2005年 11月 14日
新世界
眼鏡を外すと近場が良く見えるものですから、パソコンを裸眼で叩いていますと、どうにも目元が疲れてなりません。そこで暇つぶしに眼鏡屋さんを覗いてみますと、これまた暇そうな店員さんが居りまして、眼の検査をして貰いました。
「この文字、見えますか」
見えはしませんが、正解を言わないと気が済まない性分でして、おそらくカタカナの「ナ」でしょうと答えます。
「あの、眼の検査でして、頭の検査は致しませんので」
そこから素直に、見えないものは見えないと答えてあげました。
「左右の視力の差が大きくなっていますね。近くは右目だけで、遠くは左目だけで見ている状態です」
何とも奇妙な目玉になったものです。店員から渡された太い黒縁のトンボメガネを掛けると、実に良く世界が見えましたので、眼鏡を新調することにしました。それから一週間後、新しい目玉を手に入れ、これまで見えなかった世界が次々と飛び込んで来ます。同時に、見たくないものも入りますから、感動と落胆の入り混じる、複雑な脳内となりました。
紅葉の 山の深酒 想い出し ビルの一角 炭火に煙る