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白髪の旅ガラス

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どうすりゃあえぇ

 雨の降る日に傘がなければ、どうすりゃあえぇ。誰かの傘に入れて貰えば、そりゃ有り難い。誰も傘を持っていなければ、雨が止むまで、皆が軒下で待ちを決め込む。無理して濡れて行くのも良いけれども、行く先に囲炉裏がなければ、身体に悪い。

 それでも、どうしても行かなきゃならない雨の日もある。そこに、柴の燃える囲炉裏は無くて、傘も無いときたら、どうすりゃあえぇ。そこで使うが人の頭、惜しまず使えば何とかなるもの。目先の事象に惑わされず、事の本質を見抜けば、あとは施策、その時期、その人に拠る。

 更に大事なのは、行動力。我等コンサル稼業では、コンサル力がそれであり、製造業では、開発力、生産力それに営業力の調和が大事なのは周知のこと。販売業では、市場ニーズを見極める分析力であろうか。いや、何処の業でも、肝心なのは、創造力かも知れないね。

「数多く、見積は出しているのですが、大半が価格面で負け戦に」
「なら、価格競争の輪から抜ければ宜しい」
「そう簡単に言わないで、何かヒントを下さいな」
「一から十まで、人に頼り過ぎはいけない」
「おっしゃることは尤もですが、一だけではなく、せめて二まで」
「それがいけない。自分の考えをまとめてから、人の意見を聞くが宜しい」
「考えをまとめるには、どうすりゃあえぇ」
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 誰言うか やってみなはれ 意のままに
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by tabigarasu-iso | 2006-10-31 21:14 | 随筆 | Comments(0)

 審査を終えた帰り道、富山駅から越後湯沢まで、特急ハクタカのデッキで二時間半の旅になる。富山、黒部、糸魚川、直江津、十日町、それに六日町、通勤ラッシュに似た混雑を、ほくほく線で味わうことになろうとは、想像していなかった。

 どうせ空席ばかりであろうと、土産に弁当それにビールを袋に詰め込み、指定のホームに行ってみれば、自由席の掲示板の前は、予想外の人の列。それでも、満席になることはなかろうと乗り込めば、開いた席はわずかですぐに埋まった。

 デッキも人と荷物で埋まり、立つ場所を確保するのも難しい。お陰で、夜景を見ながら、足腰を鍛える良い機会になった。とは言え、予約席が当り前の旅の移動、その素晴らしい制度を利用しなかった愚を、一時間余り経ったところで、鳴き始めた膝頭が訴え始める。

 けれども、車内の席は、空く気配を一向に見せない。このままでは、冷えたビールが温くなってしまう。そこで、立ち飲み、立ち食い決行となり、僅かな隙間を見付け、蓋の開いたビールを置き、かに寿司を頬張れば、隣の方の熱い視線を、箸の先に受けることになった。

 ようやく、熊谷駅で高崎線に乗り換え、在来線で上野に向かえば、鴻巣駅で電車が停まり、先の大宮駅でポイント故障、暫らく電車は動かないとのアナウンス。往路はスムーズに進み、復路で難渋する審査の旅、「行きは良い良い帰りは怖い」と唄う、子守唄を想い出さずにいられない。

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ほくほくの 秋を知らせる 白海老よ 
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by tabigarasu-iso | 2006-10-29 21:19 | 随筆 | Comments(0)

ほくほく線

 上越線の越後湯沢駅を降り、ほくほく線の富山駅に向かう。車内で読む文庫本「地下鉄に乗って」に夢中になり、車窓を眺めることが出来ない。車内アナウンスは、十日町、長岡、魚津を通過したことを教えてくれたが、何も見ずに富山駅に着いた。

 初めて訪れた駅前には、路面電車の線路が見える。都内、広島、熊本にも、路面電車はあるが、どことなく雰囲気が違う。それは、行き交う車と人の数が違う所為であろう。それに、街の明かりが目に優しいこともある。

