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白髪の旅ガラス

短期決戦

 標準の期間が一年のものを、その半分で仕上げてくれと言われ、否と言えば縁が切れて、諾と答えれば、精が切れる。縁が切れては元も子もないから、通常の歩みを駆け足に変え、自分ばかりでは仕方ないから、仕事相手にも遅れないよう無理を言う。それが初めての仕事であれば、知らない相手は無理を知らない。だからといって、どこまでも、全力疾走は無理なことである。

「今年のロッテ、優勝したのは誉めることのようですよ」
 新しい課題を次々に与えられ、オーバーヒート気味の赤い顔した相手に、脳内の休憩を告げた。タイミング良く出されたビターチョコレートを口にいれ、渋い緑茶で流し込めば、苦を苦に感じさせない、コンサルパターンが脳内に浮かぶ。

「これまでの成果を整理してみましょう」
 プロジェクターに映し出された、パソコンの操作状況を見ながら、修正箇所を皆で納得するまで意見交換する。それが、多少時間が掛かっても、焦ってはいけない。

「そうです、大変良くまとまりましたね。この短い時間で、流石です」
 皆の顔が、満足の色に変わる。それを確認したところで、次のステップに進む。

「この作業の仕上げ、いつまでに可能ですか」
 いつまでにしなさいとは、言いたくても言ってはいけない。担当者の決めた期日を伺うこと、そこが大切である。

「一週間後では如何ですか」
 こうして、自己宣言された仕事は、無理なく進む。

 状況は短期決戦なれども、プラス思考で一歩一歩の成果を誉めて先導し、必ず半歩戻ることも誉めて、そこで仕上げてまた誉める。

 これを、『まつり縫いコンサル』と命名したのは、つい先日のことであった。

 枝の柿 少し残せと 舞いながら 
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by tabigarasu-iso | 2005-10-30 00:25 | コンサルサービス | Comments(0)

 地理に詳しくない人には、今では便利なナビゲーターがあります。けれども、それを持たないタクシーに乗り、動き始めてから行く先を告げた矢先、その運転手さんから行く先が良く判りませんと告白されたらどうしましょう。

「すいません。私も今日が始めての場所でして。運転手さんが頼りですよ」
 最初は疑うこともありませんでしたが、既に出発して三十分余りが経過し、到着しても良い頃になりますと、車を路肩に寄せ、農作業の婦人に道を尋ねる年配の運転手さんに、不安を覚えたものです。

約束の時刻が迫り、埒の明かないやりとりに、行く先のお客さんに携帯電話を掛けました。そこから北とか東とか教えてくれるのですが、どちらが西か南か判らない聞き手ですから、何とも返事のしようがありません。

そこで、運転手さんに携帯電話を渡せば、私の携帯電話、受信音が小さくて判らないとおっしゃる。呆れて、携帯電話を返して貰い、再びお客さんに前方の風景を事細かに説明すれば、どうやら、今度は正しい方向に走り始めたようです。

ようやく、お客さんの告げる風景が次々と前方に展開しました。早目に出たはずが、約束時間の直前の到着となりまして、出迎えの初めて会う人の顔、仏様に見えます。
「普通、この辺りを間違える運転手は、いない筈ですけれど」

その声が聞えたかどうか知りませんが、既に去ったと思ったタクシー、未だ構内に停車したままではありませんか。まさか、帰り道を本部に無線で問い合わせているのではないでしょうが、コンサル現場で苦戦する己の姿を重ねる往路でした。

そして復路、どちらに曲がれば宜しいでしょうかと尋ねる、別のタクシー運転手さんに巡り会ったのも、聞かれることが商売のコンサルの宿命でしょうか。

菊の花 隣に跳んで 咲かないで 
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by tabigarasu-iso | 2005-10-29 18:14 | ニュース | Comments(0)

機能を殺す愚

 液晶、奇妙な代物である。自身では発光することはないけれど、光を通したり遮ったり、シャッター機能が利用される、不思議な高分子。時計に始まり、液晶大型テレビまで、あらゆる電化製品の表示として、今や必需品となっている。

 液晶には、カーテンの機能しかないから、表示機能を発揮するには、光が必要。液晶テレビや携帯電話の見えないところで、懸命に輝く光源の進化も見逃せない。どこからでも見易い視認性を高め、動画に対応するために応答性を上げ、カラー化に対応し、更にはブラウン管を凌ぐ大画面へと進化した。

 ところが、これまで追い求めた、斜めからでも良く見える、視認性が嫌われる用途が生まれ、わざわざ、真正面からでしか見えないフィルターを表示画面に着けるに至り、落語の世界に入ったようである。

 他人に見られて困るのは、携帯の個人情報、業務中のパソコンのマージャンゲームそれに企業の秘密。要は、液晶の画面を見る、時、場所それに状況をわきまえれば、敢えて、液晶の見易い機能を殺す、フィルター装着など不要であろうに。

