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白髪の旅ガラス

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拍手

 コストダウンのためとは言え、落としてはならないものがあります。製品の安全、食べ物の安心、それにサービスの満足。これを忘れて価格競争ばかりに走れば、当面は商売になりましょうが、いずれどこかで歪がでることになり、罪の無い人を苦しめ、環境の汚染に加担し、次のサービスに繋がらないことになります。

 これを避けるのは、経営者の道徳心でありましょう。自分の家族や社員、或いは故郷の山河に、胸を張って提供できる製品やサービスであり続けることを念頭に、組織を運営する考えを持ち、指揮しなければなりません。

 不完全燃焼のガス湯沸かし器やストーブ、発火する電池やテレビ、賞味期限切れの食材、異物混入のお菓子、中には予期できないものもありましょうが、大半は事故の報告を受けながら対応遅れになったり、隠していたり。これは、経営者の考え方の反映であり、それを実現する仕組みの問題でありましょう。

 製品やサービスを生み出す仕組みが、人の道や動植物を考慮した地球の道に反していないか、定めた手順に従い推進されているのか、利害関係の無い第三者に検証させることの重要性が、そこにあります。けれど、組織の内部で、経営者の考え方まで視野に入れた仕組みの健全性を検証するのは、限界がありましょう。

 そこに、第三者の行う審査の価値が生まれます。審査がサービスの品質を忘れ、コスト競争に入れば、検証のレベルが低下することになり、受審する組織の期待を裏切ることになりますから、審査機関はコスト競争から抜け出し、品質競争をアピールするのが本来の姿でありましょう。

 そこで、あるべき審査の姿を意識しながら、コンサルの場を借り、模擬の審査を展開してみます。準備不足で臨んだ部門責任者に推進担当者の方は、輪番の検証に素早く、或いは遅々と応えてくれるのですが、大半が業務のほんの一部を運用するに留まり、日頃の疲れを癒すゲームに近い回答や記録ばかり。

 そんな時に切り込むのが法規制の順守、こればかりはゲームでは済まされませんので、部門責任者の方も真剣になります。
「順守の評価欄に○印がありますが、何をもって○と判断されたのでしょうか」
 まさか、事務局の指導に従ったとは、役職の関係からも言えないようで、問題が無いと判断したからとのこと。
「それでは、現場の確認をされたのでしょうか?」
 そんなことは考えもしなかったと、答える替わりに目の玉を大きく見開いてくれました。法規制はタイトルだけ承知では済まされず、要求の細部を全て理解し、該当する項目の全てに対応することは勿論、今後の変化にも対応できる仕組み、これを評価することですと講師になり代わります。

 こうして、審査員、講師、コンサルの三役を使い分け、二時間の持ち時間を終えて頭を下げました。すると、自然発生の拍手が起こり、再び頭を下げて一言。
「模擬審査とは言え、歯に衣を着せない質問ばかりでしたから、頂戴した拍手、大変嬉しく思いました。これに懲りず、次の機会を宜しく御願いします」
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梅の花 見るより香に 酔いしれて
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by tabigarasu-iso | 2007-01-31 09:59 | コンサルサービス | Comments(0)

カラスの所信表明

 恐れ多くも、最年長の白髪の旅ガラス、小集団ではありますが、その先頭を舞うことになりまして。想えば十年前、一羽から巣作りを始め、三羽の頃は喰うにも困り、隣の仲間三羽と手を組み、何とか生き長らえて十羽の群れとなり、あれよあれよと言う間に、ニ十羽の群にまでなりました。

 旅に出ること俳人の如く、なれど旅先で詠むのは川柳ばかり。それをおまけに、呆れ返る随筆の洪水を、インターネットの片隅を借りて流し続け、これを唯一の生き甲斐にして参りましたが、いよいよ先頭を舞う番となりまして、ついに所信表明を仲間へ伝えることになりました。

 まずカラスの群れの方針から述べますと、地球生命体の一細胞としまして、地球の健全な持続を念頭に、他の細胞の活性化を支援することです。次に組織体制は、一羽が先頭を走るピラミッドから、仲間が円陣を組みながら進むサークルの体制へ。コンサルの鳴き声は、聴衆を魅了する声質第一を目的に、研修の鳴き声は、待ちから責めのノウハウ提供セミナーの鳴き声に、営業の鳴き声は、根性から集客と成約の役割分担を弁えた鳴き声に、そして管理の鳴き声は、機能分散から集約の鳴き声にすることであります。

