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白髪の旅ガラス

堅い話は抜きにして

「御主人様でいらっしゃいますか」
 土曜の昼下りになりますと、電話での勧誘に慣れた女性から、眠気を醒ます営業がありました。
「はい、そうです。どのような御用件でしょうか」
 意識して明るく、コンサルの口調で快活に答えます。
「健康器具の御紹介です。肩凝り、腰痛、お悩みではありませんか」

 いきなりながら、相手の狙いは、明白です。
「あのう、特に悩みはありません」
 困った子供の振りをして、もじもじ答えます。すると、脈の無いことを察知したのでしょう。
「随分、若い御主人様ですね。お幾つでいらっしゃいますか」
 三十は、過ぎていますと答えます。
「左様ですか、それでは必要ございませんね。失礼致しました」
 そそくさと電話を切る、潔さ。これぞ、見ず知らずの相手に、懲りずに営業する商いの鏡と感心しました。

 同じ日のこと、別な営業電話があります。
「二年前に電話した会社のものですが、覚えていますか」
 こう切り出されては、呆れて物が言えませんが、それでも答えるのは、同じ営業の性でしょうか。
「申し訳ありません。失念したようです」
 これに気を良くしたのでしょう。営業マニュアルを読みながら、新人らしき営業マンは話を続けます。
「将来に備え、マンションの購入、如何でしょうか」
 漸く、本題に入りました。そこで、笑いながら確認しました。
「マンションの営業ですね」

 この返事、多分想像できないでしょう。
「いいえ、営業ではありません。ただ、お得な物件ですので、紹介させて頂いております」
 これ以上の応対は、相手に対しても失礼でしょうから、申し上げました。
「これから、犬の散歩に行かねばなりませんので、失礼します」
 いやはや、こちらはなんともやっかいなこと。

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夕立に 流して欲しい 猛暑あり
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by tabigarasu-iso | 2006-08-31 06:29 | ニュース | Comments(0)

 そもそも、ISOマネジメントを導入したなら、それを活用しないほど愚な組織はない。登録したことを示す証書の入手が目的なら、それも活用の一つであるが、証書を維持するだけで本業に活用しないなら、投入する資源に対して見返りが妥当かどうか、その収支を検証してみれば判る。

 ある経営者が言った。ISOは儲かりますか。実に的を射た質問である。それに対し、何と答えたものか。当時は曖昧な言葉で濁してしまったが、あれからコンサルや審査の経験を幾らか上積みした今なら、次のことが言える。

 【明確な方針】
 まずは、経営者が方針に経営上の本音を明記することだ。法律を守り、社会的なマナーを守ることは当然としたうえで、営業上、品質上、環境上それに安全上、何を目指すのか、方針の内容として、組織の方向性を具体的に示し、可能であれば数値化することである。公開されている組織の方針を見るが良い。公開することだけが目的で、何を目指すのか皆目判らないものが大半である。これでは、従業員を導く道標にはならない。従い、方針の実現を期待する方が無理であろう。
 【業績の評価】
 次に、ISOマネジメント導入に際し、役割と業績評価を明確にすることである。ISOマネジメント導入の役割はすぐに決まるが、役割を果たしたらどう評価するか、果たせない場合はどうか、生活に密着した給料や報酬には触れない場合が大半であろう。こうした状況では、従来の評価される業務を主とし、付録のISOマネジメントなど、本気で取組む訳がない。
 【正式な予算】
 更に、売上目標や利益目標を策定する際、品質目標、環境目標、安全目標を同時に組み込むことである。予算化されなければ費用も出ない。費用の根拠もなく掲げた目標は、審査時に議論の場を与えることだけになる。仮に、審査で目標未達成を指摘されたところで、是正処理の作文をすれば済むのだから、真に迫力がない。予算作成は、どの組織でも真剣勝負である。その際、ISOマネジメントの目標やそれを実現する施策に関する費用を織り込まなければ、ISOマネジメントを活きた動きに活動する糧がない。

 それでは、具体的にどう展開すれば良いか。その前に、経営者がISOマネジメントを活用し本業を発展させる考えがあるのか確かめることが肝心であろう。経営者にその気があれば、課題の半分は解決したようなもの。具体的な展開は、それからの話である。


素足なり 沢蟹追えば 水痛く
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by tabigarasu-iso | 2006-08-30 12:35 | ISOマネジメント | Comments(0)

ひぐらし

 ひぐらしは、夏から秋にかけ、夜明けや日暮れ時を選び、かなかな、かなかなと甲高い音色で鳴く蝉ですが、夜明かしと呼ばないのは何故でしょう。日の暮れる侘しさに、かなかなの響きが、程よく調和するからでしょうか。

 仕事を終えた帰り道、公園に立ち寄り、銀杏の太い幹を見ますと、それがじっと貼り付いたまま。いつ、その鳴き声を聞かせてくれるのか、急ぐ用事もありませんから、鳴くまでじっと待つことにしました。

