2005年 05月 24日
タラの芽
けれども、そう簡単にタラの芽を手にすることはできなくなったようです。林道の整備が進み、山奥に誰もが容易に出掛けられる時代ですから、皆が一斉に休みとなるのを待っていたのでは、誰かに先を越されたタラの木ばかり。早めに出掛ければ良いのですが、それではタラの芽が間に合わない。
そこで諦めるようではいけません。手には軍手、足には長靴、どんなに暑い日でも長袖のシャツ、腰には買い物袋、タラの芽採り用にあつらえた柄の長い鎌、これを皆で同じように揃え、バラの木が多い斜面を一定の間隔を保ちながら、横一列に降りていくのです。遠くから見えないタラの木も、近よれば意外な程あるもので、特にバラの木の多い斜面の選択がコツと言えましょう。
汗を流しながらバラ藪を突進し、足を取られて夢中で掴んだ枝は、避けていた筈のバラの木。その棘は手袋を突き刺し手の平の血を少し吸う。
「やられたわい」
鎌の柄を杖に立ち上がれば、目の前に見事なタラの芽が微笑んでいる。
「お疲れ様。どうぞ召し上がれ」
鹿が居る 尾根の先にと 気にもせず