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白髪の旅ガラス

イヌの溜息

 心配する時や自分の力ではとうていかなわないと思う時に大きくつく息を、溜息と言います。また、こうした悲観が喜びに変わった時に大きくつく息も溜息と言いますが、同じつくならほっとした溜息をつきたいものです。

 そうとは知らず何気なしに溜息をつく人がいますが、その訳を知る人にその溜息が聞こえますと、どちらの溜息か気になりまして。
「どうしましたか?」
 悲観しているのか喜びに浸るのか、つい確認したくなるものです。

 ところで、溜息をつくのは人だけに限りません。散歩を終え、洗面所でイヌの脚を洗い始めると大きな溜息をつくことがあります。その時は、鏡に映る顔が笑っていますから、喜びを表す溜息に違いありません。

『人前で溜息はつくな、ついた数だけ寿命が短くなるから』と、誰かに言われた記憶があります。悲しい溜息は生命力を更に弱め、楽しい溜息はその逆でしょう。何れも、その瞬間は気力が失せることには変わりないようですから、そのことを戒めてくれたのですね。 

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                 灼熱に 停まり木違え あぶら蝉
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by tabigarasu-iso | 2006-07-30 16:37 | 随筆 | Comments(0)

 一組のネズミが、雌雄の子供を毎月二匹産み、その子供が子を生むまで一ケ月とすれば、爆発的にネズミの数は増えていきます。その餌の量も、ネズミ算式に膨大となり、それを充分に確保できない状況が、いつか出現することでしょう。

 やがて、野原を埋め尽くしたネズミの集団は、海に向かって突進します。魚を捕まえるのではなく、自らの命を絶つため、誰からも教えられない不思議な行動は、残った仲間を温存する本能でしょうか。

 ネズミの仲間である人間は、他の動物を押し退け、地球上を君臨する王者となり、誰にも邪魔されることなく、それゆえ、或る国では人口増加の道を辿り続け、このままだと、ネズミと同じ集団自殺の道を歩むか、他国の援助に頼ることになりましょう。

 食料や資源の豊かな国が無限にあれば良いのですが、そこも楽観できない状況にあります。海の幸を乱獲し、森を切り崩しては食料の増産に励むものの、それが災いして不作を生み出す悪循環に陥り、いざとなれば食糧や石油の供給は期待できないでしょう。

 食料や資源の確保ばかりに目を向けている間に、むやみに吐き出した二酸化炭素が地球上を厚く被い、異常気象を始めとする、想像もしなかった事態が次々に発生し、それが地球環境問題と言われるようになりました。

 その原因は、誰もが身に覚えのあることばかりです。訳が見えているのですから、解決は容易な筈ですが、生活習慣を変えない保守的な生物である限り、法律で規制しようが、ISOを導入しようが、その解決は困難でしょう。

 こうしている間にも、事態は深刻の度を増すばかりです。じっとしていないで、生活習慣の見直しから始めようではありませんか。余分な食料や衣類は買わない、水を無駄にしない、余分な照明は消す、どれも自分の意志で出来ることばかりです。

 更に、夜遅くまで仕事をしないよう、コンサルの効率的な仕事の進め方を考え、そのコツを明日からコンサル先にも伝えること、これが旅ガラスの今日から出来る、一番身近な地球環境問題の解決法かも知れません。

蓮池に 金魚加えて 水清し
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by tabigarasu-iso | 2006-07-26 21:25 | ISOマネジメント | Comments(0)

 帰り際、さようならを口にする人がいます。また会いましょうの意味でしょうが、これっきりですとも取れますから、そうではない時には、使わない方が良い言葉ではないでしょうか。

 或る日、コンサル先の方から、退職の挨拶を電子メールで頂きました。会うは別れの始まりですから、残念ですが仕方の無いことです。その訳は問わず、別れの言葉を贈りました。
「これからも、同じ地球に住む仲間に変わりませんから、また、どこかでお会いしましょう。いつの日か、便りをくだされば幸いです」

 かように、幾人もの方に再会のメッセージを送って参りましたが、返事を下さる方は少なく、これも人の世の定めか、己の人徳の無さかと諦めています。それでも懲りず、別れ際のさようならは、今後も言葉にしないことにしましょう。

 いつの日か、さようならを告げる時が来ます。それは、亡き人を野辺に送る時と自分が送られる直前に限ります。それまでは、美しい五つのひらがなであっても、さようならなんて言えない仲間に、あなたも加わりませんか。
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             やかましく 自慢しないで 孫のばば
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by tabigarasu-iso | 2006-07-24 21:28 | 随筆 | Comments(0)

教えてあげる

 路上を歩けば、カラスも焼鳥になりそうな猛暑に驚き、急ぎ地下に潜れば、噴き出た汗も見る見る乾いて具合が宜しい。そうかといって、このまま地下に住めないカラスだから、意を決め下車駅の改札を抜け、焼けたフライパンの上かと間違う、地上に舞い出る。

