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白髪の旅ガラス

風が叫ぶ

 一度は布団に入ったものの、真夜中になり急激に勢いを増した風の唸り声で、否応なしに目が醒める。その勢いは、いつまでも衰えず、家全体に圧力を掛けて、弱そうな箇所を探しているようだ。運悪く、寝室の窓ガラスが見付かり、引かれて押されて、その度に窓枠が悲しい泣き声を上げる。

 眠れない脳内では、奇跡の逆転優勝を果たした瞬間を見られなかったことやら、米国のサブプライムローンの破綻で証券価値が急落したことやら、奥さんを殺害した容疑者の拘置所内での自殺やら、それに一度に四人も日本人がノーベル賞を受賞したことなど、昨今の気になる話題が嵐のように現れては消えて行く。

 どれもこれも気になる話題だが、自分との関係が深いものに興味は移る。それは、米国を震源地とした世界的な株価の急落による現金思考で銀行融資が厳しくなることであり、住宅販売の停滞は勿論のこと、車や家電製品の買い控えによる市場の冷え込みで、輸出企業の業績が悪化することになり、多くの日本企業もその影響を受けざるを得ないからだ。

 この問題は、株を売り買いする人だけで一喜一憂すれば良いのだが、他にも波及するから困る。つまり、自社の株価が下がれば市場からの資金調達額も減り、それで運転資金が心細くなれば銀行融資に頼るところだが、市場冷え込みが見えれば銀行も簡単には融資しない。そこで再びリストラと言う名の人員整理や経費削減が始まれば、組織内外で好ましくない影響が発生することになろう。

 それにしても、サブプライムローンとは良く言ったもの。やがてローン返済できない人の発生を予期しながら、融資した債権を証券化して売り捌き、親元だけは莫大な利益を受ける仕組みにある。似たような仕組みは、米国だけでなく日本にもあるから注意が必要だ。最初の数年間は低金利で融資し、所得が上がる時期に返済が倍増する住宅金融公庫のローンがあった。この制度は廃止されたが、債権を証券化していれば同じ様な問題を引き起こしていたことであろう。
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              ほのかなる 匂い楽しむ 興忘れ
by tabigarasu-iso | 2008-10-12 23:30 | 随筆 | Comments(0)