 これら全て、見える化を合言葉に舞う所存でして。外周の円陣が崩れますと、中に潜む白髪のカラスが強風に煽られますから、くれぐれもさようなことのなき様に御願いしたいものです。無論、乱気流に遭遇すれば、円陣の先頭に舞い立ち、大声で鳴いて導きますから心配は御無用。それでは新陣形で、地球生命体の持続に向け、大いに舞いましょう。

                  陽だまりに 春の手を引く 梅の花
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by tabigarasu-iso | 2007-01-29 22:27 | 随筆 | Comments(0)

自明の目的

 人は、何のために生きるのでしょうか。人により、その目的は様々でしょうが、まずは、生命を維持する衣食住を満たす事は共通でありましょう。その上で、十人十色の夢を描き、その実現に向かってあれこれ考え、あるいは、何も考えずに行動に移ることになりまして。

 人の一生、長くても百年余りですから、次の世代に生命を引き継がなければ、その人の時代は終わりに。引継ぎをするのもしないのも、その人の自由ではありますが、人類の絶えることを望むものは、極少数派でありましょう。

 自分の時代で終わることを望む人も、終り近くになり自由に身動きできない情況になれば、他の人に面倒を看て貰うことになります。それを避け、自ら命を絶つのも、その人の自由ですが、その後は、やはり他人の手を煩わすことになりましょう。

 人は相互に助け合って生きる動物ですが、他の動物や植物それに資源に対しては、助けて助けられる精神を忘れた結果、温暖化、資源の枯渇、水質の汚染といった、自然からの警告を受け、これを無視し続ければ、海流の停止といった致命的な反撃も予測されています。

 地球を大きな生命体とみなせば、その中の小さな細胞が、人であるに過ぎません。それが今、地球の体調を崩すまでの原因を生み出しているのですから、人は何を目的に生きたら良いのか、人が集団で活動する組織は、何を目的の筆頭に置くか、もはや自明のことではないでしょうか。
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              生ぬるい ビル風受けて 春を待ち
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by tabigarasu-iso | 2007-01-27 16:47 | 随筆 | Comments(0)

素晴らしい内部監査

 組織の内部で仕事仲間が行う内部監査と言うものは、役職の上下が気になり、日頃の親しさが邪魔し、言いたいことを控え、見たものも見ない振り、指摘する事が一つも無いなんてことが、珍しくありません。それで物事が丸く納まっている間は良いのですが、品質不良が多発したり、不正経理で経営を危うくしたり、法律違反が露見し新聞報道になり、罪の無い人を死に追いやったり、見逃せない事態にまで発展しますと、馴れ合い監査では許されなくなります。

「当社のマニュアルでは、部門で順守評価を行い、その結果を受け、環境管理責任者が四半期毎に、全体の順守の仕組みを評価することになっています。ところで、午前中の監査で、部門の順守評価がなされてないことを発見しましたが、環境管理責任者の順守評価記録では、全ての部門で問題なく順守の仕組みが機能しているとあります。これは、どうしたことでしょうか?」

 大きな猫が小さなネズミに追い詰められている場面、いつ反撃されても良い状況ですが、監査員は怖気付くこともなく、この時とばかり追撃の手を止めようとしません。傍で立ち会う側が、大いに神経を使います。

「実に的を射た指摘ですね。実に素晴らしい監査です。既に事実関係は明確になりましたから、どこを改善されたら良いのか、後ほど、監査員の方からコメントを頂きましょう」
流れを変えてあげれば、環境管理責任者の顔にも安堵の色が現れ、なんとかコンサルの出番を終えました。

蓑虫も 寒風揺れる 小枝かな     
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by tabigarasu-iso | 2007-01-23 00:36 | コンサルサービス | Comments(0)

その道の神

 地震列島日本に生まれ、子供の頃から大地の揺れに慣れてはいるが、十二年前に大揺れした阪神・淡路の震災は、とりわけ鮮明な記憶として脳裏に焼き付いている。被災されて家族や財産を失くされた方が、想像し難い絶望の淵から抜け出し、復興に向け懸命に努力されたことを思えば、目の前にある仕事上の問題など些細なことばかりではなかろうか。