深酔いを 醒ます役目も 柿の実に 
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by tabigarasu-iso | 2005-10-28 00:07 | ニュース | Comments(0)

監査現場を覗いてみたら

 監査と言いますと、何やら難しいことを想像される方が多いでしょうが、そうではない話を致しましょう。ところで、これから語る内容は、事実ではありませんが、ありそうな話です。

 ある会社で環境管理の国際規格ISO14001を導入しまして、三ヵ月後に登録の審査を控え、内部の社員がその仕組みを確認する内部環境監査を実施することになり、最初の相手が総務部長さんになりました。
「君達、ご苦労さんだね。ボーナス評価を控えて忙しい時期だから、手短に頼むよ」
 総務部長は、若い監査員を見下ろし、監査の結果次第では、ボーナス評価に影響があるかのような物の言い方です。そのようなこともあろうかと、監査チームには、心臓に毛の生えた人物が一人選ばれておりました。
「おっしゃる通りですね。一ヶ月前に御案内した計画通りに進めさせて頂きますから、御安心ください。それから、御承知のことと思いますが、内部監査の依頼は社長ですので、監査の結果は、そのまま社長に報告させて頂きます」
 落ち着き払った監査員の応答に、総務部長は斜めに構えた姿勢を正面に変えました。
「それでは、質問させて頂きます。総務部の業務内容を説明頂けますか」
 何を今更、同じ会社の人間が、そんなことも知らないかとばかり、総務部長は、勢いを取り戻して口を開きます。
「それを知って、何を確認したいのかね」
 心臓に毛の生えた監査員は、質問をためらう気弱な仲間に、打合せ通り説明するよう、目で合図をします。
「はい。総務部の活動を知り、洩れなく環境側面、つまり活動を環境面からみた場合の要素、環境負荷が抽出されているか、確認するためです。どうか協力を御願いします」
 したたかな総務部長は、気弱な監査員に向かい、諭すように言いました。
「総務の活動は、人事、教育、経理、契約、設備管理、食堂管理、まあ、そんなところかな」
 同じ土俵に上げることに成功した気弱な監査員は、やや自信を持って質問を続けます。「それでは、環境側面を抽出したもの見せて頂き、説明して頂いた活動の内容と合わせて説明をして頂けますか」
 昨夜、人知れず整理した資料を取り出した総務部長は、自信を持って説明を始めました。
「この通り、オフィスでは電気や用紙それに文具を使い、紙くずや廃文具が出る。それに、緊急時としてか火災かな」
 ここで、心臓に毛の生えた監査員が登場する。
「確かに、管理できるものは、良く整理されています。ところで、人事や教育の内容により、現場で環境負荷を大きくしたり小さくしたりすることは、可能でしょうか」
 総務部長は、胸を張って言う。
「その通り。君、総務の仕事を良く理解しているね。現場で積極的に改善ができる人を採用し、またそのように教育するのが総務の仕事なんだよ」
 心臓に毛の生えた監査員は、気を良くした部長に言った。
「積極的な改善には、コストダウンもありますね。つまり、環境負荷を積極的に低減する能力も含まれますか」
 総務部長は、余裕を持って頷く。
「それでは、総務部さんの人事や教育に、省エネや省資源の提案ができる人の採用や教育と言った、環境的な面があると理解して宜しいですね」
 用紙の使用や電気の使用で埋め尽くされた表を眺め、総務部長は、静かに言った。
「良く判った。確かに、用紙の使用や電気の使用といった環境負荷は出しているが、人事や教育の目指すもの、それらの環境面での切り口が皆無だった」
 これから先、総務部長の監査は順調に進みます。
「君達のような優れた社員を採用した、総務の成果を忘れないでね」
 二人の監査員は、黙って頷くしかありませんでした。

                             秋晴れに 仕事を語る 旅ガラス

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by tabigarasu-iso | 2005-10-24 22:52 | コンサルサービス | Comments(0)

助けられて

  旅先の宿でパソコンを叩きながら、パキスタンの地震災害時に活躍する人命救助犬を、人恋しく点けたままのテレビで観る機会がありました。彼らは、救助隊員の命じるまま、瓦礫の下にある生体の臭いを嗅ぎ分ける、優れた能力の持ち主です。

  それに比べ、我が家の同類、自慢するような特技はありません。主人が帰宅しても眠ったまま、目を合わせれば尻尾を軽く振るのが精一杯です。それでも、仕事の疲れを癒してくれますから、飼い主を助ける、それなりの救助犬と呼ぶことにしましょう。

