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白髪の旅ガラス

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緑の墓石

 高価な墓を作ることに苦心するより、その費用を苗木に使って緑化に貢献し、子孫には樹木に掲げた名札で先祖の存在を示す、そんな子孫のことを配慮した素敵な人々が増えています。命は、自然の営みから生まれてくるもの、その自然が地球規模で病んでいる今、苗木を植えて森林育成に貢献し、次の命に繋げることの方が、御影石の立派な墓を子孫に見せるより大切なことに違いありません。

 かねてより、自然の中に埋葬されることが当然な旅ガラス族としては、大半の人間が墓に入ることを当然に考えることを、不自然に感じておりました。一坪余りの土地に海外から輸入した墓石を載せ、数百万円もの大金を注ぎ込み、関係者が年に数度訪れるだけの墓を守ることも勿論大切ですが、同じ費用と労力を苗木に掛けるなら、苗木は年々育ち、やがて土地を豊かにし、水資源を守り、二酸化炭素を固定し、新鮮な酸素や燃料を供給してくれる、先祖が眠る森を育てることが可能になる。

 この樅は爺さんの植えたもの、その隣の栗は婆さんの植えたもの、楢の苗木を植えたばかりの場所は、父さんがやがてゆっくり眠る場所。そんな話を聞きながら、子供達が森の散策を楽しむ光景を想いうかべてみれば、いよいよ従来の墓に変えて苗木を植える人間が増えることでしょう。

 けれども、墓に変え苗木を植える道を選ぶ人間は、苗木を被う藪を刈り不要な枝を払い落として間伐を行う、森の番人を雇うことを忘れてはいけません。こうした森の運営を忘れなければ、墓を止め苗木を植える緑化の推進は継続的な流となり、緑の大地を子孫に残すことが可能になるでしょうから。

緑濃き 山に雨降り うど恋し
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by tabigarasu-iso | 2005-05-29 23:36 | 問題解決 | Comments(0)

スズメバチ

 二階建ての農家の軒下には、縦二尺で直径一尺は楽にあるスズメバチの巣があった。誰も手の届かない所にあるから、幾らでも大きくすればよいものを、何年経っても増築した形跡が見えない。

 この春、屋根を修理することになり、屋根に上った大工は、間近でスズメバチの巣の様子を確かめた。一匹でも残っていれば、大工仕事の合間に屋根から転げ落ちること間違いなく、しばらくそっと観察したが、雀に荒らされた穴の周辺は静かで飛び立つものは何もない。そのことを下から見上げる家の主に告げた大工は、エイと一声発しそれを蹴落とした。

 その残骸を集め、男が竹篭に入れようとしたときのことである。縞模様も鮮やかなスズメバチが十数匹、いきなり巣の芯から飛び出した。予想もしない出来事で、男は巣を放り投げ手にしたほうきで身構える。

だが、蜂は男を攻撃することもなく、瞬く間にどこかへ飛んで消えた。仮に、刺された場所が悪ければ、命を落とす毒を持つ蜂から、攻撃を受けていたならと想像した途端、男の背筋に冷たい汗が流れる。

 安全に思えても、本質的に危険なものは用心して取り扱うに越したことはない。そのことを、巣を壊されながら復讐もせずに飛び去ったスズメバチに改めて教えて貰う里の春であった。


葉に隠れ 成長競う 梅小僧 
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by tabigarasu-iso | 2005-05-26 20:25 | 随筆 | Comments(0)

タラの芽

 春の大型連休を利用し、毎年恒例の山々に挨拶して参りました。そのお返しに、再生中の雑木林から見事なタラの芽を頂き、その日のうちに天ぷらで頂戴すれば、これほど旨いものはありません。

 けれども、そう簡単にタラの芽を手にすることはできなくなったようです。林道の整備が進み、山奥に誰もが容易に出掛けられる時代ですから、皆が一斉に休みとなるのを待っていたのでは、誰かに先を越されたタラの木ばかり。早めに出掛ければ良いのですが、それではタラの芽が間に合わない。

 そこで諦めるようではいけません。手には軍手、足には長靴、どんなに暑い日でも長袖のシャツ、腰には買い物袋、タラの芽採り用にあつらえた柄の長い鎌、これを皆で同じように揃え、バラの木が多い斜面を一定の間隔を保ちながら、横一列に降りていくのです。遠くから見えないタラの木も、近よれば意外な程あるもので、特にバラの木の多い斜面の選択がコツと言えましょう。

 汗を流しながらバラ藪を突進し、足を取られて夢中で掴んだ枝は、避けていた筈のバラの木。その棘は手袋を突き刺し手の平の血を少し吸う。
「やられたわい」
 鎌の柄を杖に立ち上がれば、目の前に見事なタラの芽が微笑んでいる。
「お疲れ様。どうぞ召し上がれ」
 
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鹿が居る 尾根の先にと 気にもせず
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by tabigarasu-iso | 2005-05-24 11:32 | 随筆 | Comments(0)

