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白髪の旅ガラス

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明日に向かって

 ニ三羽で舞う旅ガラスから、数十羽が集うカラスの群ともなれば、気楽に旅を楽しんでばかりではおられません。一昔、その日の食事が無事に済めば、梢に陣取り遠方を眺めながら昔を語る詩人となり、あれこれと陽が沈むまで空想を巡らしておりましたが、可愛い子も七つを超えたあたりから、安定した餌場の確保を計画的に考えるようになりました。

 時折、カラスの群が何処かの枝でギャアギャアと意味不明な叫びを上げているのが聞こえるかもしれませんが、皆が意見を出し合い真剣に討論している最中なのです。中でも、声が大きく実力派の若ガラスが、はっきり物言うのが頼もしい。

「新しい餌場を開拓する必要があるのでは」
 実に的を射た発言に、老いたカラスは黙って頷くばかりであります。けれど、いつまでも態度を曖昧にしている訳には参りません。そこで、静かに語りました。
「方針からして、見直しましょう。それには、皆さんの前向きな意見を聞かせてください。それを念頭に、時流に見合ったものに変えていきましょう」

 人の世においては、トップを支える優秀なブレインが揃っている組織が伸びます。カラスの種族においても、仲間を想う若ガラスがリーダを後押しすれば、数百羽の大きな集団になるのも夢ではありません。それが証として、時には陽の沈む間際の西の空を見詰めてください。バラバラではありますが、カラスが空一杯になり、帰巣する瞬間に立ち会えることでありましょう。 
                                  
梅桜 鶯続き 初夏も呼ぶ
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by tabigarasu-iso | 2005-06-23 17:59 | ISOマネジメント | Comments(0)

言い訳

 昼下り、車輪がレールをきしませる音を足元で聞けば、誰に遠慮することもなく、瞼がゆっくり閉じる。同行者が居れば、その楽しみは消えて、予習やら復習やら、果ては反省まで、他人の迷惑をかえりみず、車内の会議は騒々しく進む。そうなれば、己の唾で目を覚ます楽しみ、他人にそれを見られる恥じらい、いずれの機会も失う。

 そうした者に限り、社内会議や昼過ぎは、居眠りの時間帯と決めている節がある。それでも、人が認める成果を残していれば、釣り馬鹿日誌の浜崎伝助氏のように、一目置かれて許されもしようが、そちらの方も眠ったままでは、いつまでも許し続ける組織はあるまい。

「いつまで昼休みをしているのかしら」
「そうよ。朝から天井見上げるばかりで何にもしないのだから、昼休みに居眠りすることもないでしょうにね」
「そうでもないわ。何にもしないのは辛いものよ」
「夕方、電話魔に変身するわ」
「そう、大きな声で飲み屋の打合せをね」
「注意しない方も悪いのよ」

 勤務中に居眠りする者を発見したら言うが良い。
「目をつむったまま、いつまでも考え過ぎないように」

雨の日の 散歩待つ犬 避ける人
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by tabigarasu-iso | 2005-06-17 18:22 | 小説 | Comments(0)

想い出してごらん

「前略、突然の御願いにて失礼ながら、貴社のサービスメニューをお送り頂けないでしょうか」
 かように電子メールで依頼されたならば、心地よく資料を送らない組織はありません。

「サービスメニューを三日以内に送るように」
 同じ電子メールであっても、このような文面であれば、気分を害し資料送付を拒む組織があっても良いでしょう。

「米の姿見えず、直ぐに援軍頼む」
 子が親に生活費を頼むなら、かような文面も許されるものでしょうが、見知らぬ相手に物事を頼む文面として、マナーを忘れたものが増える傾向にあるのは困ったものです。

素早く誰にでも手紙を送れるのは良いけれど、電子メールが顔の見えない相手を目の前に想定して語る手紙であることを、忘れている人が多いからではないでしょうか。

良くしたもので、前略と入力すれば草々と自動的に出てくるワープロの機能はあるけれど、冒頭の前略を忘れてしまえば、その機能も働きません。同じ様に、失礼な文面が入力されたなら、赤字で注意を促す機能をワープロに付加しては如何でしょうか。

 前略が固苦るしい表現であれば、お世話になりますでも構いません。初めての相手には抵抗がある表現かも知れませんが、自分で送る手紙を相手の時間を費やし読んで頂く訳で、それなりの世話にはなるのですから。
                              
口にして ならぬ言葉を メールなら
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by tabigarasu-iso | 2005-06-12 18:11 | コンサルサービス | Comments(0)

虹を見る

 夕方の六時。津を通過した東の空に、一瞬唾を呑む、巨大な虹が現れる。水滴と太陽の光が生み出した見事な芸術作品に心を奪われ、出張帰りの疲れを忘れた。

 その虹、地球を寄せ鍋にしてみると鍋の弦に見えだし、夢見れば地から天に昇る架け橋にも思えてくる。弦にしても橋にしても、その色の鮮やかさは、手にすることをためらわせ、登ることを断念させるであろう。

 これ程大きな虹を目にしたのは、いつのことであろうか。数十年振りのことであることは間違いない。虹が発生しなかったからであろうか。否、虹の発生する時間帯に空を仰ぐことを忘れていたからであろう。

 コンサル稼業、旅から旅への渡り鳥ながら、大空を舞う自然界の鳥ならば虹に出会う機会も多くあろうが、電車、ホテル、客先の三点を結ぶ線から外れることのない、自然から遠い世界で蠢くカラスだから、止むを得ない空白期間であったと思いたい。

 などと言い訳を考えている間に、虹は徐々に色を失い、間も無く消えしまったけれども、いつまでも受けた感動は胸の中にとどまり、これを文字にすれば、読む度に甦るであろう。

見る範囲 広げたいのか 井の蛙
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by tabigarasu-iso | 2005-06-05 00:34 | コンサルサービス | Comments(0)