 汗の滲む腕に薮蚊が取り付き、のんきな観察者の手ばかり、忙しくさせてくれます。近くでは、かなかなと仲間が優雅に鳴いて誘ってくれているようですが、目の前のひぐらしは、それに応えて鳴いてくれる様子などありません。

 無数の薮蚊に献血し終えた頃、雌の蝉は鳴かないことに、ようやく気付いたのです。ならば、その美しい姿を写真に撮らせて貰おうと思い、携帯電話のカメラを向けましたが、薄く半透明な頭から下は、木肌を映すばかり。それと説明がなければ、誰にも判らない記録となりました。
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     カナカナと 夕暮れ誘う 蝉の音に 明日も来ぬかと 訊ねてみたり
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by tabigarasu-iso | 2006-08-28 22:04 | 随筆 | Comments(0)

ダブルサービス

 ホテルからコンサル先まで、行く先を告げるだけで運んでくれるタクシーは、便利な乗り物です。時として道に迷うこともあり、不安な一時もありますが、その分、地方の面白い話を聞く事もでき、携帯電話も遠慮なく話せるのですから、苦にはなりません。

 時に、マッサージサービスを提供するタクシーに出会います。後部座席に座れば、マッサージの操作カードに、背中全体のフルコース、肩や腰のスポットコース、所要時間、強弱が簡単に選べ、それに無料ですから、試さない訳にはいきません。

 目的地まで三十分近く掛かり、フルコースを選びますと、肩、背中、腰の疲れが溜まり易い所を承知して、次々に押して揉んで叩いて揺らす。重い鞄を持ち歩くコンサルは、肩や腰が疲れ気味ですから、余りの心地良さに追加のボタンを押したいところでした。
 
 我等のコンサルサービスも、こうありたいものです。通常の業務改善支援に加え、組織の疲れたところを探り当て、それを揉んで叩いて揺らして治す、組織のマッサージも忘れないダブルサービスを提供できたら、きっと満足して頂けることでしょう。

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胸ボタン 二つ外せば 汗も引き
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by tabigarasu-iso | 2006-08-23 23:50 | コンサルサービス | Comments(0)

風が吹けば桶屋が儲かる

 桶屋など知らない世代が増えて、「風が吹けば桶屋が儲かる」という諺も、桶屋の意味から説明が必要になりましたが、この諺の言いたいところ、風が吹くことと桶屋が儲かること、直接的に関係がなさそうですが、物語を聞くうちに判るようになる、だから何事も筋道を追う様にと言うことでしょうか。

 昨今、「地球温暖化対策を推進すれば物造り技術が向上する」という諺が、生まれつつあります。温暖化対策の一つとして、二酸化炭素の発生量を抑制するには、地底に眠る化石燃料を汲み上げ大気中で燃やすのを抑制する、生産工程の効率や品質向上を図ることが大きく関係し、それを支える物造り技術の向上にもつながるという話でして。

 また、「本業とISOマネジメントを一体化すれば利益も継続的に改善する」という見方が定着しつつあります。ISOマネジメントの管理対象として、本業の課題を取り上げれば、その中から優先的に管理するものが改善目標や維持管理対象となり、日常の進捗管理に加え、定期的な内部監査や外部審査によって更に改善点が指摘され、業績評価制度との連動もあれば、マネジメントの評価も明確になり、関係者のやる気も高まって利益も継続的に改善することとなるというもの。

 ところで、「大雪が少なくなると鹿が増える」というテレビ報道がありました。従来、大雪により鹿が増え過ぎるのを自然淘汰してきたが、このところの温暖化で大雪が少なくなり、増え過ぎた鹿が生活圏を拡大したため、それまで繁殖していた植物が餌の対象となって絶滅の危機にあるというもの。その原因を突き詰めれば、自然の循環を無視した人間の身勝手な活動にありますから、桶屋が儲かる風の吹く原因にも注目が必要ですね。

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老犬に 我を重ねて 抱き締めて
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by tabigarasu-iso | 2006-08-20 23:43 | 問題解決 | Comments(0)

天然の美

 関越自動車道の沼田ICを降りてから、地方道を高原に向かって登ること一時間余り、天然の巨木が見事な樹幹を見せてくれる。幹の直径、目の高さで三尺は楽に越し、梢は遥か見上げるばかり。白い幹は白樺、輝く蜜柑色の幹はダテ樺、灰色の横縞はブナ、他にミズナラやヤマグルミそれにトチノキ等が、海抜千三百メートルの高原で、自生の雄姿を見せてくれる。

 夕方になると、俄かに霧が現れ、瞬く間に巨木の群を包み隠す。下界からこれを見れば雲に見えるから、天空の森と言えようか。意図せず、この地に足を踏み入れた都会暮らしの旅ガラス、見事な樹幹に見惚れ、ラベンダーの花を見に訪問したことなど忘れてしまう旅となる。

 樹幹が余りに大きくなると、身近な所で目にする機会は少ないから、どれが何の木か判らない。そんな時には、木の葉を見るに限る。それはどこでも同じ様な形や色をしているから、ブナだかミズナラだか、葉の輪郭で見分けることが可能だ。けれども、それすら知らない者には、すべてが巨木で良いだろう。

