ブログトップ

白髪の旅ガラス

<   2006年 06月 ( 8 )   > この月の画像一覧

戦い終えて日が暮れて

 命のやり取りをする戦ではありませんが、真剣勝負で臨む仕事を無事に終えれば、拝む夕陽は美しく、思わず川柳など一句詠む心境となりますが、課題山積の修羅場で終えれば、肩を丸めてうつむいて、歩道の流れくる様を見ながら、溜息ばかりが耳に残ることになりましょう。

「今回のISO14001審査の第一段階に関し、結果を報告します。残念ながら、不適合はありません。この結果ですと、予定通り、第二段階の審査に移ります。審査員としては、もう少し審査の機会を増やしたかったので、大変心残りではありますが」

 かように言われる審査の立会いなど、コンサルの立場では滅多にありませんから、空想の世界にほんの束の間浸るものの、現実は手厳しい指摘の洪水に襲われ、コンサルの立場を捨てたくなる場合が多くあり、それが出来ぬ夕暮れは、悔しさを抑えながら練った対応策をノートに記し、次の戦に備えるしかありません。

 こうして、踏まれて逞しく成長する雑草魂のコンサルは、信頼を失いかけた顧客に、自分の指導が非力であった事を率直に詫びて、次の機会に再挑戦するのです。その際、指導相手が、挑戦の流れに合流すれば、船頭のコンサルは成功し、川柳を詠む余裕も生まれることでしょう。

梅雨空も 泣いてくれるな 指摘受け
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-06-30 22:51 | コンサルサービス | Comments(0)

携帯電話がなかったら

 どこでも、いつでも、誰でも、携帯電話を便利に使っているようで、使われる時代になりました。使いたい時、自分の意のまま使えるのは至極便利ですが、出たくない時、出られない時に限り、胸ポケットの中で小さく暴れ続けるから堪りません。

「どうもお久し振りです。何度か連絡頂いたようですが、あいにく電車の中でして」
 受信記録を確認し、非通知であれば連絡しませんが、見覚えのある相手でしたら、連絡しない訳にはいきません。
「今、どちらですか」
 何度か失礼した相手に尋ねられ、北海道と答えれば良かったのですが。
「東京駅の八重洲口です」
 正直に答えた時に限り、相手もそばに居たりします。
「偶然ですね。丸の内に居ります。どうですか、少し時間を頂けますか」

 営業の言う少しほど、当てにならない単位はありません。喫茶店に席を確保した途端、相手の都合も聞かず資料を次々に取り出し、好き勝手に宣伝を始めるものですから、内心、呆れてしまいます。けれども、それを顔に出してはいけません。

 もしも携帯電話がなかったら、今頃は新幹線に乗り込み、冷えたプレミアムビールを何缶か胃袋に流し込んで、徒然なるままに、一人旅の侘しさ、寂しさ、それに孤独を楽しむ喜びを駄文にまとめ、悦に入って居る頃でしょう。
「何やら、楽しそうですうな」
 かように、心模様を相手に見せるようでは、営業の修行が足りないコンサルですが、便利は不便なものですね。

梅雨空に 真紅のバラも 色を添え
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-06-28 23:18 | 随筆 | Comments(0)

笑うに笑えない

 老夫婦が、飛行機の小さな窓を見ながら、最初は妻が手を合わせ、続いて夫が何やら呟いております。無事に着陸した途端、二人の顔に笑顔が浮かび、再び合掌となりました。どうやら、先祖に感謝の言葉を告げているようです。

 離陸前から天候が悪く、着陸が福岡空港に変更になる可能性があり、飛行中には、着陸予定の熊本空港上空の視界が悪く、着陸し直すことがあり、着陸の精度を上げるため、電波を発する電子機器の電源を切るようにと、何度も機長から説明を受けた後のことでした。

 そんな最中、覚悟を決めた訳ではありませんが、機内に流れる落語を聞いておりまして、笑いたくて仕方ありません。目から溢れる涙を拭くハンカチを口に当て、必死に声を殺して聞いておりました。