 とは言え、些細なことでも、時として大きな問題に発展するから気が抜けない。昨今の報道から知るように、日頃の我慢が積もり積もって爆発した挙句に肉親を殺傷し、衛生面で廃棄しなくてはいけない材料を、コストダウンの手段と称して製品に利用し、企業の存在が問われるまで問題が大きくなったりする。

 かように、事の発端は些細なことだが、結果の重大性を忘れると、取り返しのつかない
事態が起こってしまう。そこでは、気を付けなくてはならない事、無視しても差し支えの無い事、両者を選択する際の基準を明確にすることが必要だが、全ての事例に対処できる具体的な基準など想定できないし、仮にあったら窮屈で仕方がなかろう。

 そこで登場するのが、自分だけの道ではなく、人、動物それに植物との共存を考えた道である。この道を歩めば、目の前の事象が些細なことか否か判断に迷う時、そのまま進みなさい、今直ぐ戻りなさい、迷わず迂回しなさい、あるいは立ち止まり良く考えなさいと『その道の神』が教えてくれることであろう。

知るは良し 判断忘れて するはなし
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by tabigarasu-iso | 2007-01-20 20:42 | 問題解決 | Comments(0)

三度目の正直ですね

 久し振りに実家に帰ると、女親は息子に栄養を摂って貰いたくて、出前のうなぎを注文してくれた。翌日、仕事先の昼食で、お客さんが自分の願いも込め、又もや出前のうなぎを取り寄せて下さる。

 続け様、好物に巡りあえるのも、不思議なもの。そんなことを考えながらテレビを観ていると、ラーメンの味比べ番組が面白可笑しく、最初の頃は試食者も実に旨そうな顔付きであったが、何食目からは演技と判る顔付きに変わった。

 同じ日の夕方、上司が打ち合わせと称し、うなぎやで待っている。テレビの試食者と同じ表情が自分にも現れているのではないかと恐れ、いつもより早いピッチで熱燗を煽った。冷えた身体の隅々に、アルコールが駆巡るのが判り、ようやく上司の顔を見ながら話せるようになる。

「今日の昼飯、麺類で軽く済ませたものだから、腹が減ってね。君は?」
 顔は既に赤く色を変えているから、同じですとも言えたが、正面突破を決意した。
「実は、続けて三度目です」
 正直に答えた後の『ひつまぶし』は、久し振りの味がする。
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                長眉毛 親父譲りと 気付く頃
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by tabigarasu-iso | 2007-01-16 22:30 | 随筆 | Comments(0)

百年続きますように

 樹齢の百年以上は珍しくありませんが、企業の存続が百年以上になれば、珍しい存在と言えましょう。創立者が工夫して五十年続いた企業が、苦労知らずの二代目の贅沢三昧で、六十年目を迎えることなく、派手にマスコミの注目を集めた企業が、粉飾決済の法律違反で瞬く間に消滅する昨今ですから。

 樹木の永遠とも思える生命力に比べましたら、人の営む企業など儚いものです。とは言え、創立十周年を迎えた企業が、大樹を真似て百年続く組織を目指すのは自由でしょう。
「おや、大きく出ましたね。で、その段取りは?」
「なにも、そう急く事はありません。十一年目から、皆で考えれば良いのです」
「また、のんきなことを!」
「いや、そうでもありません。これから九十年後に存在する企業のシナリオを作成するのですから、想像力は四六時中休み無しの態勢です」
「ごもっとも!」

 企業の存亡は、トップの人柄と取り巻く参謀の力量が要です。前向きな明るい性格のトップを取り巻き、参謀が自然との調和を考えたシナリオを作成するなら、百年以上の存続も可能になるでしょう。けれども、そのシナリオがその場凌ぎであれば、企業の存続もその場限りとなるのも仕方ありません。

「なるほど、旨いこと言いなさる。百年先は何とか見えたような気に。ところで、これから三ヵ年のシナリオは?」
「九十年後のシナリオ作成が可能な人材育成では如何でしょうか」
「納得する他ないようで!」
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山は雪 頭白髪の 似合う頃
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by tabigarasu-iso | 2007-01-13 23:59 | 問題解決 | Comments(0)

ふいに吹かれて

 祝い酒が続き弱った胃を労わる七草粥ですが、草の種類を全て言える人は少ないことでしょう。セリ、ナズナ、ハハコグサ、ハコベ、ホトケノザ、スズナそれにスズシロと辞書を横目に、漸く並べることが出来ましたが、それがどんな代物か想い描けたのは、セリ、ナズナとハコベくらいのものです。

