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白髪の旅ガラス

変わらないで

 岡山駅の改札を入って左折し、いつもの番線に向かった。けれど、その先の通路は全面が壁で塞がれ、赤穂線の案内板が消えている。まさか、廃線になったのかと不安になったが、思い切って振り返ってみれば、何のことはない、すぐ後にそれはあった。

 一ヶ月ぶりに訪れた構内の新設のホームに降り立ち、西大寺行きの電車を待つ。そろそろ、「桃太郎さん・・・」の音楽が流れる頃である。これを聞く度、岡山に来たことを実感するのだが、それは期待に反して「線路は続くよ・・・」に変わっていた。

 音楽には、想い出が付きまとうもの。桃太郎さん以外の曲では、岡山と結び付かない。何ということをしてくれたのか。駅の関係者は、センチメンタルな利用客の存在を知らないのであろう。ハードの更新は宜しいが、想い出が伴うソフトの継続を忘れては、駅の心を失ったようである。

 かような不満を誰にも言えないまま、ホームに入った電車を見れば、いつもと変わらぬ古い車両。見慣れた乗客、聞き慣れた岡山弁に安堵し、西大寺までの車窓を楽しむ余裕も生まれ、コンサル前の気合も充実していった。


                メロディーに 想い重ねて 夢枕
by tabigarasu-iso | 2007-08-05 19:46 | 随筆 | Comments(0)