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白髪の旅ガラス

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晴れの国

 宇宙の彼方まで透けて見える空は、いつ見ても気持が良いものだが、その中でも秋の深まる頃が良い。鮮やかな赤や黄色の紅葉を、いつまでも見続けるほど、人間の神経は太くないから、気休めに天を仰げば遮るものも無く、ふと気を緩めれば無限の彼方に吸い込まれて行きそうである。

 秋晴れに限らず、年中晴れの国を御存知か。日本は狭いと言いながら、火の国、彩の国、晴れの国と、不思議な国が沢山ある。確か、晴れの国を初めて訪れた時は、大変な猛暑であったから、汗を垂らしながら謂れを納得したものだ。

ところで、晴れの国の秋晴れは、如何なものであろう。このところ何度も訪れているものの、快晴に迎えられたことがないから、その晴れ振りを目にしたいものである。もしかしたら、晴れの国の真上には、これまで見えなかった不思議な世界が見えるかもしれない。

 腰に着けたキビダンゴが欲しくて、猿、雉、犬が桃太郎の家来になった昔話、その発祥の地が晴れの国である。秋晴れの彼方を眺める機会に恵まれたら、じっと目を凝らして見るが良い。三匹の家来を従えた桃太郎が、勇ましく鬼退治に向かう姿が見える筈である。

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焼肉の 炭火に手当て 暖を取り
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by tabigarasu-iso | 2006-11-27 16:12 | 随筆 | Comments(0)

見送り

 土日の休みを割いて、わざわざ昔の仲間の旅行を見送ってくれる、そんな心温まる人が居る限り、この国も捨てたものではありません。話は、鬼怒川温泉での全体会議と言う名の旅行に、見送りの花を添えて貰った時のことです。

 行きは春日部駅を過ぎた線路際でプラカードを掲げ、帰りは春日部駅のホームで電車の窓越しに手を振り、かつての仲間が乗った列車を見送る、そんなユニークな若者がいました。行きは離れて表情が判らなかったものの、帰りの窓越しには、一緒に仕事をした時と変わらない、無邪気な童顔が笑っています。

 仲間の誰かと連絡を密にしていたのでしょう。通過時刻の一瞬を捉え、見事なパフォーマンスを見せてくれる、実にサービス業に向いた性格です。こうした方には、チャンスがあれば、もう一度仕事仲間に加わって貰いたいもの。

 それには、熟練者と若者が互いの良い点を補い合う組織に、成長しなくてはいけません。皆の顔が見え、業績の良い時も悪い時にも、それなりの成果を分かち合い、喜怒哀楽を共有できるコンサル有機体になれば、こうした若者だけでなく、コンサル利用者の関心も引くことになりましょう。

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             散り際に 一花咲かせる モミジかな
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by tabigarasu-iso | 2006-11-27 15:52 | 随筆 | Comments(0)

秋の雨

 放って置いてもやがて散る枯葉の先を急がせる秋の雨は、頭を垂れる稲穂も濡らす。それが月曜であれば、仕事に出掛ける人の気持を暗くし、しばらくそれを待ち望んでいた庭木には生気を与える。

 実りの秋に降る雨は、子供達の運動会を延期し、紅葉の観光客を失望させ、刈り入れ前の農家に気を揉ませるから、総合評価は高くない。それに、散歩の時間を短くし、身体も冷やすから、相棒にも好かれないようである。

 けれども、燃え易いものが多くなる、乾燥した時期の雨は、火の用心には役に立つ。更に、葉の落ちた後で出番を待つ新芽を育み、落ち葉に人生を重ねた人がそれを発見すれば、人生の悲哀を生きる勇気に変える機会を、秋の雨は教えてくれる筈だが。

 悲しみに暮れる眼は、敢えて葉の落ちる姿ばかり追い求め、その先に展開される世界を見ようとしないから、葉の落ちた付け根に焦点を合わせることなど稀であり、落ち葉が新芽に命をつないで散ることなど、眼中に無いのが残念である。

               枯葉打つ 雨を恨むな ガマガエル
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by tabigarasu-iso | 2006-11-25 12:19 | 随筆 | Comments(0)

灸を要す

 男が新幹線のデッキで弁当空をゴミ箱に押し込んでいると、顔を大きなマスクで被った人が尋ねた。
「すいません。ライターを貸して貰えませんか?」
 煙草を吸う習慣は男になかったが、営業用のライターをポケットから取り出し、その人に渡すとマッチ棒の長いようなものに点火する。
「それは何ですか?」
 男の質問に答えるように、線香の臭いが漂い始めた。電車のデッキで線香を焚くのも妙だから、その訳を尋ねずにはいられない。
「花粉症が始まりましてね」
 マスクの訳は理解できたが、線香との関係が不明である。
「それをどうされるのですか?」
 その人は、手にした小袋からモグサをひとつまみ取り出し、コメカミに載せる真似をした。どうやら、灸を据えるらしい。
「そんな場所に?」
 それから先は治療の現場になるだろうから、男は男性用のトイレに入った。用を足し、隣の洗面所に男が入ろうとすると、コメカミに灸を据えたその人が占拠している。
「やってますね」
 顔を上に向けたまま、その人は目で笑い返した。果たして、花粉症に灸は効くのであろうか。それにしても、かような場所でも治療が必要な花粉症とは、あなどれないものである。

