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白髪の旅ガラス

象の歯

 象の歯は、上下左右に一本しかないようです。それに対して、同じ哺乳類の仲間、人間の歯数は何と多いことでしょう。逆に、象の歯は一生のうちで五回も生え変わるようですから、乳歯から永久歯に二回生え変わる人間より数倍多いことになります。

 歯の数が多く生え変わり回数の少ない人間は、幼児の頃から虫歯予防に歯を磨き、虫歯になれば歯医者に掛かり、歯の抜けた後には人工的な歯を入れる。象の歯は、虫歯になるより食物を磨り潰して磨り減った頃、後方に控えた新しい歯に変わるようです。

 もしも、人間の歯が象の歯と同じであったらどうでしょう。上下左右四本の歯なら、磨き易い。歯と歯の間もありませんから、虫歯になる可能性も少なくなることでしょう。それに五回も生え変わるなら、入れ歯にする必要性もなくなる。

 歯で悩む人には、象の歯が羨ましいことでしょう。歯医者に何度も通い治療を受けても、数年も経てば治療した箇所が弱り再度通院する。保険の効かない治療は高額になり、懐も大いに痛みます。

 何度目かに 歳の所為だと 医者が良い
by tabigarasu-iso | 2014-01-31 00:00 | 随筆 | Comments(0)