 肝心な事は、人が手を入れない天然の樹林が存続し、それを目にして感動する者は、その雄姿を残すことの重要性を他の者に伝えることであろう。そう思い、携帯電話のカメラで巨木の雄姿を映したのだが、その迫力が素人写真では伝わらないのが残念である。興味を持たれた方は、玉原高原に自ら足を運ぶことを薦めたい。


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              巨大なる ミズナラなれど 葉は同じ 
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by tabigarasu-iso | 2006-08-16 17:15 | 随筆 | Comments(0)

本州横断

 新大阪で大半の乗客が降り、空席ばかり見詰めていれば、半分眠った目玉に映る視野にも飽きがくる。既に、三時間余り座り続ける新幹線の席、コンサルで話す立場なら苦にならない時間だけれど、コンサルの話を聞く立場からみれば、同じ苦痛の席であろうか。

 やがて新神戸の駅、側溝の中に入ったような駅の造り、そこを抜けるとトンネルが迫るから、何とも落ち着かない駅である。それにしても、何とも長いトンネルが続き、これでは神戸の街を覗く間もありゃしない。

 いつしか視界が広がり、海が一瞬見える。ここは何処だか知らないが、鉄の車輪が鳴るのを聞きながら、高い煙突の立ち並ぶ工業地帯を、ただ網膜に映す。車内アナウンスも絶えて久しいから、一人旅の寂しさが、静かに忍び寄る。

 両脇に山が迫り、車窓は緑豊かな懐かしい風景を映す。右手に姿を現したのは、姫路城であろうか。コンサルの予習に抜かりないが、移動中の名所まで調べる余裕はないから、近代的な建物の後方に、何層もの大きな屋根を見せつける、名を知らぬ城だけれども、その姿に心を奪われる。

 それから山腹を貫くトンネルを幾つか抜けて、揖保川を渡る頃、ビールの酔いも何処かに消えて、空いた腹の虫が鳴く。夕暮れの車窓には、赤穂の二文字を大きく掲げた山肌が映り、これには、旅の興も冷める。
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               葛の葉の 恐れ知らない 天昇り
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by tabigarasu-iso | 2006-08-10 15:10 | 随筆 | Comments(0)

味噌天神

 何でも神として祭ることが好きな人間が多いようです。台所、井戸、かまど、厠、それに奥さんまで、神様と呼ぶことは承知していましたが、味噌まで神扱いしている所を知っていますか。熊本の市内を走る路面電車沿いに、味噌天神なるものがありまして。

 これで驚いているようでは、神様の想定範囲が狭いようです。
「お客さん、加藤清正が馬の手入れをした場所、下馬天神があり、旦那の浮気予防をお願いする、巨大な男性のシンボルを祭る弓削(ゆげ)神宮もありますよ」
 
 メモを取るのが忙しいほど、神様が次々と登場し、謂れを聞くのも楽しみに。
「ところで、運転手さん、それほど神様が沢山いらっしゃるということは、それが必要だからでしょうね。そこを参拝される方、今でも沢山いらっしゃるのですか」

 ハンドルを軽快に操る手先とは別に、のんびり笑顔で答えてくれました。
「昔も今も、弓削神宮は必要ではなかと。お客さんも、心当たりがありませんかな」
 神さんは一人で充分とは言わずに黙って頷くと、運転手さんは豪快な声で笑います。火の国には、話し好き天神の席もありそうですね。

冷え過ぎの 車内で羽織る 上着なし
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by tabigarasu-iso | 2006-08-03 22:46 | 随筆 | Comments(0)

専門家探し

 コンサル先に向かう車中、誰にも邪魔されない空間では、惰眠が良く似合います。うつらうつら、身体を離れた魂は、自由に夢の世界へ入ったり出たり、好き放題に。そこへ、弱々しい赤ん坊の泣き声が届き、慌てて魂は肉体へと戻りました。

 久しく忘れていた目の覚め方でしたが、充分な眠りを楽しんだ身体に活気も戻り、周囲に気を遣う母親の姿を思い描く、心の余裕も生まれています。どんな赤ん坊が泣いているのか、振り返って確かめたい気持を抑え、控え目に前方を見ました。

 そこには、後に居る筈の赤ん坊を抱いた若い母親が、通路に立ち赤子を揺すっています。今更、開けた目を閉じても間に合いません。こんな時に限り、泣き止んだ子は、こちらを珍しそうに見詰め、その顔をまた崩し始めました。

 ジーパン姿の母親は、遠慮なく声を張り上げる我が子に困り果て、傍の乗客も迷惑そうな顔付きに変わっています。かような場合、子育ての専門家が、適切なアドバイスをしてくれたら、親子も周囲の乗客も、どんなに助かることでしょうか。我等コンサルも、そうありたいものです。

犬の毛は 何も言わずに クールビズ 
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by tabigarasu-iso | 2006-08-03 01:00 | 問題解決 | Comments(0)