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白髪の旅ガラス

雨水溝

 公園の雨水溝には、泥と草とが席を占め、帰り道を求めた雨水が、行く場を失くし溜まりを作る。その中で、非難を始めたミミズの尻に、何やら追いすがる物がいた。膝を曲げ、その正体を追ってみれば、細長い吸血鬼のヒルである。

 逃げるミミズ、何度も尻を振り、何とかヒルを振り払い、雨水の中で島を作る泥山に逃げ延びた。獲物を逃がした吸血鬼、進路を変える様が面白い。首を細く伸ばして菱形の頭を先に送り、その後で細い胴体を引き寄せる。その体長、直線になったところから目測すれば、三寸以上もあるから驚いた。

 姿を土に隠したミミズの上を、何やらガサゴソ蠢く音がする。それは、懐かしいオケラであった。頭の先に爪の付いた大きな脚を突き出し、丸々と太った一寸余りの身体が、それに続く。『ヨッ、御免よ、ヨッ、どちらさんも御免よ』と、そんな声が聞こえそうだ。

 ♪ミミズだって♪ヒルだって♪オケラだって♪
 皆、懸命に生きている。なのに、人は上ばかり見て、仕事に夢中になり、他人の言動に気を病み、己の足元に仲間が居ることを、忘れてはいないか。

どのくらい これぐらいだと オケラ言い
by tabigarasu-iso | 2007-07-18 23:46 | 随筆 | Comments(0)