ブログトップ

白髪の旅ガラス

<   2006年 04月 ( 10 )   > この月の画像一覧

人は見掛け

 一時、気紛れな雷神さんが、激しい風を起こし、大きなひしゃくで水を撒いているのか、それも遠慮なしに、ばさばさ撒き落とすものですから、差した傘は役に立たず、濡れネズミとなりました。

 ズボンの裾のアイロン線は消えてジーパンに化け、ネクタイはハイカラな手拭となり、とてもではないが、人様の前に立つ姿ではありません。けれど、他の方も同じ様な姿ですから、目立たず、諦めもつきます。

 その後、新幹線に乗り、西へ向かい始めますと、お天道様が顔を出し、周囲を見渡せば、折目正しい服装の方ばかり。隣の方など、背広の襟に菊の金バッチなど飾り、取り出す懐中時計も純金に違いありません。

 ぼろは♪着てても♪心は錦♪と歌の文句にあり、その心意気、知り合う仲では理解されましょうが、初対面では、やはり見掛けが大切です。とくに、サービスを売る営業となりますと、売り物が見えないだけに、それが九割以上と言えましょう。けれども、濡れたネズミやカラスになった時は、残りの一割に賭けるしかありませんね。

昼過ぎの下がる瞼を誰か上げ
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-30 01:24 | コンサルサービス | Comments(0)

虚業

 世の中には、不思議な組織もあるものです。社員より役員の人数の方が圧倒的に多く、数名の社員に実務を頼る。特殊な仕事であれば、そうした組織も成り立つでしょうが、競合の多い並の仕事であれば、継続しているのが不思議です。

 やはり、その組織は傍からは見えない、特殊な仕掛けを持っているのでしょう。資金が次々と集まる魅力的なアイデア、他社にないサービス、少人数でこなせるシステム、いずれか不明ですが、その正体を知りたいものです。

 どうやら、ビジネスモデルに興味を示す出資者が後を絶たず、役員の輪を広げるのに忙しく、そのモデルを展開する必要性がないらしい。だとすると、モデルの魅力だけが残り、実態は何一つ動かないかも知れません。

 こうした仕事のことを、虚業と言うのでしょうか。実業を持たず、モデルの素晴らしさだけで資金を集め、それだけで組織を維持しようものなら、いずれ出資者に本性を見抜かれ、残像だけが記憶に残る組織になりましょう。

西の空 黄砂にけむる おぼろ月
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-27 01:20 | 随筆 | Comments(0)

心の始発駅

  声嗄らし帰路の始発は上野駅
 入る列車に故郷の臭い 探して
 よぎるは離れて暮らす親の顔
 元気なうちにいま何度会える
 勝手な子供も既に白髪だらけ

  青い寝台列車の姿は消えても
 想いだすのは新婚旅行二人旅
 仕事に追われて振りかえりゃ
 二人旅などそれきり記憶なく
 勝手な男の生き様詫びるだけ

  あれやこれ想い巡らす始発駅
 花は散ってもまた咲くように
 元気なうちは飽きず何度でも
 夢見る勝手な男のわがままを
 懲りずに支える人こそ恋しい

  振り返りゃ心の始発は上野駅
 人生列車に終わりもこようが
 重い鞄も暗い気持も軽くする
 いつもの終着駅から始発駅に
 今日も飛び乗るコンサル帰り

道脇に肩を並べるハナミズキ
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-23 23:55 | 随筆 | Comments(0)

何処へ

 タクシーに乗り込み行く先を告げましたが、いつもの経路には見られない風景が次々と現れました。十数分経たところで不安になりましたが、疑っては運転手さんのプライドを傷付けると思い、観光客に変身します。

「この辺り、自然が残っていますね。あれは、葦ですか。暢気に朝から釣りも。・・・これまで見たことが無い川ですが、何と言いますか」
「エズコ」
 訛りのせいか、良く聞き取れません。
「あの、何処へと言ったのではなく、先程まで見えなかった川の名ですが・・・」
 本心を見抜かれたことに慌てながらも、行く先の左手に突然出現した、昔の面影を残す川、これを記憶に残そうと聞き直しました。
「江戸のエ、大津のツ、それに湖のコ、エズコです」

 湧き水が大量に噴出し、水流も早いので、川のように見えるが、これも立派な湖とのこと。雨で濁らなければ、地下水が噴出す様子が良く判るとも、親切に解説してくれます。
「何処か流れ出すところがあるのでしょうね」
 溢れ出したら大変ですから、行く先の不安を忘れて、心配してあげました。
「大丈夫、お客さん。この先、川につながっていますから」

 安堵して前方を見ますと、見覚えのある建物が左手にあり、いつもなら右手に見えていましたから、どうやら、反対の道を回って来たようです。料金を心配しましたが、いつもより数百円安く、疑いの言葉を掛けなかったことにも、また安堵しました。

