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白髪の旅ガラス

アパート仲間の会

 風呂はなく、トイレは共同のアパートで数年暮らした仲間と催す同宿会は、既に四十年もの期間に亘る。長髪を掻き上げていた彼の頭は輝き、ニキビを気にしていた彼の顔は月面に変わり果てていた。


 かく言う自分も額が頭頂近くまで広がり、細いジーパンに肩まで伸ばした長髪の姿があったことなど、証明するのは当時の写真だけである。それを孫に見せれば、祖父を父親だと言い、隣の祖母を叔母だと言って疑わない。


 四十年の歴史は、懸命に生きて来た自分達には瞬間であり、同宿会の話題の大半は当時の出来事に集中していたが、このところ人生の到達点が見えてきた所為か、近未来の話も登場するようになった。


 いずれ田舎に帰るとか、帰ったところで田舎を一度捨てた人間に安らぎはないとか、自分のことは棚に上げて言いたい放題である。それより、夢は持とう、夢の実現に向けて行動しよう、夢を持たない老いなんて勿体ないと鼻息が荒くなった。


新年の 挨拶交わす 元青年

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by tabigarasu-iso | 2018-01-09 09:30 | 随筆 | Comments(0)