 表紙は坂の上の雲ながら中身は成人向きの本を、そうとは知らない息子が学校の読書の時間に誤って持参し、先生の命令で読み始めてはみたものの、先生も解説できない展開となり、奥さんや先生に叱られた父親を慰める大人びた息子の言葉が落ち。

 演者の桂三枝師匠の話術に翻弄され、笑いが腹から突き上げる「読書の時間」が終る頃、着陸態勢に入ったものですから、真剣な機内の雰囲気を察し、笑うに笑えない苦しい仲間、他にも何人か居たに違いありません。

昼過ぎて 目だけ開くも 眠る脳
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-06-23 23:06 | 随筆 | Comments(0)

足元を大切に

 靴が無く素足で学校に来る者が珍しくない時代もありましたが、サンダルを片方だけ履いた女性が出発直前の電車から飛び出す光景は今でも珍しく、次の電車をホームで待ちながら、その行く先を見守っておりました。

 素足に近い足とサンダルを履いた足でバランスを崩しながらもホームを駅長室に向かって走り、間も無く片手に落し物拾得の道具を抱えた駅員を連れて戻ると、電車を降りた所を忘れたのか、検討外れの線路脇を二人で探し始めます。

 言葉を掛けようとした時のこと、駅員が戻り始めて線路脇の草の陰に何やら見付け、拾得の道具を使おうとして止め、身軽に線路内に飛び降りると獲物を掲げました。板に紐の付いた姿はみすぼらしく、迫る電車に怯えながら、命を張って拾う物ではありません。

 それを当然のように受け取り、恥ずかしげにホームの柱の影に身を隠し、何処かに携帯電話で連絡する、通勤ラッシュ時のシンデラ姫に申し上げます。そのサンダルの用途、指先が飛び出し踏まれて痛かろうし、踵の鳴る音も喧しく、外れ易い構造ですから、カボチャの馬車に乗る時に限定してくだされ。

電線に 郭公一羽 誰に鳴く
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-06-19 18:06 | ニュース | Comments(0)

カンニング

 それなりの上司と優秀な部下が、隣り合わせの席で試験を受ければ、前者は後者を頼って真剣に考えることを忘れ、後者は前者に気を遣い答案用紙を横に移動させる、そんな場面が想定されます。

「それでは、これから試験を始めます。何を見ても結構ですが、隣の方の回答だけは、見ないように。共倒れの危険性があります。それでは、悔いのないよう、青春時代に舞い戻ってください」

 かように注意しても、上司と部下の固い絆には負けます。上司を気遣う部下の複雑な表情を認め、講師は試験会場を離れました。用事が済んだ頃を見計らい会場に戻れば、そこには、回答を確かめ合った安堵感に溢れた表情がありまして。

「試験前に申し上げることでしたが、今日の出来事を、長い間、脳内に留めておくか、明日には忘れるか、その選択は皆さんの自由です。懸命に考え、それでも回答が浮かばない、この緊張感を脳内に残すことが、試験の目的ですから、勘違いされませんように」
 そこには、頭をかきながら、退席する上司の姿がありました。

夕闇に 翅を休める 昼の蝶
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-06-15 23:31 | セミナーサービス | Comments(0)

いいよる

 言葉は、話す人の表現力や聞く人の文化の違いによって、正しく伝わることもあり、誤解されることもあります。
「よか、よか、きにせんで、よか」
 悩んでも明るく生きても同じ一生ですから、よか、よかと優しく労わってくれる温かい言葉には、つい耳を傾けました。

 何度か潜る熊本駅前の小さな居酒屋で、地元の人の話を肴に、地元の焼酎を飲んでいます。そればかりでは申し訳ないから、イカの煮物、サヤエンドウのゴマあえ、ラッキョウの酢漬け、それにツブ貝の煮付けと景気良く注文。一人で食べるにはやや多過ぎますが、一人旅の寂しさを忘れるためには、丁度良いのかも知れません。

