ブログトップ

白髪の旅ガラス

<   2006年 03月 ( 12 )   > この月の画像一覧

桜も咲きます

 今年も、桜の花を楽しむ季節となりました。人により、満開を好み、散り時に涙し、葉桜に心を惹かれ、様々な楽しみ方があるようです。受験する人には、桜咲く知らせが待たれ、審査を受ける組織では、三分咲きであれ、登録の花をつけることが何よりでしょう。

 審査に立ち会うコンサルは、登録の桜咲く様子を、無言で見守るしかありませんが。
「そちらの隅で黙っている方、何か言いたいことが、ありますか」
 審査チームリーダーの方が、受審組織の側に席を取り、メモ鳥に終日徹している、旅ガラスを気の毒に思ってくれたのか、声を掛けてくれました。
「いえ、結構なお手並みで」
 審査に口を出さないこと、これがコンサル立会いの仁義ですから、参考意見を求められても、迂闊に応じる訳には参りません。

 とは言え、発言できない審査の立会いは、コンサルの腕を磨く、良き機会になります。それと言うのも、審査員の方が、見当違いの質問をすれば、呆れた顔して受審側に知らせ、質問に詰まった受審者の方には、マニュアルに記述されていますと目で指示する、ボディーランゲージが上達しまして。それに、己の弱点を発見してくれる場になりますから、実に有り難いことです。

 指摘事項が幾つか出されて審査は終了となり、登録の花が咲きそうですと告げられ、初めて声を出しました。
「実に的を射た指摘、有難う御座います。受審者も、気持ちよく了承され、これからコンサルも継続して頂けそうです」
 審査の限界を示し、コンサルの価値を高めた礼の言葉を告げ、桜咲く乾杯の席へと向かいます。

                                
d0052263_23502462.jpg

 百薬の 花を待ち侘び 桜散り
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-30 23:51 | コンサルサービス | Comments(0)

酸素が欲しい

 空調の止まった帰路の車内は、乗客の疲れをたっぷり含んだ吐息、汗の発酵が進んだ独特の臭いに満ちている。一時間以上も立ったまま、それでも誰一人倒れることもなく、停車の都度流れ込む、新鮮な空気を皆が待ち侘びていた。

 開閉可能な窓があり、窓際の人が気を配り少し開けてくれれば、新鮮な空気が流れ込む。けれど、窓際の席に座る人は、すっかり眠り込み、だらしなくよだれを流し、手にした新聞を落としたことも気が付かない。

 窓を開ければ寒くなる、開けなければ酸素不足になる、春先の車内は、厚着と薄着の乗客が入り乱れているから、窓を開けてくださいと喉まで出しかけたが、隣の半袖姿に遠慮する。

 車輌の天井には、立派な空調設備が、乗客を真似て眠ったまま。冷暖房の必要は無い季節だが、せめて、新鮮な空気くらい循環させて欲しいもの。その判断、車掌にあるのだろうが、最後尾の車輌の特別席からは、混雑した車内の呟きなど、聞こえはしない。

                             
d0052263_1326380.jpg

 孫抱けど 泣かれて寂し 人見知り
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-25 16:45 | 随筆 | Comments(0)

ゼロ番線ホーム

 東京の綾瀬駅から北綾瀬行きホームは、ゼロ番線という何とも奇妙な呼称です。個数が一つも無いこと、それがゼロですから、素直に解釈する人には、この番線は見えても理解できないことでしょう。

 綾瀬から北綾瀬までのたった一駅を、一両編成の車輌が往復する、始発駅で終着駅ですから、スタートの意味でそのように名付けたのでしょうか。それとも、将来無くなることを想定した番線と疑ってみるのは、考え過ぎかも知れませんね。

 それにしても、たった一駅を往復するだけの電車は、大変珍しいものです。どこかに接続する、予定があったに違いありません。それを聞いた覚えはあるのですが、記録するのを忘れてしまい、想いだそうとするのですが、無理なようです。

 渡し舟に似た電車、何とも中途半端な路線ですが、廃止することも出来ず、延長することも叶わず、地域の人々に愛されることのみを生き甲斐に、認知されない番線名にもめげず、いつまでも走り続けることでしょう。

  控え目に 香り鼻つく 沈丁花
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-24 23:32 | ニュース | Comments(0)

春の嵐

 古びた公民館には、入り切れないほどの班長が集まり、議長の収支報告に耳を傾けるのですが、身近なガラス戸を激しく揺すり、外の立木に悲鳴を上げさせる、強い風の音が邪魔をして、何を話しているのか、大半の人が判らない会議となりました。