 その瞬間、メガネが俄かに曇り、先を急ぐ脚を止めた。けれども、まごまごしていると、焼き直しの鳥になりそうだから、思うように反応しない脚を騙し、コンサル先に入れば、心地良い香りに汗も遠慮する、外界と掛け離れた素敵な環境に戸惑う。

「どうされましたか。納得できない指摘でも?」
 下向き暗い面持ちで現れた担当者の方に尋ねる。
「審査は、審査員によりますね。これまでの審査員とレベルが違い、対応を御相談したいのですが」
 余り明るく答えると冷えた室内に申し訳ないから、少し抑え目に答えた。
「審査員も色々です。審査機関に対し、審査員の評価をアンケート用紙に、疑問点を具体的に挙げ、改善を促すコメントを必ず記載してください。コメントが厳しいからといって、審査を厳しくすることはありませんから、安心して」

 いずれの組織も、抱える課題は似ている。エキスパート集団とは言いながら、中には見習いのまま、レベルが向上しない者も混じり、それを発見できなかったり、発見できても指導できなかったり。それを教えるのがアンケートの役割だから、大いに課題を教えてあげようか。
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寸刻み 前に行くだけ カタツムリ
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by tabigarasu-iso | 2006-07-23 14:14 | ISOマネジメント | Comments(0)

あばれ馬

 馬の口に含ませ、手綱を付ける道具のことを、「くつわ」と言いますが、競馬中継を観ていても、馬の口の中までは映してくれませんから、その存在を知る人は、少ないことでしょう。

 馬は、かつて耕作や運搬の主役を担っており、同じ屋根の下に寝起きもする、身近な存在でした。前脚を踏み鳴らして餌を催促し、首を振り意志を示す、人の言葉こそ話せないものの、人の気持が判る賢い動物です。

 馬の顔は長く、先の方には草を食べる大きな歯が並んでいますが、奥にはありません。そこに「くつわ」が入ると、すっかり従順になり、人の指図に従い、野良仕事の馬力になります。けれども、中には短気な人も居まして、いたずらに鞭で打ったりするものですから、大人しい馬でも堪忍袋の緒が切れ、逃亡することもありました。

 そんな馬が、ぱから、ぱから、ぱから、村中を縫う道を早足で駆け抜け、身近に迫り躍動する筋肉の動きまで見える辺りになりますと、それは美しく輝いて見えます。時折、首を上下に振りながら、前脚を天に上げ、大きくいななく姿は、「くつわ」の無い自由を取り戻した、あばれ馬の喜びであったことでしょう。

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             盆花に 思い伝える 先祖あり  
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by tabigarasu-iso | 2006-07-17 11:29 | 随筆 | Comments(0)

切れる

 朝一番、岡山は駅近くのホテルでのことでした。眠い眼で歯を磨き、顔を洗い、続いて備え付けの髭剃りで。その安全キャップを外した途端、何か削った様な感触があり、左手の人差し指を見ますと、表皮が少し消え失せ、赤味を見せていました。

 痛みはありませんが、生きている証拠の赤い液体が流れ出し、とても髭剃りどころではありません。吸い込み吐き出しますと、かなりの量でしたので、左手を胸より上にし、右手で作業を続けます。その様子が目の前の鏡に他人事の様に映り、吹き出さずにいられません。

 使い慣れた髭剃りであれば、乱暴に扱っても怪我することはありませんが、柄からキャップまで全身が透明なプラスチック製でしたから、どこまで安全、どこから危険なのか、判然としないまま、キャップを外したところで、肉まで削ったのであろうかと、つい原因を探る、コンサルの癖が抜けません。

 こうして、朝から切れた者が営業に出掛ければ、好き勝手な要望を付き付けるお客様に切れ、捨て台詞を残して席を立つか、それとも、切れる頭を回転させ、無理難題を見積価格に上乗せし、相手も納得する方向へと導く、何れかの道を行くことになりましょう。

岡山の 白桃齧り 夏に会い
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by tabigarasu-iso | 2006-07-15 16:41 | コンサルサービス | Comments(0)

好かれる内部監査

 硬いタイトルですが、最後までお付き合い頂ければ、後悔することはありません。そもそも、内部監査なるものは、何でありましょうか。個人では自己反省であり、集団ではルールを守る必要がありますから、果たして、それを守っているか否か、集団の仲間が確かめてくれる作業、それが内部監査であります。

 あるべき姿に集団が向かっていない場合、それを叱るのではなく、どうしたらあるべき姿に向かえるのか、その助言を与えること、これが内部監査なるものの目標ですが。何を勘違いするのか、駄目なことばかり、偉そうに指摘して満足する、内部監査員の方が多く、困ったものです。

 それでは、喜ばれる内部監査員になるには、どうしたら良いのでしょうか。問題を発見したところで、それを解決する方法を、一緒に考えてあげることです。例えば、何故、手順どおり作業ができないのか、手順を知らないのではないか、承知はしているのだが手順に無理はないか、手順通りに作業を実施したところで評価されないからではないか。