満開の 花を妬んで 黄砂舞い 
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-18 23:06 | 随筆 | Comments(0)

調和

 過日、社会人と学生とで構成された、オーケストラの初興行、つまり杮落としに、夫婦で参りました。ステージの最前列に席を取り、久し振りに出会う年下の友人が、笑みを浮かべながら奏でる姿を認め、多数の弦楽器が空気を振動させる波動を、全身に受け続けていますと、心のしこりも次第にほぐれ、やがて浅い眠りに誘われて、夢と現実の間を行ったり来たり。

 五十数名の奏者が譜面に従い、その真ん中で自ら演じる、コンサートマスターのリードに任せ、一つの曲を長々と奏でるのですが、調和が最後まで乱れないのが不思議です。それだけでなく、山場を迎えれば、全員の魂が一塊になり、波動に載り襲うように迫ってくるものですから、静かに眠ってなど居られません。

 目覚めれば、つい単独で現場に赴く、コンサルタントの仕事と比較してしまいます。譜面に該当するのがISOの規格、演じるのは組織、指揮者は社長もしくは管理責任者ですから、コンサルタントは、裏舞台で演奏を見守る裏方さん。

 長い演奏に飽き、誰とはなしに呟いた言葉を耳にした妻が、笑いながら、そっと言います。
「コンサルタントの方々の指揮は、どなたが、どのようになさるのかしら。皆さん、訪問先が異なるのでしょうから、大変なことですこと」
 コンサルの進め方を譜面にまとめ、会社で演奏の練習をすると返せば、その後のお酒をまじえた練習のほうが、更に効果が上がる筈と言われ、黙って頷いたことを想いだしました。

海の中 音波に撃たれ 鯨泣き
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-16 18:32 | 随筆 | Comments(0)

けっこう

 前にアクセントを置くか、後に置くか、随分と結果が異なります。コンサルを終え、熊本空港より羽田行の飛行機を待っておりますと、後者の場内アナウンスが流れました。
「本日、濃霧のため、羽田行き最終便は、欠航とさせて頂きます。お客様には、大変御迷惑をお掛け致しますが、御了承ください。なお、払い戻しは、一階の受付で御願いします。誠に申し訳ございません」

 それでも、皆さん、静かに受付けに戻るのが、不思議でなりません。予定が狂い、大きな痛手を被る方もありましょう。待ち人を失望させる方も、大勢あるでしょうから、謝罪の仕方にも、もう一つ工夫が必要です。

 たまたま、明日は休みを取っていましたので、平然と市内に戻り、ホテルを予約してから、大衆酒場に繰り出しましたが、帰りを待つ家族の心配は、払い戻しでは足りません。
「本当に、欠航なのかしら。結構なお泊りではないかしら」

 真実を告げようにも、欠航証明を頂いていないものですから、身の潔白を証明する術もなく、また日頃の行いが悪いせいもあり、ひたすら説明するばかり。
「ただひたすら、僕を信じて欲しい。それだけが、結構な望みであります」
 
                           
d0052263_2354980.jpg

濃霧にて 舞うに舞えない 旅ガラス 
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-11 23:06 | ニュース | Comments(0)

レベル少しアップ

 飛行機に乗り、並より少し贅沢な席に座ってみますと、どことなく偉くなったような気分になります。これまで、カーテンの向こうの席に座る方は、どんな人種であろうかと、半ば嫉妬しておりましたが、料金を確認してみますと、僅かの差額でしたので、思い切って選びました。

 その席は、入り口に近く、肘掛も隣の方と争う必要の無い、充分な幅があります。更に、ソフトドリンクサービスも一番先でして、飲み物ばかりかチョコレートと飴玉も振舞われました。そればかりか、世話する方の笑みも、後部の席に座ったときより、幾分厚みがあるような気がします。

 機内で世話する女性の作られた笑みを遣り過ごし、革靴の中で悲鳴を上げ始めた足を、自由にしてあげました。靴は、大きめのものを履いているのですが、長く履いていますと、圧迫感を覚えてなりません。すぐさま床に靴下の足を投げ出すと、何故か継続的改善と言う言葉が浮かんできました。

 この席は、お客様のお陰でレベルを少しアップできたものの、己のコンサルのレベルはどうであろうか。コンサルの進め方に不満があっても、お客様は我慢されているのでは。そんな思いが頭の芯をよぎり、着陸のアナウンスを待たず、急いで両足を革靴に納める、一人旅の途中です。
d0052263_2012399.jpg


落雷に 灯りも消えて 犬寄せる 
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-11 22:21 | コンサルサービス | Comments(0)