 年間数千円の町内会費ですが、二千戸ともなると大金になり、その使い方には目を配る必要があります。支出の一番は、文化親睦費というものでして、何のことはない、親睦旅行や体育祭それにボーリング大会の費用ですから、参加した方の異議はないでしょうが、参加できない方はどうでしょう。

 質問はありませんかと聞かれても、馬鹿な使い方は止めなさい、他に使い方があるでしょうとは、誰も言いません。親睦旅行も、地域の交流の一つですから、そんな馬鹿があっても許せましょう。

 けれど、その旅行に全員が参加したらどうでしょうか。一度の親睦会で予算を使い果たし、大きな赤字になること間違いありません。そんな疑問を思い付きましたが、善良そうな区長さん達が背広に身を固め、懸命に報告する姿に感心し、春の嵐が通り過ぎるのを待つ班長さんでした。

春嵐 縄張り探る 犬を停め
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-21 12:03 | ニュース | Comments(0)

備え聞けば憂いあり

 初めて訪れる中部国際空港、名古屋から名鉄で三十分の所にありました。途中の風景も珍しく、そのせいか乗降客の姿も異なるような気がします。きっと、見詰め過ぎた目が、錯覚したものでしょう。

 乗り込んだ飛行機は、いつもより小さく、乗客の世話をする女性も、小柄で愛らしい方ばかり。例により、笑顔を浮かべながら、離陸前に非常時の説明を始めます。
 ・シートベルトの締め方
 ・非常口の位置
 ・酸素マスクの使い方
 ・救命用具の使い方
 ・説明書を読んで乗務員の指導に従うこと
 ・電波を出す電子機器の使用禁止
 これを、笑顔を絶やさず説明してくれるものですから、複雑な気持になりました。

 さあ離陸、機首をぐいと上げ、飛行機はぐんぐん上空へと昇ります。機内を見渡すと空席ばかり。飛行が安定したところで、窓際の席に移ります。眼下には、溶岩の流れに似た街の明かりが見えました。

 テレビ番組で、古代の遺跡が近くでは見えないものの、上空から見れば規則正しい模様を描き出す、人類の知恵に感動したばかりでしたから、秩序なく流れる溶岩にしか見えない現代文明の成果は、古代文明にも劣るようです。

 それにしても、かように高い所を飛んでいれば、いくら備えたところで、非常時に助かる可能性は少ないでしょうから、その説明を聞きながら、憂いを覚えない者は、皆無に違いありません。

北国の 梅と桜は 共に咲き
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-18 21:52 | 随筆 | Comments(0)

曇りのち晴れ

 製造業の成果物は製品に決まりですが、サービス業のそれは報告書であったり、ユーザーの満足であったり、時には予想外のものであったりします。

「食料品が環境に影響を与える事例を教えて貰いたいのですが」
 環境ISOでは、環境影響の大きさを評価しまして、その原因を管理することになっていますが、自分達の領分だけでは、環境影響を抑制するには力が足りません。そこで、要望を聞いて下さる相手に、協力を御願いします。また、製品開発の際には、製品が利用される時や廃棄される時を想定し、環境影響を抑制する策を盛り込むですが。どうやら、その方法を把握されていない暗い顔です。

 電子機器に関する環境影響評価の参考資料は、数多いのですが、食品となると意外に少ないのでしょう。それでも、相談の来られた方に申し上げました。
「他社の事例を探されること、お止めなさい。成果物だけ手にしても、それが生まれるプロセスを理解されず、何の役に立ちましょう」

 その場で事情を伺い、食品に関する環境影響を白板に整理しながら説明しますと、理解して頂けたようです。帰り際の明るい顔とテーブルの上に置かれたお菓子、それが無料相談の有り難い成果でした。

空調の 音も恋しや 一人旅
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-17 00:43 | 問題解決 | Comments(0)

夜のコンサル

 コンサルを終えて帰り支度。その先に待つ人あり。どうやら、今宵は飲み会が予定されているらしい。事前に聞いてなかったが、お客様の要望を前向きの捉えるのがコンサル稼業だから、一次会を終え更に二次会までお付き合い。

「あなた、今何処に居るの」
 そう携帯電話で言われても、仕事中としか答えようが無い。それで満足するような時間帯ではないから、疑われて当然である。
「今夜は、帰らないのね」
 
 九時に始まり五時に終る、定型的な仕事で給料が頂けるなら、それに越したことは無いけれど、成果が求められるコンサルとなれば、時間帯より相手を選ぶしかない。待ち侘びる意志決定者が現れたのが、一次会の終る直前で帰路の心配をする時間帯であったから、二次会に移った時には覚悟を決める。

 酒の肴は、社内の四方山話。それが的を射ている事実と知るだけに、最後まで聞かない訳にはいかいない。
「すいません。詳細は別の機会に。そろそろ、明日が近くなりましたので、巣に帰りましょうか」
 