  ところで、どちらの救助犬が幸せなのか、人気の無い狭い室内で考えました。結論として、どちらの犬も、必ずしも満足していないことでしょう。自らの意志で自由に行動することができない点では、同じ不満を秘めているに違いありません。

  その点、人間に飼育されることの無いカラスや雀は、餌を探し、天敵に神経を使う、生活上の苦労はあるでしょうが、自由に空を舞い、束縛されない点では、犬族に比べて幸せに違いありません。振り返って考えてみれば、長年、犬族に助けられて生活してきた人間、今度は彼らの考える幸せを探り、救助する番かも知れませんね。

情けなく 蝉空流す 秋の雨
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by tabigarasu-iso | 2005-10-23 22:00 | ニュース | Comments(0)

将来の得を考える

 利用されない樹木、家畜の糞それに食品廃棄物などが、バイオマスエネルギーとして注目されています。すべて生物に由来するものですから、再生可能であり、安心して使用できるものですが、どうやら注目される点はそればかりではありません。熱源や肥料として、そのまま使用していた時代から、電気を起こす原料となった点にあるようです。

 そう言われて、周囲の山々を見渡しますと、利用されず徒に花粉を飛ばす杉、間伐されず痩せ細った唐松、枝が伸び放題の檜、それに紅葉だけが評価される広葉樹、それこそ宝の山が無い地域は有りません。けれども、見て見ぬ振りをするのは、どうしたものでしょうか。資源やエネルギーとして利用できる実績それに可能性は判っていても、商売にならないのです。

手間暇を掛けて山から木を切り出し、薪にして燃やしていた時代から、石油の時代に替わり、火の点きが悪いときには煙にむせ、扱い方が悪ければ手に棘が刺さる、やっかいな薪を使うより、手元のスイッチをオンにすれば、いつでも湯に入れ、御飯が炊ける便利なものに、誰もが手を出すのは当然のことでした。

 こうして、身近な樹木は、観賞物となったのです。けれども、石油資源の枯渇や地球温暖化が身近な問題になり、これを見直す機会を与えました。太陽の光で成長し、燃やしても、もともと大気中にあった二酸化炭素を放出するだけで、大気中の温暖化ガスを増加させない樹木。

バイオマスエネルギーは、太陽が存在する限り持続可能なもので大いに期待できますが、目先の損得を考えると実現性は難しいかも知れません。将来の得を考える、そんな人々が多数になることを期待したいと思います。

煮るよりも 焼いた栗ゆえ 深い味
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by tabigarasu-iso | 2005-10-20 23:30 | 随筆 | Comments(0)

不法侵入

 泥棒は、鍵を開けるか窓ガラスを破って家に入り、金目の物を持ち去るが、そのまま居座り続けることはない。それに対し、食物に隠れ、空気に混ざり、否応なく体内に入り込む有害な化学物質は、すぐに対外へ出る物もあれば、長く体内に居座る物もある。

 本人の意志で体内に入れるものは、自己責任の範囲にあって、敢えて語るまでもないことだが、本人が知らない間に、体内に蓄積される有害な化学物質については、その作り手並びに供給者に責任あること明らかであり、体内不法侵入の罪が問われよう。

 その例に、毒性の強いPCBがあり、類似のものとして、昨今話題の石綿がある。これらの物質が登場した当時は、電気的な絶縁性や耐熱性或いは殺菌性に優れ、大いに利便性を注目されたものばかりだ。それが時を経て、人の死により初めて安全性が問われ、製造中止や取り扱い中止になるのだが、それまで誰も疑わないかと言うとそうでもない。ただ、因果関係を明らかにできないばかりに、泣き寝入りのケースが大半である。

 病人や死人が多数出てからでは遅い。けれども、これまでの法律はそれを待って後追いに制定されるものが大半であった。だが、その流れが変わりつつある。有害な物はもとより、安全性に疑問があるものを禁止する規制が始まった。同時に、従来にも増して、安全な化学物質についても、正確な情報開示が期待される。

  一方、自然の物質が全て安全かと言うとそうでもない。植物の葉を原料にした煙草は、人により健康への有害性が箱に明示されて販売されている。安全性が危惧されるものを予め禁止する、予防原則の時代に突入した今、煙草の行方に注目したいものだ。とりわけ、他人に不法侵入する、煙草の煙は許されまい。

腹締めて ズボン合わせる 衣替え  
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by tabigarasu-iso | 2005-10-17 22:19 | 随筆 | Comments(0)

北極が危ない

 五十年前に比べ、北極の平均気温が、二度から三度あまり上昇したそうです。海に浮かぶ氷の厚さが最大で四割も薄くなり、その面積も一割近く減少し、そこを棲みかにする住民が移動する事態を迎えると知れば、その原因となる温暖化ガスを過大に放出する一人として、責任を感じざるを得ません。

