2007年 05月 14日
幸福度
三十年前のことである。或る国の国王は、国民の幸福度は国民総生産より大切であると唱え、経済成長と開発に加え、遺産の保護と伝統文化の継承、豊かな自然環境の保全と持続可能な利用を良き統治の指標とした。その時の国王の年齢は、二十一歳であったというから驚く。
その指標を、我が国に当て嵌めてみたらどうであろう。経済成長の数値は見えるが、伝統文化の継承や豊かな自然環境の保全など、幸福度につながる項目の公表されたものは知らない。今の首相は、美しい日本を目指すと言うから、どれ程美しくなったか、やがて国民に示してくれるであろう。
それまで何もしないでじっと待つのも良いけれども、受身ばかりでは幸福にはなれないから、身近なところにある伝統文化や自然環境を知るところから始めたいものだ。祭りの太鼓を聞いたら寄ってみて、林が見えたら歩いてみる。さもなければ、国民総生産の増減ばかりに振り回される、悲しい立場から脱却することなど望めまい。
田植え後 天空映す 大鏡