 いつもながらの一人旅、富山の味を求めて、路面電車の見える居酒屋に繰り出した。看板に「おふくろの味」とあったのが決めての店内には、旅ガラスの他に客は無く、いささか不安を覚えたものの、カウンターに並んだ惣菜を見て一安心。ジャガイモと茄子の煮付けが皿に載り、店の隅に積まれた座布団には、子犬が寝息を立てている。

 初めて訪れたことを告げれば、地元の酒に手作りの煮付け物を皿に盛り、白海老の唐揚げを並べ、その味を聞きたそうな顔を見せた。世辞は抜きに、白海老は甘くて実に旨い。そう告げれば、小太りの女将は顔を崩す。それにしても、黒部峡と言う地酒は、とろりと舌に広がり、酔いそうである。

 チビリチビリ、追加注文の刺身をつまみ、酔いを抑えて飲む間に、二人連れの客が暖簾を潜った。聞くともなしに、二人の会話に耳を傾ければ、どうやら隣の街に住む人らしい。ペットの話題が出たところで、声を掛けた。
「どちらからですか」
 そこから話は、とんとん拍子。コンサルであることを告げれば、興味あり、地元で再会しようと話は進む。かようにして、酒の肴が旨い富山の夜は、ほくほくと更ける。

                 倒れても 花は散らさぬ 秋桜
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by tabigarasu-iso | 2006-10-26 18:09 | 随筆 | Comments(0)

むく鳥

 早朝、雨音に一瞬たじろぐ相棒の尻を押し、いつもの散歩に出掛けた時のことです。頭上から降り注ぐ、騒々しい鳥の鳴き声に驚き、傘をどけて空を見上げました。辺りの電線という電線を、大群のむく鳥が占拠し、互いの間隔を規則正しく推し測り、雨に濡れているのです。

 鳥を題にした恐怖映画で観たような光景に魅せられ、先を急ぐ無関心な相棒に、少し待ってくれと声を掛け、やかましい声に耳を傾けてみました。
「どうするね、諸君。雨が止むまで、こうしていても仕方がなかろう。何処かの梢に避難しようじゃないか」
「いやいや、数羽ならともかく、かような集団だ。皆の動きを一致させ、彼の地に渡るには、ここで待つのが良かろう。明るくなり、雨足も弱くなって、視界も良くなりつつあるから、もう少し待て」
 
 耳の遠くなった相棒も、渡り鳥の会議を、幾らか理解したようです。雨で消えた自分の縄張りマークを探すのを止め、会議場に顔を向けると、フンと鼻で息をしました。その音が引き金になったのではないでしょうが、むく鳥の大群は、一斉に舞い上がり、誰が先頭か判らない、手で描く円になり、その形を上空で素早く変化させながら、予め定めた方向に舞って行くのです。

 後に取り残される仲間は、一羽たりともいません。崩れそうな楕円を、誰とも無く繕いながら、本能に刷り込まれた地図に導かれ、大群が幸福に暮らせる、彼の地を目指すのでしょうか。それにしても、これを率いるむく鳥のリーダーは、自ら舞いながら指示をするのですから、他の鳥にはない体力、能力それに愛情があるのでしょう。

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                草むらの 夜露に濡れて 秋の夜に
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by tabigarasu-iso | 2006-10-25 21:02 | 随筆 | Comments(0)

海流

 海は広くて大きいが、何処にでも、魚が群れて棲むとは、限らない。餌になる小魚やプランクトンが居なければ、そこはただの青い海。こうした、食物連鎖の始まりは、植物性のプランクトン。それが繁殖する条件は、チッソ、リン、カリと太陽の光は農作物と同じこと。

 海の上、それらが揃う場所は少ない。そこで、海流の力を借り、海の底に沈むそれらが、浮上する所に食物連鎖が始まる。その海流、季節風と地球の自転によると言う。これが沿岸部分の海面を押し下げ、海底の冷たい海流が、その埋め合わせに昇るらしい。この時、プランクトンを育てる養分を、海の底から掻き揚げる。そこにはプランクトンが発生し、小魚から大きな鯨まで、それに人間の胃袋まで満たす。