 また、その地に暮らす子供達は、学校に通い、コンピュータゲームに興じ、伝統的な狩猟や漁業を体験する機会が減り、その継承が危惧されているとのことです。更に、失業する者が急速に増え、アルコール中毒に罹る者が増えていると知り、環境問題、社会問題それに経済問題のマイナス面が、北極の地に集中していることを認識しました。

 その根本原因は、自給自足社会の継続を許さない、経済第一主義の文明の波かも知れません。その一つが、地下に眠る化石燃料を地上で燃やし続け、地球の回復能力を無限と信じたこと、これは明らかでしょう。また、民族固有の伝統や経済を引き継ぐことを許さない、異民族文化の侵入があり、効率優先経済の侵入があります。

 このままでは、仲間の南極も黙っていないでしょう。それが、陸地に保存した大量の氷を溶かし、海面を上昇させる前に、環境面だけでなく、社会面、経済面においても、北極の危機を捉える、地球人としての社会的責任を視野に入れることが、必須の時代になったようです。
     
兼好と 徒然語る 旅ガラス
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by tabigarasu-iso | 2005-10-16 14:29 | ニュース | Comments(0)

話題の監査

 組織に請われて会計を監督し検査する立場の監査人が、意図的に事実を曲げる監査結果を出し、つまり粉飾決済を演出した結果、その罪が個人的に問われようとしています。このことは、組織に属する監査人であっても、監査ルールに反し監査結果を粉飾した場合には、監査人を雇う法人の責任ではなく、個人の責任が問われることを示すものでしょう。

 これを知り、ISOマネジメントに関する内部監査を実施する立場のコンサルタントとして、対岸の火事と片付ける訳にも行きません。それほど大事に考えなくても良さそうですが、監査の本質は同じところにありますから、一言申し上げておきましょう。

 監査とは、定めた監査の基準に対し、計画や運用実態の整合性を検証するものですが、組織内部の者が自らの組織を監査するのが内部監査でして、利害を持つ相手が監査するのは二者監査となり、利害関係の無い第三者の監査を審査と呼んだりします。目的により、どの監査にするか、組織自身が選ぶことになりますが、公平を期する場合には、第三者の監査が望まれるでしょう。

 それなのに、先の事例では、組織の依頼を受けた利害関係者、つまり第二者が監査を行い、大幅な赤字の決済を僅かながら黒字決済にする指導を行いました。確かに、監査は検証するだけでなく適切なアドバイスを行うのが理想であると、内部監査員養成コースの講師として受講の方々に説明していますが、適切な指導と粉飾の指導とは別物であることは言うまでもありません。同じ粉飾でも、監査を受ける側のやる気を引き出す手段として、業務改善の実績を誇張し褒めるのは許されましょう。

そもそも、道理をわきまえない人を監査人に選ぶことがないよう、道理をわきまえた人が組織内に居ることが肝心ですね。

肌を刺す 秋雨受ける 菊の花
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by tabigarasu-iso | 2005-10-12 13:38 | コンサルサービス | Comments(0)

蘇る小道

 コンサルの戦場で心身共に燃え尽きた後の休日、疲れを癒す温泉に浸かれたら、どれほど心地良いことでしょう。重い鞄を長時間肩に掛けた所為で、反対側の腰の筋肉が痺れ、一日中立ち通しの両足が、偏平足になる鈍い傷み、大きな声で長く話し続けた所為で声が嗄れ、コンサル終了の間際に何も判りませんとでも言われたなら、隠れていた全身の疲れが徒党を組んで現れても不思議ではありません。

 そんな時には、友との散歩が効果的です。この友、生憎と無口ですが、散歩の二文字は良く判り、疲れに全身を覆われた仲間を気遣い、後ろを見ながらゆっくりと縄張りを確認しつつ前進。時々片足を上げ、薄れ掛けた臭いを強化する癖は抜けず、その間隔が狭いだけに、まるで散歩になりませんが。

 ようやく家並みを離れ、広い空き地を突っ切り、車が入れない小道に入ります。家を出発してから既に一時間、直線にすれば半キロにも満たない所。大小の常緑樹が道脇に肩を並べてかぶさり、独りで歩くには少しばかり寂しい葉のトンネルへ辿り着くと、友は振り返り、笑顔を見せました。

 ひんやりと冷たく清々しい空気を吸う度、それと同じ量の疲れが体外へと出て行くのが見えるようです。常緑樹の吐き出す酸素が、疲れた細胞の隅々まで行き渡り、死に掛けた細胞を蘇らせている。それを本能的に知る友、途中の道草はおまけながら、わざわざ今宵、動物を蘇らせる小道を散歩のルートに選んでくれたのでしょう。

誰を待つ 灯り消せない 蓮の花
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by tabigarasu-iso | 2005-10-10 23:12 | 問題解決 | Comments(0)