縄張り争い

 ISOの審査を受けた事務局の方が、二人揃い青い顔で見えました。
「先月の審査で、全ての縄張り、あがってねえから直せと言われましてね。こちとら、一度に全ての縄張りに、新しい掟を浸透するとなりゃ、手間も金も入用になるから、それに、中にゃぁ、言うことを聞かねえ者もいやすから、徐々に広げるつもりですがね。ところが、見回り役、それが必須であるから、詫び状を入れなければ、鑑札は取り上げるとおっしゃる。そうされたら、お飯の食い上げ。いい知恵、ありませんか」

 どうやら、ISOの登録範囲、つまり縄張りについて、当の審査員は全てを主張し、受審者は一部でも良いと理解していたことから、騒ぎが起きたようです。
「こちとら、俄か江戸っ子だが、困った人を見て、見ぬ振りはできねえ。よし、おいらに任せておきな。その掟が書かれたもの、見せてくれ。どれ、新しい掟を守るか否か、その縄張りの範囲、親分の判断に任すとありますな」

 それは承知していたのだが、当の審査員が大先生のものですから見解を曲げず、仕方なく引き下がったものの、どうにも納得がいきません。
「うん。こいつは元締めに確認するのが一番だ。すまねえが、人走りしてくれ。鑑札を頂戴するには、全ての縄張りでねえと駄目かと、元締めに」

「さようなことは求めておらん。鑑札に書かれた範囲で、新しい掟が守られておれば宜しい。さような判断を下した愚か者の名を、教えて下さらんか。即刻、呼び出し、拙者が打ち首に致す」
 早速、コンサルが審査機関の責任者に問い合わせたところ、さような指示を審査員にはしていないとのこと。どうやら、大先生の暴走のようです。それを知って安心されたのか、ほんの少しが三時間を越す相談となりました。

d0052263_23414191.jpg


朝に彩 夕に火の国 桜舞い
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-08 18:05 | 問題解決 | Comments(0)

聞いてないよ

 桜の花びらが道路一面を覆う、この世とは思えない季節となりました。街中では、真新しいスーツ姿の集団を良く見掛けますが、例年より多いような気がします。これまで自由な服装や髪型で学生を演じていた人々が、揃いの姿に衣替えするのも、季節感があってよろしいですね。

 コンサル先でも、大勢の新入社員が研修を受けていました。ノートを片手にメモを真剣に取る姿は、母校の先生が羨む光景でしょう。ISO事務局の方も、環境問題の講師を務め、つい話が脱線しましたとか。
 
「それでですね。環境を守るということは、お魚さんと仲良くすることでありまして。先週末、新潟の渓流に行き、岩魚さん、山女さんと一年ぶりに会ってきました。昨年に比べ、幾らか小振り、餌が十分でなかったようです。そこで、もう少し大きくなるよう諭し、大半を放してあげました。お魚さんの生態も確かめながら、生物の多様性を配慮する企業活動、皆さんにも求められていますぞ」
 
 かように、意味不明な説明にも、誰も眠らなかったそうです。審査を間近に控えたコンサルの話も、皆さん、真剣に聞いてくれますが、稀にそうでない方も現れまして。そこで、その方に敢えて質問を投げてみますと、お魚さんと同じ様に口を開けたまま、まともな返事もありません。こんな時、俺の話を聞けとは言いませんが、退場と叫べたら、どんなに気分が晴れることでしょう。

                               
d0052263_13373969.jpg


もぐらさん 出所違え 土の山
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-05 19:28 | ニュース | Comments(0)

武者返し

 今から四百年前の江戸時代に加藤清正が完成させ、明治の西南戦争で焼失したもの、昭和に入り大小の天守閣が復元された熊本城は、武者返しの石垣で有名な城とは聞いていましたが、六階のホテルの窓から眺めてみますと、そればかりか規模の大きさも尋常ではありません。

 早速、携帯電話のカメラに収めましたが、残念ながら画像が小さく粗く、戦いを挑む巨大な城の群を、表現することは叶わないようです。そこで、夕食に向かう途中、その足元に近寄ってみますと、弧を描いてそそり立ち、登り始めた敵を振るい落とす、恐ろしいほど高い石垣ですが、敵意のない旅ガラスには、苔むした顔で優しく迎えてくれました。

 弓矢、鉄砲が主流の時代には、この城を落とすことは至難のことであったでしょう。肌寒い夜風が吹く中、西南戦争で大砲の攻撃を受け、痛手を受けた城の姿を想像し、それを復元させた昭和の人々の思いを推し測ります。

 かような規模の城を築くにあたり、どれ程の人の汗が流れ落ち、辛い涙がこぼれたことでしょう。熊本の本丸に吹く風は、武者返しの石垣の隙間から洩れだす故人の思いを載せ、城内の満開の桜に届くようでした。

                              
d0052263_1633094.jpg

 あちこちに 花咲き過ぎて 蝶迷う
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-04-01 16:04 | 随筆 | Comments(0)