 宴を締める言葉、遠慮なく口にするのもコンサル。それにしても、前以て聞いていれば、マイクと歌詞を鞄に潜め、コンサル夜の部を開演させて頂いたものを。

まな板の 鯉になります 健診日
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-16 12:38 | コンサルサービス | Comments(0)

乾杯

 仕事を終えて飲み干す、冷えたビールほど、旨いものはない。
「お疲れ様です」
 互いに労い、息をするのも惜しんで缶を傾ける。心地良い香りを載せた苦味が、喉から胃に流れ落ち、長く留まることなく腸へと向かう。

 そこから全身に拡散し、とりわけ脳の働きを活性化させ、プラス思考を後押しする。
「先の案件、我等が受注、間違いない。次の案件を狙い、提案書を頼む」
 酔わなくても、全ての営業案件を受注とみなす人に、アルコールが入れば更に夢は膨らむ。
 
 ところで、久し振りに結婚式に招かれ、乾杯の発声を仰せつかった。シャンペンの入ったグラスを目の前に、じっと我慢の顔が思い浮かぶ。
『早く、乾杯と言って頂戴』
 皆が声には出さないが、腹の中で願っていること、間違いないであろう。

 自己紹介を簡単に済ませ、新郎と新婦の両親の気持に触れ始めたが、長くなるからと途中で切り上げ、乾杯の発声に移る。その間、三十秒足らずであったから、誰にもストレスを与えなかったであろう。
「気持のこもった乾杯、有難う御座いました」
 多くを語らないのが、良かったのであろうか。コンサル稼業としては、微妙な気持であった。

菫咲く 道の片隅 腰屈め
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-12 22:48 | 随筆 | Comments(0)

 熊本空港からコンサル先の八幡水に向かう途中、鬼瓦の替わりに鯱を載せた屋根が目に付く。
「運転手さん、このあたりの屋根には、変わったものが載っていますね」
 質問の意味が判らないらしい。
「そうですか」
 鯱を載せた屋根があること、名古屋城の他に知らず、その訳を知りたかったのだが。それに見慣れている地元の方には、見えていながら見えていないらしい。

 三度目の訪問時にも、年配のタクシーの運転手さんに、同じ質問を投げたが、初めて気が付いたようだ。
「名古屋城の鯱に似ていませんか」
 無口な運転手さんが、口を開いた。
「言われて見れば、その通りですな」
 一応、その理由を訊ねてみたが、瞬く間に、元の無口に戻る。

 後日、東京のコンサル先で、その話を長崎出身の方にしてみた。
「名古屋城の鯱に似た物が、熊本の民家の屋根に載っているのですが、御存知でしたか」
 寡黙な九州男児の口が開く。
「見たことはないけれども、どちらも加藤清正が関係しているね」
 ひょうひょうと語る言葉には、重みがあった。

 井の中の蛙、大海を知らずと言い、されど、その深さを知るとも言う。その地方に住む方は、他の地方との相違点を知る機会が少なくなる。もっとも、差ばかり探していても、その中身を知らなければ、余り意味の無いことだが。

                                 人前で 騒ぐ子叱る 親捜し
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-11 14:59 | ニュース | Comments(0)

夜まで待って

 静か過ぎるオフィスは、いけません。問い合わせが無く、注文が無く、意見交換が無く、それに入金が無いとなれば、いずれ組織は消滅となりましょう。さりとて、騒がし過ぎるオフィスも、いけません。それが、仕事の話であれば、やむを得ませんが、私語となれば、仕事の妨げになるばかり。

「それで、うちのかみさんが、こんなことを言ってね」
 捜査の手段に使う、刑事コロンボならまだしも、納期が迫り、必死に資料をまとめる、その傍に現れ、長々と茶飲み話を聞かされては堪りません。
「隣の人が、こんなことを言ってね」
 そればかりか、近所の噂話まで聞かされては、堪忍袋の緒も切れましょう。

 こうした話をしたがる種族は、意外と話し相手が居なく、誰かに話を聞いて貰いたいのですから、その気持を汲んで対応することが肝心です。
「楽しい話ですね。話の続き、後でゆっくり、そうですね、新しく駅前にできた居酒屋さんで、いかがですか。その節は、御馳走になります」
 
 コンサル稼業に属する人にも、同じ様なことがあります。仲間が居る組織に戻ると、用も無いのに、話し掛けたくなりまして。相手の仕事を邪魔する張本人が、無駄話しの断り方を提案するのですから、先の処方に間違いはありません。
 
言わなくも 判る相手が 少なくて
[PR]
by tabigarasu-iso | 2006-03-06 20:52 | 問題解決 | Comments(0)