 ラッキョウの裏に隠れた鷹の爪をつまみ、ためらわないで口に放り込み、奥歯で勢い良く噛み砕けば、異常な辛さが襲ってきまして、それを打ち消すために、援軍の焼酎を送り込むと、額から粒の汗が吹き出しました。

「お姉さん、もう一杯、頼みます」
 とうに、その時代を過ぎた方であっても、その通りに呼んではいけません。
「ラッキョウ漬け、唐辛子の辛味が効いて旨いですな」
 額の汗を拭きながら、本音を伝えます。
「何ば、いいよる。そげん、汗して」
 酒に酔い、言い寄った訳ではないのですが。
 
d0052263_18543132.jpg


紫陽花に 群がる虫を 見てみたい
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-06-11 18:55 | 随筆 | Comments(0)

コンサルのCSR

 後に別の依頼が入ったから、先の約束を変えてくれないかと言う人あり。要望を聞くことを仕事にするコンサルだから、余程のことでないと腹は立たないが、こうした自己中心の発言は見逃せない。

コンサルサービスにも、歩むべき道がある。コンサル先の秘密を漏らさないことは勿論、約束した目標を実現するため、対等の立場で語り、互いに約束を守り、コンサル能力を超えた過度の期待は抱かせない、信頼の道。

 自分の能力で対応できない案件であれば、コンサル仲間を頼りに対応する。その際、紹介を受けたコンサルは、紹介者に対しても、報告と感謝を忘れてはいけない。お客様から、継続案件の依頼があれば、喜び勇んで受諾したいところだが、まずは紹介者に報告し同意を得る、謝恩の道。

 かつて、コンサルの社会的責任を、C(コンサル)S(社会的)R(責任)と読み替えてみたことがあるが、コンサルの歩むべき道を守ることは、CSRの法規制を守るのと同様に重要なことであり、その対象として、お客様だけでなく、紹介者も入ることを、肝に銘じたいものである。
  
d0052263_0232111.jpg
               
獣道 草丈に負け いま何処 
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-06-08 00:29 | コンサルサービス | Comments(0)

裸の王様

「貴社の環境マネジメントシステム、大変結構な運用状況で、痛く感心しました」
 世辞、多少ならば人間関係を旨くする潤滑剤にもなりましょうが、それこそ、歯の浮くような、実態を見抜けない内容で終始するなら、まともな方なら呆れてしまうでしょう。

「大変、有り難い言葉です。できましたら、審査を通じて見られた、現場の課題を話して頂けませんか。現場の声が上がり難くなっていますので」
 審査に期待するトップの思いが、良く伝わります。それに答えないことには、審査員として失格であり、審査は有効とは言えません。

 それなのに、相変わらず表面的な現象ばかり取り上げ、難しい言葉を駆使して褒めちぎる審査のリーダーは、サンプルにある事項を質問し続け、トップとの面談時間の全てを使い果たしました。このまま終えたのでは、審査員の評価が下がるばかり。少々時間を頂き、審査メンバーとして意見を述べます。

「社長の言われた、職場の環境改善、製品の環境配慮、それに環境装置開発の強化、現場に浸透しつつあるかと思います。トップダウンにより、その方向性は明確ですが、それを実現する課題発見の手順が機能しておりません。重点管理項目を何にすれば良いのか、その手順はありますが、殆どの部門で使われていないようです。これを現場で使えるものに見直し、関係者に周知することが必須かと思いますが」

社長は横を向き、事務局の方に事実を確認されたが、事務局は首を横に振るだけです。その様を見ていると、子供の頃の紙芝居、裸の王様を想い出してしまいました。それからというもの、事務局の方に口を聞いて貰えない、一期一会の審査となりましたが、仕方ありませんね。


物言えば 背中寂しい 審査かな  
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-06-03 19:32 | ISOマネジメント | Comments(0)