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白髪の旅ガラス

読書の秋

 朝晩、掛け布団が必要な季節になりました。部屋の片隅で控えたままの扇風機も出番がないようですから、埃を拭いて押入れに移してあげます。来年の夏まで、そこでゆっくりお休みなさい。

 窓から吹き込む風は、湯上りの身体に心地良く、エアコンに頼った猛暑日が嘘のようです。テレビを消すと、今宵も何処からかコオロギの鳴く声が聞こえて来ました。

 新しい情報の少ない新聞は、朝一番、暇に任せて隅から隅まで読み終えています。さて、眠気が訪れてくれるまで読書することにしましょう。本棚に積んで置いた月刊誌を開き、気合を入れて読み始めたものの。

 数行も進まない内に、船を漕ぎ出していました。そうとは知らない本人は、夢の中で『ネルヨリラクハナカリケリ、バカハオキテヨルモハタラク』と呟き、布団に入ろうとしています。

「無理しないで寝たら」
「そうだね」
 夢から現実に引き戻されながら、素直に従う秋の夜となりました。

 リンリンと 透き通る音に 時忘れ
読書の秋_d0052263_10321643.jpg

by tabigarasu-iso | 2014-09-20 00:00 | 小説 | Comments(0)