2007年 05月 18日
腰痛
ホテルに入り一風呂浴びた後で、男はベッドに横たわり腰の筋肉をゆっくり揉んでから、弛んだ腹を引き締めようとして、軽く腹筋運動を試みる。かつては百回も苦にならなかったが、三回も屈伸しない間に腹の筋肉が笑い始めた。
無理は良くないから、枕に頭を載せたまま、テレビを点ける。そこに現れた青年は、男が以前に会った人に似ていた。大きな赤字から脱却したタクシー会社のプリンス、それが青年の紹介である。もう一度良く確かめてみれば、確かに男がコンサル先の若社長の友人として紹介された、その人に違いなかった。
話を聞けば、当時のプリンスは赤字の処理に追われていたようである。けれども、そんな重い雰囲気は感じさせない、テレビと同じ明るい表情であった。いつの日か、コンサルの機会があればと密かに願っていた相手だけに、その成功話には首を起こしたまま、夢中に聞き入る。その所為であろうか、腹や腰の筋力も強化されたようで、男の腰痛は翌朝になると消えていた。
その時の やるべきことを やるが良い