2015年 04月 05日
ハルサメ
桜の花びらが水面を埋め尽くす休日の朝から、傘を差そうか、傘を差さずに行こうか、判断に迷う霧雨が降っています。
「月様、雨が・・・」
「春雨じゃ、濡れて参ろう」
こんな科白を口にしたところで、
「・・・何ですか」
と、若い人には怪訝な顔をされるだけですが。
還暦を過ぎた時代劇ファンの方なら、一度は耳にしたことがある科白です。ふんわり落ちる春雨に肩を少しずつ濡らしながら、二人並んで歩く。暫く行ったところで、腹の虫が鳴き出して。
「月様、腹が・・・」
「空腹じゃ、茶屋でハルサメでも食そう」
春雨じゃ 濡れて参ろう 知らぬ人