               背もたれに 月が出たよな 頭置き
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by tabigarasu-iso | 2006-11-21 21:55 | 随筆 | Comments(0)

審査も色々

 当然のことながら、ISOの審査員も人間ですから、十人十色の審査方法があります。とは言え、その大枠は定めてありますから、大きく外れることはない筈ですが、その枠から飛び出しそうな大物の審査員が存在しても良いでしょう。

「いいですか、部門長さん。私は、社長に面談し、許可を頂き、発言しています。ずばり申し上げると、貴方は自分の役割を理解していない。目標の設定からして、社長の定めた方針を実現するには程遠く、その目標を達成する施策としても、効果が期待できません。それなのに貴方は、それを数年も続けて疑わない。勿論、こうした状況を見逃してきた社長自身、それにまた、これまでの審査にも問題がある。審査側の問題は、過去の担当者を始め、関係する審査員の再教育をしますが、貴方にも認識を改めて貰うことが必要ですね」

 かように、ずばり物言う審査員に遭遇した或る日、コンサル責任を承知しながら、清々しい風が胸の中を吹き抜けるのが判りました。いつもなら、審査員に指摘された課題は、コンサルの指導責任ですから、立会いの席で下を向き、何度となく胃が痛む筈なのに、そうでもないのが何とも不思議です。

 審査を受けた方の評価は、どうであったでしょうか。
「いや、厳しかったです。午前中は順調にいきましたが、午後は急に厳しくなり、どうなるかと思いました。それにしても、これまでの審査員とは、全く違うタイプですね。けれど、指摘された内容は、もっともなことばかりです」
 明るく反省するその顔が、その答えでありましょう。

立会って 学ぶことある 審査あり
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by tabigarasu-iso | 2006-11-17 12:49 | ISOマネジメント | Comments(0)

 これまで何度乾杯の音頭を執らせて頂いたことでしょう。幾ら経験しても有り難いことですが、自ら好きな酒を手に持ちながら飲めない歯痒さに耐え、同じ様な気持の方々を気の毒に思い、祝辞を充分述べたいところを切り詰めるあまり、脈絡のない話がどうしても多くなります。

 そればかりか、待合室に用意された祝い酒を遠慮なく頂き、乾杯の挨拶をする頃にはできあがり、新婦の名前をすっかり忘れ、壇上の本人に聞いてから口にする、顔の赤くなるような場面もありましたから、再発には充分気を付けたいものですが、分かりません。

 何はともあれ、乾杯前の挨拶は、短いに限ります。長い祝辞に皆が飽きた頃ですから、短いほど評価は高いと承知していても、これまではどうしても一言以上になりましたが、今回は最短の一言に気持を込めようと決心しました。

「私、新郎の上司です。そもそも、二人の仲を知らずに、邪魔をしたのが、新婦との出会いでして、・・・」
 と、話が長くなりそうになりましたら、お願いしたいものです。
「約束違いになりますよ!」
 どなたか斯様に声を掛けてくだされば、おめでとうの一言で切り上げ、乾杯に入りましょう。

                夏過ぎて 寄り添う二人に 飽きはない 
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by tabigarasu-iso | 2006-11-16 01:01 | 随筆 | Comments(0)

小さな秋刀魚

 焼いた秋刀魚に、大根オロシと醤油をたっぷり掛け、炊き立ての御飯に載せて、大口を開けて喰う。これに勝るものはないと思うのだが、この秋の秋刀魚はやけに小さく、一匹では御飯が余る。居酒屋で頼めば、それではとばかり、二匹並んで登場し、夕飯セットは丁度良い。

 不思議なことは、物知り仲間に聞くことにする。
「値段を出せば、大きな秋刀魚が喰えますか」
 昼飯の仲間は、待っていましたとばかり手を打って。
「今年の秋刀魚は、皆、小さいそうです。回遊中の餌が不充分で、大きくなれなかったそうで」

 これは、大変なことである。大好物の秋刀魚が、メザシになったのではたまらない。来年は期待できるであろうか。それとも、更に小さくなるのか、腹の満ちた後ながら、俄かに心細くなった。

