血鬼のヒルである。

 逃げるミミズ、何度も尻を振り、何とかヒルを振り払い、雨水の中で島を作る泥山に逃げ延びた。獲物を逃がした吸血鬼、進路を変える様が面白い。首を細く伸ばして菱形の頭を先に送り、その後で細い胴体を引き寄せる。その体長、直線になったところから目測すれば、三寸以上もあるから驚いた。

 姿を土に隠したミミズの上を、何やらガサゴソ蠢く音がする。それは、懐かしいオケラであった。頭の先に爪の付いた大きな脚を突き出し、丸々と太った一寸余りの身体が、それに続く。『ヨッ、御免よ、ヨッ、どちらさんも御免よ』と、そんな声が聞こえそうだ。

 ♪ミミズだって♪ヒルだって♪オケラだって♪
 皆、懸命に生きている。なのに、人は上ばかり見て、仕事に夢中になり、他人の言動に気を病み、己の足元に仲間が居ることを、忘れてはいないか。

どのくらい これぐらいだと オケラ言い
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by tabigarasu-iso | 2007-07-18 23:46 | 随筆 | Comments(0)

旨いがまずい

 東京駅の直近く、大通りから数歩入った路地に、てんぷらが旨いと言う、店内が二坪にも満たない食堂がある。その噂を確かめたくて、食道楽の仲間が席を確保に急ぎ足、暖簾を潜り女店員に尋ねた。

「三人ですが、空いていますか?」
 狭いながらも、何とか席は確保できそうである。ところが、思い掛けない方向に話が進んでしまった。
「女性の方は、今の時間は入れません」
 顔を見合わせた食道楽の仲間は、迷わず店を替える。仲間の一人を見捨て、食欲だけを満たす訳にはいかない。

 女性が入れない場所として、相撲の土俵があるが、食事に入れない場所があるとは聞いたことが無く、拒絶された女性は、別の店で仲間と食事を済ませた後で、腹の立つ店に引き返し、先程の女店員に訳を聞いた。

「女性の方は食事に時間が掛かるので、混み合う時間帯は遠慮して貰うのです」
 これで納得できる訳が無い。飯を喰うのが早いか遅いか、男女の差である筈が無く、それならそうと、食事時間の制限を店先に張り出せば良かろう。

 そこで、こう見えても私は男ですとさりげなく店に入ったら、どんな応対をするのであろうか、次に試みることにしたそうな。それにしても客商売、旨い噂より拙い噂の方が伝わり易く、気を付けなければいけません。

            叱ろうか 隣で駄々を こねる子よ
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by tabigarasu-iso | 2007-07-17 23:04 | 随筆 | Comments(0)

濁流

 新幹線を足止めにする大雨が降る。窓の無い研修室で、セミナー講師に成り切っていれば、雷が鳴ろうが雨が横殴りに降ろうが、受講された方の顔色を読みながら、説明を早めたり遅くしたり、それでも苦渋に満ちた顔があれば、説明の方法を変えることに気を遣い、外が稀な大雨であったことなど、知る術もない。

 修了試験を終えて帰り支度になれば、仕事を終えた安堵感が、世間話を誘引する。
「雨が降って来ない間に帰ります。コロ付きの鞄を引き摺りながら、背広を雨に濡らすカラスは、傍から見れば哀れに映るでしょう」
 研修担当の方は、返事に困った様子を隠せない。
「いやぁ、そうですね。そう、・・・・窓が無い部屋でしたね。実は、先程まで大変な大雨で、この窓が破れそうでした」
 廊下の窓を指しながら、案内の方は甲高い声で笑った。

 帰路の新幹線が次々に横断する小さな川や大きな川には、川幅一杯の濁流が怒ったままである。山間部に降った雨が引かない内に、もう一度大雨になれば、今でも堤防を越しそうな濁流だから、水田を瞬く間に飲み込み、住宅地まで押し寄せ、それを流し去ろうとすることだろう。

 その中で研修が開催されていたら、知らないでは済まなかったに違いない。侵入する濁流で講義は中断し、皆で非難を始めていたことであろう。その際、講義の中で説明した緊急事態の対応が、手順通り実施されることを望みたい。