 かように、監査を受ける立場になって問題の核心に迫り、それを解決する策を提案してあげれば、明日も来てくださいと言われること、間違いありません。これに疑いを持たれる方は、そもそも集団で作業することに適さない方ですから、個人で活躍されることを、お勧めしましょう。

忘れない 好かれなんぼの 監査員 
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by tabigarasu-iso | 2006-07-12 22:54 | ISOマネジメント | Comments(0)

山帽子

 軽井沢の駅を降り、結婚式場にタクシーで向かう。澄んだ空気に辺り一面の新緑の中、見覚えのある街路樹を認め、悪い習慣と知りながら講釈をぶつ。
「あれはカナダ産。皆、日本産と誤解しているようだが。それにしても遅い開花だな」

 愛想良く笑顔で聞いていた運転手が口を開く。
「お客さん、あれはハナミズキに似ていますが、地元産の山帽子です」
 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と言うから、すぐさま失礼しましたと、正してくれたお礼を言った。

 待合室で桜茶を啜り、久し振りに会う親族と四方山話に花を咲かせていると、どこかで見掛けた顔付きの一行が同室に入る。互いに挨拶をしたが、相手の名を聞き間違えて、どうも名と想い出の像が合致しないまま、失念したともう一度聞きなおす訳にも行かず、己の記憶の復活に期待した。

 やがて新婦の母親が現れ、彼女の名を親しく呼び捨てにした時、弟嫁の兄弟達であるとにわかに想い出し、酒を飲む前から顔が赤らむ。
「いや、言葉も掛けず、大変失礼しました。いつもと違う皆さんの端正ないでたちに、見間違えまして」
 詫びるものは、早めの方がよろしい。

「まあ、原稿も無いのに、良く文句がすらすら浮かぶこと」
 いつもと異なり、しとやかな和服姿の妻の言葉が耳に残った。

紫陽花よ 一人で元気 雨の中
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by tabigarasu-iso | 2006-07-11 12:25 | 随筆 | Comments(0)

驚きましたね

 ミサイルが、何発も日本の近くに投下される、物騒な状況になりました。それでも大半の人は、仕事の手を休める訳にもいきません。いつ何処に投下されるのか判りませんから、逃げ場もなく、対抗しようにも手段を持ちませんから、防衛手段を備えた専門集団に任せ、成り行きを見守るしかないでしょう。

 無駄とは知りつつ、旅ガラスは時々天を仰ぎながら、ミサイルの飛来が無いことを確かめ、コンサルの旅を続けております。今朝は珍しく、散歩を終え流れ落ちる玉の汗をエアコンで冷やしながら、丹念に新聞をめくっていますと、つい最近、新幹線ホームで出会った人の顔が掲載されていました。

 ミサイル騒動の二日前のことです。新幹線ホームで駅弁と缶ビールを買い、浜松に停車するひかり号を待っていました。そこに、低めの身体に目鼻立ちのはっきりしない丸顔を乗せた人を、背が高く屈強な身体に端正な顔立ちの男性三人が取り囲み、辺りに目を配りながらホームを移動し、その人がキオスクで買物を終えるのを黙って待ち、到着した列車のグリーン車に誘導する、風変わりな光景が展開されたのです。
 
 要人の移動に護衛が付いたことまでは理解し、肝心の要人が誰であったか判らないままでした。新聞の顔写真から、ミサイル対応の陣頭指揮を取られる方であることが判明しましたが、その方には、自分だけではなく、国民護衛も切に御願いしたいものです。

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手を打てば 鳴いて応える 天竜よ
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by tabigarasu-iso | 2006-07-08 14:53 | ニュース | Comments(0)

想定外

 伊勢に餃子の旨い店があると聞き、確かめない訳にはいかない。ようやく念願が叶い、その店に案内された旅ガラスの一行、まずは頭数の餃子を注文する。それに鳥のカラ揚げ、おでん、おむすびと若いカラスが言うに任せて注文したけれど、最初にビールが出たきり後が続かない。

しかたなく、つまみが無いままグラスを干せば、疲れに空腹が重なり、酔いのパターンに入りそうになった。
「・・・・・・・」
 大分待たせながら、無言で置かれた焼き餃子、見た目に変わった風はない。
「熱いですから、気を付けて下さい」

 注意してくれたのは、常連の若いカラス。確かに、普通の餃子に見えたけれど、口に含み咬んで驚く。柔らかな皮の中から、野菜の旨み汁が流れ出し、その熱いこと鍋の中のごとし。グラスに残った生ぬるいビールを慌て口にする。

「旨い、もう一人前ずつ注文しましょうか」
 底面は焼けてパリッと固いが、山の両側は柔らかな仕上がり、味の深い具が手頃の分量、ついつい箸が進み、気が付けば二皿目も既に空。餃子ばかりで満腹になるとは、想定外の店だった。

                 枇杷の実も 小雨に打たれ 眼を醒ます
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by tabigarasu-iso | 2006-07-05 18:27 | 随筆 | Comments(0)