2014年 10月 15日
金魚の反撃
「あんたに喰われる訳には行かないよ」
猫の手が水に入った瞬間、赤い金魚の巨体は水槽の底へ沈む。獲物を逃がした猫は、何食わぬ顔で濡れた指先を舐める。
「何、水で指先を洗っただけさ」
そう言いながら、彼は指先に水を滴らせて顔から頭を丁寧に洗う。
「見え透いたこと」
金色の金魚が見上げて言った。
その時、金色の金魚は尻から太い糞を水中に放つ。
「おや、爆弾のつもりかい」
赤い金魚は口を大きく開けて呆れたが、直ぐその効果に頭を下げる。
もう一度、猫は指先を差し入れた。その先に引っ掛かったのは、金色の金魚が放った太く長い糞である。
「こいつは喰えない」
それでも懲りず、金魚の捕獲を諦めた猫は隣接するメダカの水槽へ移動した。
どうみても 言い訳できぬ その現場