              濁流に 飲まれて喘ぐ ボトル在り
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by tabigarasu-iso | 2007-07-15 00:18 | セミナーサービス | Comments(0)

協調

 風の力を借りる発電は、地下資源を枯渇することも、大気を汚染することもなく、繰り返し利用できる。つまり、無限、クリーン、再生可能の三拍子が揃った理想的なエネルギー源だが、風が吹けば発電されて、そうでなければ発電されない。

 かように、いかにも気紛れな風力発電だが、水力発電との協調ができれば、その気紛れも解消され、安定した電力の供給源になりうる。結果、風力が期待できる場所にしか設置できないことから開放され、普及の範囲が拡大することであろう。

 しかしながら、水力が期待できない砂漠地帯では、風力発電と太陽光発電との協調が想定されるが、風による埃で太陽光発電に支障が発生し易く、旨い組み合わせとはなるまい。そこでは、どんなクリーンエネルギーとの組み合わせが想定されようか。

 こうして、地下資源を掘り起こし、吸い上げ、燃やすことに終始していた時代から、風力、水力、地熱、潮流などのエネルギーを見直す時代が到来したが、その筆頭に風力があることは間違いない。それも、単独ではなく、複数の仲間との協調が望まれるのは、人の社会と同じことであろう。
 
                梅雨時に 迷い込むなよ 台風め 
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by tabigarasu-iso | 2007-07-14 00:20 | 随筆 | Comments(0)

 入道雲に羊雲それに飛行機雲など、様々な物に姿を変える雲は、見る者の心を休め、いつしか空想の世界へと導いてくれます。中には、はぐれ雲などと言う、一風変わったものもありますが、無限の大空で展開される自由な動きに、拘束されることの多い人の心は、ついぞ惹かれることでありましょう。

 ところで、決して目にしたくない雲もあります。それは水爆や原爆が作り出す破壊のキノコ雲。一瞬にして、戦闘には無関係な人々の命も奪う、無差別大量殺戮爆弾が作る雲は、見る者の心を痛め、その下に地獄の世界を作り出したこと、これは歴史が語る事実です。

 そんな原爆の投下を、笑みを浮かべながら仕方ないと言い放つ、愚かな政治家が存在すること、とても許せるものではありません。誤解されるような意味ではなく、九州の方言だとか弁解していましたが、地元の人は元より、誰も賛同する人が居ないこと、尤もでありましょう。

 雲を見て己の心を遊ばせることは良いことですが、人の心を踏みにじるような発言は、行うべきではありません。様々に形を変える雲のことですから、中にはキノコに似たものも生じましょうが、聞く者に誤解を与えるような表現は、心中に思うところがなければ浮かぶ筈がなく、厳に戒めたいものです。

ストレスの 雲のごとくに 消えにけり
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by tabigarasu-iso | 2007-07-13 00:43 | 随筆 | Comments(0)

 空中を行く当ても無く漂いながら、ゆっくりと降下するのか上昇するのか、極小の水滴は、重力の支配を受けそうで受けないのか。それは、傍に居れば霧と言い、遠く離れたところから見れば、雲と呼ばれる。

時には、標高千メートルを越す高山に行ってみると良い。そこでは、夕方になれば瞬く間に霧が発生し、その中に居る動物を全て獲りこみ、飛ぶことも歩くことも遮ってしまう。その中で、車のヘッドライトにフォッグランプ、全ての照明を点けても、たかが一メートルの先が見えない。

 こうして、濃霧に包まれた山道は、ロマンチックを通り越し、恐怖の空間となろう。車の前を人が歩き、路肩を外れないように誘導しながら、それこそ一歩一歩進むしか無い。そこで一歩間違えば、谷底に転落し霧の彼方へ消えて、その瞬間から天上の人になってしまうだろう。

 そんな霧も、平地で薄く張れば、草花に優しくまとわり付いて、表面の埃を洗い流し、萎れた葉を活き活きとさせる。傘を差した人にも、霧は同じくまとわり付き、身体に溜まった疲れを、その小さな水滴の中に吸い上げ、取り去ってくれるだろう。


霧と雲 違い問われて 汗が出る 
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by tabigarasu-iso | 2007-07-11 10:36 | 随筆 | Comments(0)