 食物の連鎖は、崩れてはいけない。人だけでどうにかなるものではないから、何とか秋刀魚には元のサイズに戻って欲しいもの。それには、自分で何かできることはないものか。良く考えるには、もう一度、秋刀魚を頬張ってからにする。
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猫もまた 秋刀魚を食べて 秋を知り
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by tabigarasu-iso | 2006-11-14 21:47 | 随筆 | Comments(0)

旬の味

 一束百円のカブを、近所の農家で買い求め、輪切りにしてから塩で揉み、三分程待って口にする。水分をたっぷり含みながら歯応えのある、控え目な甘味が喉元過ぎるのを楽しみながら、箸を休める間もなく胃袋に流し落とした。

 昨今、キュウリにトマト、ナスにニンジン、レタスに白菜、これらが店先から消えることはないから、その旬がいつだか判らなくなって久しい。その昔、季節と共に野菜や果物が入れ替わり、その時期に獲れるものを食べるのが当り前であったから、その味を記憶している人にとり、季節外れのものは珍しいだけのもの。

 こうした野菜作りは、太陽のエネルギーを利用できないから、ビニールハウスで石油を焚いて水を与え、季節を錯覚させる手間暇を、沢山掛けなくてはならない。その結果、赤味はあるが甘味の無いトマト、青いだけで香りの無いキュウリとなるのは、やはり何かが不足しているのであろう。

 石油資源の枯渇が間違いなく迫る中、旬の味を旬に求める、食生活に戻れないだろうか。春は山菜に昨年の漬物、夏はキュウリにトマトとキャベツ、秋はジャガイモにカボチャとカブ、冬は秋の野菜を保存したものを楽しむ、そんな生活に戻るのは不可能なことであろうか。


カブにイモ キャベツ千切り コオロギに
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by tabigarasu-iso | 2006-11-13 18:27 | ニュース | Comments(0)

言葉は怖い

 言葉は、人と人、人と動物との意志を伝達する素晴らしい手段です。けれども、送る側と受ける側の情報が一致しなければ、思うように伝わらない歯痒さもあり、それを補うのが、顔の表情や手足の動きですが、相手が見えない場合にはどうしましょう。

 昨今、携帯電話やパソコンで送る電子メールは、誰もが容易に素早く意志を伝える手段として、爆発的な広がりを見せています。ところが、言葉だけで、送り手の意志が受け手に全て伝わると信じて疑わない送り手の過信は、便利さに比例したトラブルも覚悟しなくてはなりません。

 どんなに言葉や動作に注意しても、意志の疎通は容易ではありませんが、相手を不愉快にすることは避けたいものです。例えば、メールの冒頭に使う『御苦労様でした』は、誰もが気軽に使う言葉ですが、年下の方が年上の方に使うのは、如何でしょう。また、『明日までに回答のこと』と言った、裁判所からの通達のような言葉もあり、こうした言葉を使われますと、要件は理解できても、すすんで回答はしたくないものです。

 相手に気を遣う余り、謙り過ぎ、何を伝えたいのか、最後まで判らないのも困りもの。
『この度の御連絡、誠に有難う御座います。本来ならば、弊社から出向いて御意向を伺うべきところ、御多忙の中、弊社の提案書および見積書を御検討くださり、そのうえ御丁寧な御返事を頂戴し、大変恐縮して居ります。さて、御返事では、御予算面で難しいとのことですが、弊社としましては、他社には無いサービスを盛り込み、経験豊富なコンサルが、貴社の御意向を踏まえた支援を・・・』と続き、肝心な要件は、いつ登場するのでしょう。

              甘いカブ 泥除け齧る 今もあり  
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by tabigarasu-iso | 2006-11-10 00:57 | 随筆 | Comments(0)

ようきなさった

 旅先で耳にし、目にするだけでも、心を打つ言葉があります。
「ようきなさった」
 熊本空港の出口に掲げられた、乗客を迎える七つの文字は、いつまでも頭の芯から消えません。

 会うは別れの始まりと言いますから、温かく迎えて貰ったコンサルも、いずれ別れの時がきます。その時、どんな言葉を選ぶでしょうか。
「ありがとうございました。また、お会いしましょう。それまで、お元気で!」
 選ばないことに決めているのは、さようならの五文字です。

 ところで、息を切らして到着したのに、何も言われない場面に出くわしたら、どうしましょう。
「失礼します。心の安らぎを与えるコンサルですが。こちらの社長さんから、お招き頂きまして」
 受付けの方は、こちらを向こうともしません。
「・・・・・」

 これは、かなり重症の組織です。病だと思えば、無言で迎えられたことも、辛くはないでしょうが、「いらっしゃい」さもなければ「ようきなさった」の何れか、愛想笑いもおまけに付けて、口にして貰いたいものですね。

黄昏を 独り占めるか コウモリよ 
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by tabigarasu-iso | 2006-11-05 18:00 | コンサルサービス | Comments(0)