脱線

 講演で本題から外れることしばしばあるが、外れた内容の方が面白い場合が多くある。それならば、本題をそちらの方にすれば良いのだが、外れた内容ばかりでは、外れる楽しみがなくなり、少しも面白くないであろう。

 ISOで定めた管理モデル、どこの国の誰にでも使えるように、英語で書かれている。それを日本語に訳す際、意訳せず直訳するから、多くの日本人が訳の判らない日本文に頭を悩ます。難解な日本語に生まれ変わったそれを、講演会で説くとなれば、時に講師、苦を乗り超える脱線が必要になる。

「・・・計画された若しくは新規の開発、又は新規の若しくは変更された活動、製品及びサービスも・・・とは、要は、過去、現在、未来の変化に対し、管理対象を最新なものにすることを忘れないように定めていること。それだけのことを、これほど判らなくする輩の脳味噌を見てみたい」

 そう言い切った後で、手にしたマイクを思い切り床に投げつけ、受講生に向かって勝利のポーズをとる。そんなシナリオを口にしてみると、テレビ好きな受講生は声を出して笑い、そうでない方は、何となく笑みを浮かべるだけ。笑いには、共通な文化が必要なことを、その場で認識したりする。

 ところで、かような話の脱線は人畜無害で宜しいが、電車のそれはいけない。思いがけずに人生の幕を閉じた尼崎の脱線事故で亡くなられた百七名の方々の冥福を祈る。

命とは 改訂できる 文あらず
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by tabigarasu-iso | 2005-05-23 11:04 | ISOマネジメント | Comments(0)

力量

 定めたことをその通り実行する力量、定めたことを他人に指導する力量、定めたことを見直し改善していく力量、それぞれの立場により求められる力量は異なるものです。社員、管理職、社長、それぞれの役割を果たす力量が必要なことは言うまでもありませんが、それを評価するのは容易ではありません。

 言われたことをできない社員は、基礎能力不足。言われたことはできるが他人を指導できないリーダは、指導力不足。決められた範囲では指導力を発揮できるが、新たな分野となると尻込みする管理職は、意気地なし。

「言われたことができない訳ではありませんが、何を言いたいのか判らないのです」
「それならそうと、確認するのも力量ですね」
「メンバーに力量がなくて、指導しきれないのです」
「それなら、それなりのメンバーを使い仕事をまとめるのも力量ですね」
「新しい分野に踏み出そうにも、先が見えないのです」
「それなら、自ら調査するのも力量ですね」

 かように、力量の評価、本人と評価者で異なる場合が大半です。どうも人の世、自信過剰な者が多く、それで事が収まるうちは良いのですが、問題が発生してから力量不足を追及するようでは困ったもので、力量も事前の評価が宜しいようで。

昼下り 重い瞼で 藤の花
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by tabigarasu-iso | 2005-05-19 10:10 | ISOマネジメント | Comments(0)

牛蛙

 薄暗い夜道を外れ、菜の花が咲き乱れる空き地へと、愛犬の後を続く。踏み固められた草の道を、一歩進んでは立ち止まり、草に付着する仲間の臭いを嗅ぐ、物を言わぬ相棒が飽きるのを待つ。

 他にやることもなく、上空を飛び交うコウモリが昆虫を捕獲する様子に感心している時、土手下の下水を集める薄汚れた小川の方から、牛の鳴き声が聞える。低く、地を振るわせる声の主を探したが、この空き地に牛が居る筈も無い。相棒が異変に気付き、番犬らしく土手を降りて行く。声はすれども姿の見えない相手に、一度は吠えてみたが、甲斐がないと知って戻って来た。

「牛蛙だよ」
 不思議そうに主人を見上げる愛犬に教えてあげる。大正時代、食用として牛蛙は輸入されたもの。鶏肉に似ているらしいが、食した経験がないから味は不明である。相棒は、主人の説明を理解したのか、草の道を一歩前進し、新しい臭いの世界に入った。

 それにしても、意外なところに牛蛙がいたものである。流れは殆どなく、ゴミが浮き、油が水面を被い、悪臭を放つ下水のような小川を、誰が好んで棲みかにしようか。身近に潜む仲間に所在を告げるのであろう、牛蛙の鳴き声は飽きることなく続く。

ドブ川に モウと鳴かれて 肝冷やす  
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by tabigarasu-iso | 2005-05-18 11:39 | ニュース | Comments(0)

はじめまして

 私の棲む組織は、ISOマネジメントに関するコンサルサービスを生業にしています。
 私は、環境コンサルタントとして、日本全国を旅しております。
 旅の中で感じた事柄をヒントにした小説、随筆、詩、川柳、俳句、それに瞬間を捉えた写真をお送りします。
 姿の見えない読者の方に多少の感動と共感をして頂ければ幸いです。
     
 2005年5月18日
 筆者 白髪の旅ガラスより
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by tabigarasu-iso | 2005-05-18 11:32 | コンサルサービス | Comments(0)