 ところが、この先がいけない。人間は、連鎖を断つ有害な汚染物質を海に返し、自然には分解しない廃棄物も放り込む。それに加え、地中に眠っていた化石資源を、大気中で燃やし過ぎ、自然界のバランスを崩し、地球温暖化を推し進め、陸上に席を占める大量の氷河を溶解させ、海面上昇のみならず、海流すら止める暴挙に出ようとしている。そうなったら、もはやプランクトンの繁殖は止まり、それ以降の連鎖も切れてしまう。

 そうなる前に、人間は何をしたら良いのか、その答えは既に承知している。あとは、行動に移るだけになった。節電に節水など、役に立つ節は、明日を待たない。

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                 舗装道 刈る草探す カマキリに
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by tabigarasu-iso | 2006-10-19 00:43 | 随筆 | Comments(0)

夢が欲しい

 夢は、睡眠中にもつ非現実的な錯覚または幻覚と、その説明が広辞苑にあります。良く夢のある未来とか夢のある仕事とか耳にしますが、これを辞書の通り直訳するといけません。十年後に想定される生活は錯覚で、仕事の先々が幻覚であっては、誰も左様な夢など見たくなくなるでしょう。

 ここでは夢を、生活や仕事の理想を実現する、方針と言い換えた方が良いようです。生活は、個人により様々な方針が有り得ますが、仕事はそうであっては具合が悪い。仕事の方針は、五年後、十年後、どの道を組織が進むのか、組織のリーダーが明確にする羅針盤ですから。

 勿論、その方針を策定する際、メンバーの理想を吸い上げることを忘れていけません。しかし、理想と言う言葉は一つながら、その内容はメンバーの数だけありますから、とても集約は難しい作業でしょう。

 その時、リーダーは、異なる理想を認めながらも、自分の理想を貫く信念が必要です。同時に、それを誰もが判る言葉で伝えることが、重要になるでしょう。男は黙ってビールを飲んでいれば良い時もありますが、夢が欲しいメンバーを相手に、リーダーは組織の夢を語りながらビールを飲む、これも大切な役割のようです。
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秋の陽に 顔を赤らめ 道飾り 
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by tabigarasu-iso | 2006-10-16 00:09 | コンサルサービス | Comments(0)

軍隊アリ

 歯医者の待合室に置かれた雑誌は、予約時間が来れば閉じられてしまう、その場つなぎの悲しい役割です。治療を終えて、支払いを済ませ、次回の予約をすれば、再び雑誌の続きを読む人など、滅多に居ないでしょう。

 そこで、予約時間までの短時間、神経を集中させて、写真付きの特集を読み切るようにしています。ある地域に定住するライオンの生態や、台風の発生原因を探る読み応えのある記事、それに見応えのある写真を見詰めていると、自分の名前が呼ばれても耳に入りません。

 軍隊アリとは、どこの国のアリでしょうか。カラー写真で大きく引き伸ばされた頭の先には、クワ型虫に似た大きなアゴを付け、目は持たずに嗅覚だけで獲物を追う。それも大変な数の仲間で、大きな動物に対しても、ひるむことがない戦いをするとあります。

 その後には、餌を運び、子を育てる、これまた沢山の働きアリが居て、一匹の女王アリを守るのは、ミツバチの世界に良く似ていますが、戦い専門の軍隊アリを持つところが、昆虫らしくありません。ひょっとしたら、人は軍隊アリを真似たのでしょうか。

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                陽射し浴び いずれどなたも 赤とんぼ
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by tabigarasu-iso | 2006-10-09 22:54 | 随筆 | Comments(0)

真昼の移動

 その日の仕事を終え、翌日の仕事に備えて、新幹線や飛行機に乗り、夕方移動の仲間は多いことでしょう。夕食は車内で駅弁、晩酌は缶ビールで一人酒、外は暗く見るものもなく、仕方がないから、雑誌を読んだり仕事をしたり、いつしか酔いが回り夢の中。