 田舎育ちの人間でもこの有様ですから、良く調べもしないうちに、自然から離れて暮らすことの多い若い人を前にしても、物知り顔に尋ねる訳にもいきません。そこで、カブの若い葉がスズナ、ダイコンのそれがスズシロまで調べがついたものの、残る二種はどうにも判らない。従い、責任持てる範囲で尋ねるなら、春の五草を御存知かになりましょう。

 運が良ければ、身近な野原で、その幾つかと出会えますが、突風の吹き荒れる時には、油断なりません。言葉の数が少ない友と春の五草を探し、土手の端を歩いている時のことです。急変する風向きに注意しなさいと、友に声を掛けようとしましたが、その姿が突然見えなくなりました。

 横風で、土手の下に追い落とされながら歩み続ける友の顔は、年老いて白髪が増えた所為か、平然としながらも、狐に騙された道化師に似ています。すぐ脇には、悪臭の漂うドブ川があり、もう少し勢い良く飛ばされていれば、その中に落ちていたかもしれません。その片隅には、汚水を恐れない天然のセリが葉の色艶も良く、人に摘まれる恐れも無くて、豊かに群れておりました。
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                突風に 負けず花咲く 水仙め
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by tabigarasu-iso | 2007-01-08 20:42 | 随筆 | Comments(0)

山師

 家の周囲に巨木のある風景は、自然と人間の仲の良い関係が、何代も継続した証であり、小さな庭に犬も遠慮しながら遊ぶ住宅街にあっては、近隣住民の貴重な遺産でもある。けれども、枝の手入れや伐採するとなれば、大き過ぎるから素人が簡単には手を出せない。

 その時に登場するのが空師と呼ばれ、天に近い梢の上で命綱を巨木の幹に回すと手を自由にし、地下足袋の踝には鉄の爪を付け、それを木肌に差し込み足元を固定してから、腰に振ら下げたチェンソーを手繰り寄せ、エンジンを始動させると器用に操り、高所で枝払いや伐採を行い、処理した代物をロープやワイヤーそれにクレーンを使い地上に下す。

 空師の弟子が、枯れた枝と知らずワイヤーを掛けて下し始めた途端、その大きな枝がバッサリ落ちる。偶然のひやりであったが、その直後に空師の親方は、ワイヤーの安全な掛け方を弟子に指導した。枝に同じ物はないから、これからも起こりうる危険な状況に備え、当然の始末と言えよう。

 巨大な樹木と家屋の接近があるかぎり、梢で命を張る空師の出番は増える。大切な仲間の身支度を整え、芯が朽ちて倒壊の危険性がある高齢樹の引退を手伝う、そんな空師の活躍も見逃せないが、再生可能な森林資源を守る林業従事者、それを敢えて山師と呼ぶなら、山師が暮らせる世の中に移行することが本命であり、急務と言えよう。
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               枯葉除け 銀杏拾う 翁あり
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by tabigarasu-iso | 2007-01-06 21:39 | 随筆 | Comments(0)

むつき

 年の初めを祝い、仕事を休み、きれいな物を見て、美味しい物を食べ、面白い話を聞き、皆でゆっくり楽しむ、かようにして正月は家族や親戚が集まり、仲睦まじく過ごす月ですから、睦月と言われるのでしょうか。

 その真意はさて置き、皆で仕事を休む睦月は、大変良き習慣です。中には、睦月であっても仕事を休めない職場もあり、皆が一斉に休むことにはなりませんが、「おめでとう」だけは、皆が揃って口にしますから、実にめでたい年の初め。

 それで、朝から祝い続けて三日目、どこからどこまでが今日で、いつから明日か判らない、祝い酒に明け暮れて酔いの醒める間もない。それでも時折、夢見心地の脳内に仕事上の課題が入り込んでくるから、不思議なものです。

 そこで、祝いにけじめをつける仕事始めとなりますが、その大半は儀式で終わり、仕事仲間の親交を深める場となりましょう。こうして、睦月の四日目も祝いが続き、一週間目の七草粥で初めて目が醒め、文字通り正気の月、正月になるのかも知れません。


               書初めに 酔いを醒まして 洒落捻り
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by tabigarasu-iso | 2007-01-04 11:11 | 随筆 | Comments(0)