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白髪の旅ガラス

言い訳

 昼下り、車輪がレールをきしませる音を足元で聞けば、誰に遠慮することもなく、瞼がゆっくり閉じる。同行者が居れば、その楽しみは消えて、予習やら復習やら、果ては反省まで、他人の迷惑をかえりみず、車内の会議は騒々しく進む。そうなれば、己の唾で目を覚ます楽しみ、他人にそれを見られる恥じらい、いずれの機会も失う。

 そうした者に限り、社内会議や昼過ぎは、居眠りの時間帯と決めている節がある。それでも、人が認める成果を残していれば、釣り馬鹿日誌の浜崎伝助氏のように、一目置かれて許されもしようが、そちらの方も眠ったままでは、いつまでも許し続ける組織はあるまい。

「いつまで昼休みをしているのかしら」
「そうよ。朝から天井見上げるばかりで何にもしないのだから、昼休みに居眠りすることもないでしょうにね」
「そうでもないわ。何にもしないのは辛いものよ」
「夕方、電話魔に変身するわ」
「そう、大きな声で飲み屋の打合せをね」
「注意しない方も悪いのよ」

 勤務中に居眠りする者を発見したら言うが良い。
「目をつむったまま、いつまでも考え過ぎないように」

雨の日の 散歩待つ犬 避ける人
by tabigarasu-iso | 2005-06-17 18:22 | 小説 | Comments(0)