 仕事現場が日本各地の我等コンサルも、大半が夜の移動となりまして、その地に名所、名物など沢山ありますが、どれにも毎度縁がなく、駅弁に車内やホテルの室内だけを見る野暮な旅。

 これでは、大変もったいない。いつもの移動パターンを思い切って変え、真昼の移動にしてみたら。車窓を流れる風景は彼方まで映し、まるで別の世界が現れるではありませんか。いつもなら閉店の名物の店にも顔を出し、見たこともない料理に、懐を心配する緊張感にも出会えることでしょう。

 どうせ人生は一度きり、仕事であれ遊びであれ、過ぎ行く時に変わりなし。ならば、仕事の移動とは思わず旅行と思い、時には真昼の移動も織り込んでみれば、気持も明るく体調にも良く、意外なほど翌日の仕事も順調に進むこと、間違いありません。

大磯や おおISOと読む 仕事柄
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by tabigarasu-iso | 2006-10-05 23:13 | コンサルサービス | Comments(0)

山脈を飛び越す

 そこに山があるから登るとは、登山愛好家の名科白ですが、そこにヒマラヤが隆起してきたから飛び越すとは、人が渡り鳥の鶴に代わり、勝手に想像したシナリオで、その様子を紹介するテレビ番組のことでした。

 乱気流に遭遇し、一度は山越えを諦めた鶴の集団が、再度の挑戦をする途中、これを待ち構えていた二匹の鷹に襲われ、ついに一羽がその鋭い爪の餌食になり墜落するのですが、そのまま隊列を乱すこともなく仲間は上昇していくのです。

 たかが二匹の敵ですから、集団で防御すれば、何とかなりそうなもの。けれども、本能に導かれた上昇に懸命で、その知恵が浮かばないようです。それとも、最初から多少の犠牲は覚悟の山越えであったのでしょうか。

 それにしても、山が隆起してきたからといって、本能に刷り込まれたルートを変える事ができず、そのまま飛び越してきたシナリオには、どうにも合点が行きません。九千メートル近い山越えを避け、迂回した方が危険は少ない筈です。

 山越えは、この種の継続を左右する、力量の評価場所かも知れません。ライオンが子供を谷底に突き落とし、這い上がって来た子供だけを育てる、このような説明の方が納得できる旅ガラスでありました。 

                おみなえし その名の由来 聞き返し
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by tabigarasu-iso | 2006-10-05 08:00 | 随筆 | Comments(0)

さあいこうか

 秋雨の降る中、一羽のカラスが、電柱のてっぺんに陣取り、何やら呟いております。
『大樹の枝に羽を休めている諸君、いつまでそうしている。一向に雨は止みそうにない。巣で待つ子供達の為にも、暗くなる前に餌を探しに行こうではないか』

 近くの大きなけやきの枝で、雨を避ける仲間の一羽が、何やら返しました。
『もう少し待てば雨も止むから、そう慌てない方が良いですよ。風邪でも引いたら大変です。これまでも、雨が止んだ後で、何とか餌が探せたじゃありませんか』

 その横で羽を繕っていた一羽が、異を唱えます。
『そうでもないです。このところ仲間が増え過ぎ、充分な餌を確保できることが、少なくなってしまったのは事実。早めに、縄張りの餌を確保しに行く方が良いと思います。濡れた羽は、後で乾かせば良いから、今のうちに出掛けませんか』

 雨を待つのも良いし、濡れるのを覚悟で出掛けるのも良い。自分で責任が取れるものは、何れを選ぶのも勝手ですが、餌を自分では探すことができない子ガラスを考えれば、思い切って雨の中を舞うことも必要でしょう。
『諸君、さあいこうか』

 
秋雨に 打たれて伸びる 青菜かな
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by tabigarasu-iso | 2006-10-01 22:51 | 随筆 | Comments(0)